2012年7月27日金曜日
名画に見る絵の材料と技法 マール社 1980
箇条書きで要点を。
ファン・アイクは油絵の初期の完成者で、油絵は筆のタッチをのこさないガラスのような画面。
ティツィアーノは下塗りに濃い色を使って、トーンの高い色の上に置いていく逆の方式をとった。
レンブラントは、筆のタッチを残して質感を表現する。自然主義から表現主義系のはしり・・・
フレスコはしっかり線画を描く、テンペラもハッチングで陰影をつける、油絵はあまり線をひかない。
アクリルはつや消しであり、油絵のようなつやつやした感じにはならない。
漫画、イラストはもちろん線画系の絵である、だからフレスコっぽい(ミケランジェロ風)
東洋人は、線画が無いと落ち着かない。没骨法は流行らない・・・西洋ではダ・ヴィンチが色彩輪郭を始めた伝統があるので線画なしでも落ち着くよう・・・
前にも書いたけれど、デジタルイラストは、エアブラシ技法そのものである、デジタル表現はエアブラシと質感が似る。
アナログを再現しても、というより、再現、シュミレートというコトバを使ってる時点で駄目ですね、デジ絵はデジ絵の表現を見つけて行かないと・・・
総評。
ためになることはあるし、ちょっとした入り口程度には画材の使い方もわかるけれど、実際に知りたいのはレンブラントはどの色を使って、この色とこの色、紙はこれ、そして何時間乾燥させて、この色で髪の毛の下地を塗って、この色でハイライト、この筆で、タッチをこういうふうに入れて、この色とこの色を混ぜて・・・・
みたいな全部の詳細なステップを知りたいので、コンテで輪郭を書いてからグラッシをかけた。なんていわれても、こっちはそのグラッシのかけかたが知りたいんじゃぼけって感じで役に立たない。そういう名画を一から再製作するビデオを作ってください。カラヴァッジョを希望します。
意見。
絵は、見たこともない世界を作れる、唯一の方法だと思う。音楽や小説ではそれは出来ない。私的にはミケランジェロ、シーレは完全に彼らの世界を作った、特にミケが書くような人間はミケ以前には存在しなかった、あんなデザイン、あんな肉体、宇宙のどこにもなかった。ルネサンスは科学的(自然主義的)というけれど、それはルネサンスを再解釈した古典派、アカデミーの手法であった、ルネサンスは、すでに自然主義を超えてしまっている、別に全然リアルではないし・・・あんな顔の人間はいない。創作者として、ひとつの世界を創造すること、たぶんそれが最終目標である。まるでカミサマがそれを7日でやったみたいにさ。両方共ガチホモだけれど・・・、ダ・ヴィンチは両刀っぽい、私の好きな作家のホモセクシャル率は半端ないなよく考えたら・・・フランシス・ベーコンもだし・・・・いい男に限ってホモばっかり!というのはあながち間違ってないと思う。
ミケとダ・ヴィンチはちょっと行き過ぎてる、なんか時代の文脈とか、人類史からはみだしてる、えぇっ、ここ順番テレコになってない?って感じがするもの、ベクシンスキーとかガイガーの絵、絵戦後のエアブラシ系の絵、スーパーリアリズムとかそのへん、ハリウッドのSF、は全部ダ・ヴィンチの世界から抜け出せてない気がする。3次元のものも含めて。