2014年8月8日金曜日

1937 人情紙風船  山中貞雄

 ネタバレ注意ですが、言ってみれば心中物と言われるものすごい伝統のあるストーリーです、心中物というと浄瑠璃から落語まで、江戸時代の物語の典型なんですが、なんでこの型、が日本人にとって人気があるのかっていうのは、一冊本が書けますでしょうね。

 オールタイム日本映画ベスト◯◯・・・的なものの常連です、だいたい一位は東京物語など小津が3つ、そして七人の侍、生きる、など黒澤が3っつあとは溝口が2つ、でベスト10のほぼ8個くらいまでは永久欠番みたいになってます、そして浮雲、成瀬巳喜男、で、滑り込みでこの人情紙風船というわけ。

 監督の山本貞夫は戦争で死にましたので、この作品が遺作です。


 どうして戦前の映画は時代劇ばっかなのか、ってのは、それはソ連の作家が、裏に含みを持たせて表面上は普通の物語を描くのと同じなのと、もう一つ、もっと諦念というか、達観というか、世間臭さを嫌うからなんでしょうね。

 だいたいにおいて時代劇ってのは、いっつも生きるか死ぬか、の決断を迫られるものです、それが戦争間近っていう気分と重なるってのもあるのでしょうね。時代劇ってのは、余分な要素が無いってのもあるかもしれません、現代劇だと、携帯使ったりネットを使ったり、みたいな、それをやっちゃおしめぇよ、みたいなコトが多い、そんなムチャクチャなヤツいねぇわ、みたいなこととか、警察にすぐ頼れたり。

 時代劇ってのは、いっつも背中にぺたぺたと、死、ってのが張り付いていて、みんな刹那主義っていうか、どんなしょうもない町人でも、ある種の粋なかっこよさがあるのですよねー。ただIは時代物ってのはデェ嫌いなので自分では作らないだろうけれど、確かに物語、として型、としてのかっこよさを追求するのは、昔のほうが便利ですよねー・・・