2019年4月30日火曜日

2009 宇多田ヒカル 点 線

 宇多田ヒカルの自伝?みたいなもの。デビューから一度活動休止をするまで、の間のインタヴュー、描き下ろし、写真などで構成されております。ほぼ半分は写真集なので実はヴォリュームはそこまでない。


 宇多田ヒカルというと、ワタシの中では数少ない、はいこのヒト天才ー・・・って天才ハンコをぽんと押せる人物、ワタシは非常に辛口なんでこういうヒトは歴史上の偉人、カエサル、ソクラテス、プラトン、シェイクスピア、ドストエフスキーみたいな本当のレジェンドを除くと相当わずかしかいません。 
 宇多田ヒカル、藤原基央、宮崎駿、鳥山明、黒澤明、冨樫義博、トム・ヨーク、ジョニー・グリーンウッド、ノエル・ギャラガー、ジョン・レノン、太宰、芥川、漱石・・・いや結構いたわw

 特に絵、と音楽、ってのは、天才、ってのがわかりやすいのかも。絵は一瞬で見ればわかるし、音楽も数十秒でわかる。逆に文章ってこいつ天才かよ!っていうヒトは少ない。特に昨今では本当に見ない。天才的な文章を書くヒト。今生きてるヒトでは一人もいないかも。


 上にだらだら列挙したのでわかったかもしれませんが、女、で天才、って思える人間は、今の所宇多田ヒカル一人なのかも。

 前にもなんかで書きましたけど、このヒトはだいたいこうだろうな・・・ってワタシが思って、その範囲、から飛び出す人間ってほぼいない、あぁやっぱりな、これだよね、っていう。天才ってのはそこから飛び出すヒト。宇多田ヒカルってのはすごい読みづらいヒトですよね。こういうことなの!?って驚かされる。


 この本を読むとわかりますが、UHはほんとに特殊な生い立ちですね。親も音楽家、母は歌手、父はプロデューサー。英才教育なんてものではない、スーパーエリートですね。15才でデビューして超億万長者になったらおかしくなる、って思いますけど、そうじゃないんですよね、生まれた瞬間から金持ちだしスーパーエリートなんですもの、15才で億万長者になったのではなくて、生まれた時から億万長者で、選ばれた人間。NY生まれ。10億が1000億になったって別に生活は何も変わりません。
 宇多田ヒカルは生意気!みたいなこと言うけど、だってヒトに媚びる必要ないんだもん。生まれた時からずっと。

 ワタシはそうはいっても経済的環境がその人間を作ると思ってます。お金が無いと、ヒトに媚びないといけない、ペコペコしたり嘘をついたり、騙したり、騙されたり、競争したり、誰かを蹴落としたり、努力したり勉強したり、誰かを殺したり、見殺しにしたり、裏切ったり・・・

 良し悪しですよね、そうやってカネのために誰かを殺したりすることで物語、ってのは生まれていくし。それが戦争ってものですし、戦争について語ることが物語なのですし。

 金持ちに生まれるってことは、そういう文脈から外れているってことです。何もやる必要は本当はない。誰も殺さなくてもいいし、努力だってしなくていいし。ペコペコ誰かに取り入ろうとしなくていい。ありのままの自分でいられる。やりたくないことはしなくていい。
 逆に言えば、なにかをするための理由がない、モチベーションを自分で作り上げないといけない。自分で自分を動かしてモチベーションを作って、それを成し遂げないといけない。自分が手を汚して金持ちになったのと、生まれた時から金持ちなのではぜんぜん違いますね。それってセカイの物語から外れてるっていう感じ、このセカイの演劇、「戦争と詐欺」、に役を与えてもらってないという感じです。
 自分で台本書いて自分で演る、誰も見ていないのに。それってバカみたいだ。

 そういうわけで宇多田ヒカルの言ってることや行動ってのが、全部、セカイの物語とはズレてるという気がします。その辺のJKとかが言うこととまったく異なる物語のコトバをしゃべってる。もちろん初恋だのなんだのって思春期の恋愛みたいなのは貧乏でも金持ちでも同じところもありますけど、それでもやっぱ前提が違ってますな。
 大人の恋愛ならさらに違う。
「お金なんて関係ない」
なんてのはお金持ちしか言わないやつ
「学歴なんて関係ない」
と同じですね、学歴があるやつだけが言えるやつ。


 これはあれですね、貴族と平民の文化の違いみたいなもの。宇多田ヒカルは貴族、平民の言うことは理解できないし、まったく別のセカイに住んでる。

 じゃあ貴族なのになんで音楽なんて作ってんの?って話です。何の理由も無い。必要がない。それがUHの謎、ですわね。
 
 なんでこのヒト音楽なんかやってんだろう?

 別に音楽に限らずですけど、なにかを作るのってクソしんどいです、歌手、として他のヒトが作った歌を歌うだけなら楽しいかもしれないけど、作曲、アレンジ・・こういうのは本当に時間もかかりまくるし、しんどい作業。


 UHってのは貴族の虚無、って感じがします。19世紀的なテーマですね。このヒトってすっごい空っぽです。いろいろそれらしいことを言ったり、深いことをいったりしてるのですが、まったくココロに響かない。 
 頭が悪くて脳みそ空っぽのそこらへんのJKとは違って、頭が良いのだけれど、人生が空なんですね、がらんどうだ。人間としては、ワタシは嫌いですねw 

 宇多田ヒカルがブームになっていたころ、ワタシはそもそも音楽に興味がなかったし、ぼんやり嫌いでしたね。世間のイメージ戦略が鬱陶しかったのかも。JKの天才!!みたいな。結局のとこ、なんて宇多田ヒカルが売れたかっていうと、若くてまぁまぁ美人で、女だったから、だとワタシは思うのですよね、日本人に音楽のセンスなんかないし。何を聴いてもわかりません、ただ若い女が歌ってる!っていうのが一番大きかったのではと思う。
 曲に関しても初期のほうの曲ってそこまですごいってわけでもないワタシは思います、ただ他がクズばっかりですので他とくらべればそりゃ圧倒的に良いですよ。

 でもこのヒトは天才、ですから、その空っぽ、虚無を音に変えられるというわけ。楽器は、中が空洞だから音が響く。上手く出来ておりますね。
 

 曲的に、わ~やっぱこのヒト天才だわ~とワタシが思ったのは「ULTRA BLUE」の頃からですね、このアルバムは名曲揃い、素晴らしー。