2012年11月24日土曜日
響きの考古学 1998 藤枝守
音楽についてペラペラ語っていると、自分の芸術を解説するのは誠意を欠いている。邪道だ、みたいな事を言
う人がいる、そういう奴はだいたい阿呆だ、って一蹴してしまえばそれまでなんだけれど。もっと徹底的に反
論してやりたい。感覚と情熱が音楽なのだ!とか抜かしてる奴は、ギターとかピアノが感情や情熱だけで作ら
れていると思っているのでしょうか?
どう考えても、ギターやピアノは、数学的計算にもとづいて作られていて、むしろ感情が介入している部分
のほうが明らかに少ない。そしてチューニングも明らかに、与えられた比率を無批判に取り入れているのに、
音楽は、小難しい理論など不要だ。みたいな事を言うのはまったくナンセンスである、パンクは国家や政府の
あり方を批判したが、音楽理論にはむしろなんの批判もしなかったというか、むしろ最も純粋なP5の信奉者で
あるといえます。
同様に政府を批判するひとも、政府を批判する、というスタイルをただ受け入れてしまってるだけで、政府
の批判のそもそもの理由を考えないやつばっかり。
何にせよ、既存のフレームワーク、システム、ロジスティック、伝統、習慣ってのを無思考で受け入れると
、善良な阿呆が出来上がる、この善良な阿呆こそが、あらゆる悪の、アンプリファイアになっています。
というわけで、音楽のそもそもの骨格を考えるのにこれは結構いい本です、ただこういう本はだいたい妙に
薄くて、実際的方法の解説が少ない、テーマが大きすぎて筆者の趣味を紹介するだけ、自分の宣伝ばっかりっ
てのが惜しいところ、けれど市場性の無い音楽を紹介する本はほとんど無いので貴重です。最もよくないとこ
ろは情報がちょっと古いってとこですね。1998年の本ですから。