エドガー・ウォレス、という作家は映画「キング・コング」の作家として有名みたいです。それだけでもわかるように、ウォレスはゴリゴリのエンタメ作家。
ウォレスはものすごい速筆として知られていて、英語の本の四分の一はウォレスの本だ。っていうくらい、爆速で作品を書きまくっていたようです。エンタメ作家としては素晴らしい才能です。
そのとにかく筆が早いってのが示すように、この作品もサササーー!!っというスピード感を大事にしてます。いわゆる、スリラー、というジャンルのゴッドファーザー的存在のようです。なんてたって1905年ですものね。
探偵小説とはちょっと違うスリラー、事件が起きて、犯人を探す・・ではなくて、事件が展開していく、その一部始終を描くっていうものです。文字通り、スリル、を味わうためのもの。
一応この作品は最後に種明かし、みたいなのもあるので、サスペンス・スリラーってところでしょうか。
流行作家、にありがちなのですが、死後その作品は一気に消える。何百年も残ったりはしないわけです、それもそれ、消え行くものの美しさというわけでしょう。エドガーウォレスのほとんどの作品はもはや入手困難。それでもこの本が残ってるのは、この正義の四人、はシリーズもので、これがその最初のやつだからですね。最初期のスリラーものとして歴史的にも意味がある。
ぶっちゃけ、種明かしは、ん? っていう感じなのですが、スリラーの書き方、としては教科書的な出来栄えだと思います、こういうふうにテンションを上げろ!起承転結、転!が作品の色を決める、みたいなの。作品の長さもちょうどよい、一日徹夜で読み終わると朝、というジャストな厚み。
主人公たちが、悪いやつを殺す犯罪者。というのも、当時としてはすごく斬新だったと思いますね、キレイゴトを言わない。ワタシ的にはこれは良い。
義賊モノっちゅーんですか、ワタシは好きですね。
総じてこれは良い本です。何のためにもならないが、それが良い。