寺山修司競馬エッセイシリーズの最初の本。
まだまだ若いな、って感じがすごいしますね。バタイユにかなり傾倒していたみたいで、引用が多いですし、あぁ若い人の書く文章だなぁって感じがします。
寺山修司は若者のカリスマ、でして、わかりやすくいうと60、70年代の尾崎豊みたいなポジションだったのですわね
当時の人の全体がどうだったか知りませんが、寺山修司は相当インテリですねぇ、アメリカに行って普通に生活しとるし、かなり英語も堪能、その上読書量もかなり豊富なのも伺えます、シュペングラー、マルクス、エンゲルス・・・、当時そんなちゃんとした翻訳とかないと思うので原文か英文に当たったのでしょうねぇ
昔の学生のほうがよっぽど頭良かったのは間違いなくそうだと思う。他にやること無いぶん本をちゃんと読んでいます。寺山修司というと天才で感性主義、みたいなイメージですが、がっちり勉強していて、土台はしっかりしまくってる。
ほいで1968年のケンタッキーダービーを見に行ったという記録がありますが、この1968年のケンタッキーダービー、が非常にいわくつきのダービーで、歴史上初めて、一着馬が失格処分になったレースでして、勝ち馬のダンサーズイメージ、が禁止薬物で失格になったのですが、だれかに飼い葉にクスリを入れられたとか、八百長だったとか、不正だったとか、すべては闇に葬られて、きな臭さだけが残るレースとなりました。
わざわざ見に行ったダービーがこんなダービーの歴史の中でも随一の疑惑のレースに当たるってところがさすが詩人、持ってるなぁって感じですね。
さらにカブトシロー。戦後競馬最大の迷馬、のエッセイもあります。カブトシローは八百長事件に絡んだおかげで、常にヒールというかきな臭い馬、それ以上にとにかくムラ駆け、走る時は走るし、走らない時は走らない、走ったら無敵、っていうものすごい馬、それも八百長くさい走りにも見え、とにかくグレーな馬です。その事件をじかに目撃してるのも、やっぱ詩人、持ってるとしかいいようがない。
(カブトシローの脚質が追い込みでしかも猛烈なイン突きという一か八かの脚質だったのですわね)
なにか面白いドラマを引き寄せる、星のもとに生まれてるとしか思えない。
なぜ馬券を買うのか?という問に
「知りたいから」
と答えるのもさすがだと思う、まさにそれしかない。
ほいで素人が次に言う言葉も決まっていて、収支はどうなのか?
別に賭博を企業経営としてやってるわけじゃないのだからこういう手合には答えることは出来ない。これも秀逸な答え。
競馬をやってるというと、必ず収支は?と聞いてくる人には、なんか趣味とかあります?
A.映画
収支は?と聞いてやりたい。映画を見てどのくらい収支が出ましたか?映画を見てどのくらい金銭的に得をしましたか?と聞きたい。そのくらい的外れなことを言ってる。