2019年5月23日木曜日

1959 山荘綺談 the haunting シャーリィ・ジャクスン

 ホラー小説です。ワタシはホラーなんて一切手を出して来ませんでしたが、ラブクラフト以来、少しづつホラーに手を出し始めています。一体小説でどうやってホラー、ってものを伝えるんだろう?っていう興味、勉強目的ですね。


 読み始めてすぐにわかりましたけれど、このシャーリー・ジャクソンなる人物、文章が上手い。いわゆるエンタメ系の作家で文章が上手、って感じるのは稀。
 ワタシが出版社の人間だったら、はい、こいつは出版決定。っていうかんじ。最後まで読まなくてもすぐにわかる。別に大したオチとか構成が無くても、文章が上手いだけで、すいすい読めるものです。

 
 逆にアイデアは面白いのに文章が下手、これは非常に厄介。現代作家に多いですよね、総じて、だんだん人類は文章が下手になってるとワタシは思う。別に映像で伝えりゃいいじゃーん、ってわけで文章だけ、で伝えないといけないっていうことがなくなってるからでしょうね。もしものときはすぐ電話とかすればいいし。
 京極夏彦面白いよ、と言われて読んでみたのですけど、文章があまりにもへたっぴーだったのですぐにやめてしまいました。アイデアみたいなのは面白いのかもしれないけど、ちょっと読み続けるのはムリポでした・・・


 さて内容なんですが、この小説、いわゆる幽霊屋敷モノ、のかなり最初のほうのものらしく、スティーブン・キングの「シャイニング」はこの小説からインスパイアされたものであるとのこと。

 といっても、普通みんなが想像するような、幽霊、モノではまったくありません。めちゃくそネタバレしますが、別にこれだ!というオチがある探偵ものみたいなものではないのでネタバレしても大丈夫でしょう。


 いわゆる「信頼できない語り手」、の手法で書かれています。主人公であり、読者に視点を与える存在である、エレノア、自身がイカれていて、一体何がほんとで、何が幻想なのかわかりません。全部この狂気にとりつかれたエレノア、の作り話、幻覚かもしれないので。一体どこからエレノアがイカれているのかわからないので・・・母親の介護に疲れておかしくなってしまった・・というすごいこれもどよーんとした話ですね・・・

 「ライ麦畑でつかまえて」でもそうですが、主人公、自体は完全にイカれている、というのは非常に、トリッキーな手法で、じゃあなんでもありじゃん、とも言えます。すべて狂人のたわごと、とも言えるわけで。

 そういうわけで、しっかりとしたトリック、というよりも、雰囲気モノ、になります。ライ麦、も独特の雰囲気があるし、このホーンティング、も独特の雰囲気、怖いというよりも、ざわざわ、する感じ、読んでるこっちもおかしくなってしまいそうな感じ。
 あとで知ったのですが、作者のシャーリィは女性とのこと、なるほどなぁ・・・。


最初にも書きましたが、文章が非常にじょうず、文体、とかもだけど、構成、が上手いです。ただスッキリした読後感などとはまったくの無縁。なんとも言えない、どんよりした気持ちになります。気持ちが鬱の時は読まないほうがいいかも・・・