2023年12月20日水曜日

1997 伝説の名馬 山野浩一 Part4

  これが最後の巻。


いつかこの本をちゃんとまとめて時系列に並べ直す、みたいなことを書いてますが、実際ちゃんとまとめられた本は出なかったみたい。

 こういうふうにあとでまとめるって言って結局まとめないってのはよくある話で、整理ってのは面倒でモチベが上がらないものです。何かを生み出してるわけでもないし。

 仕事の半分は整理だとある人が言ってましたが本当にそうで人生の半分は掃除だとも言えます。


 この巻は有名馬が多い気がします、マンオブウォー、セクレタリアト、ネアルコ。マンオブウォーとセクレタリアトはアメリカ史上最強馬として常に名前が上がる馬。ほいでなぜか両方ともビッグ・レッド、というニックネーム。栗毛っていうか、アメリカの馬ってこの色だよね、っていう色、形、アメリカそのものです。


ネアルコは世界競馬史上最強の馬として名高い一頭。

 ネアルコはまじでパーフェクトとしかいいようがなく、短距離から長距離まで走り、もちろん全勝、気性も大人しく、カラダもでかくて丈夫、競走馬としても種牡馬としてもすべて最高の成績(ノーザンダンサーの祖父)、血統も最高、馬体も美しくケチのつけどころが一つもない。あまりにも完璧すぎて面白みにかけてあまり愛されないほどだったようです。

 普通気性だけは荒い、というのがだいたいのサラブレッドの唯一の弱点なんですが、それも無い。


 だいたい強い馬って、このネアルコやイクイノックスみたいに、見事に研ぎ澄まされていて、無駄な部分が一つも無い、パーフェクトや!!っていうややステイヤー寄りのボクサー体型タイプと、フランケル、この本にも出てくるギャラントマン、みたいな、弾丸みたいなはち切れんばかりのマッスルモンスタータイプがいますね。ビスケット・オリバやんっていう。こっちはもちろんマイラーです。

 わたしは、フランケルみたいな、ミサイルみたいな流線型のムキムキタイプマイラーが好きですね、こっちのほうがむちむちしていて可愛げがある。

 ブルボンみたいにギリギリまで削ぎ落として、さらにバキバキに筋肉をつけるっていうボディビルディングタイプも稀にいますが、だいたいそれでは馬が持たないです


 馬もそうなんですが、馬主やジョッキーも当然物語に入ってくるわけでこれもなかなかおもろい。

 まず馬主、これは基本王族です、そういうものとして競馬は始まったので。ただヨーロッパ以外の馬主は叩き上げの人々が多い。その来歴が結構めちゃくちゃで、やれ大博打で勝ったとか、金鉱を掘り当てたとか、タバコ、酒、ギャング、やっぱ富豪ってのはそういう人種なのですよね、ほとんどの人が負けるはずの大博打に勝った人、そして商売はオイルと麻薬、この2つです。結局ビジネス、の究極系は麻薬なのです。


 この本にも書いてありますが、商売、はつまりはギャンブルです。賭博性の無い商売なんてない、それは共産主義です。すべてのスポーツも、まずギャンブルとして始まった。賭け、とはつまり民主主義と同義なのです。主権があるとは、賭ける、ことが出来るということ。自分で何をするか決められるっていう選択の自由なのです。


 ほいで騎手、ですがこっちも特殊な人格の人が多い気がしますね。まずとにかく馬が好き、タイプ。とにかく勝負が好き、闘魂タイプ。ものすごい責任感が強い、ナイトタイプ。ものすごい紳士な人格者か、破天荒で躁鬱気味の天才の両極端が多い。

 じゃなきゃ落馬して死ぬかもしれん職業なんか出来ないってことなのかもしらんね。60キロ以上の乗り物にほぼ裸で乗ってるのだもの。


 競馬を好きな人も結構タイプがあります。ギャンブルならなんでもいいタイプ、馬という動物が好きな動物好きタイプ。血統という血のドラマ、がすきな大河ドラマタイプ。人間が嫌いな変わり者。競馬場に集まる、破滅型の人々が作る雰囲気が好きな、詩人タイプ。

 ただ速く走ったほうが勝ちというこの上なくシンプル、故に最高のスポーツですねぇ。