2015年11月5日木曜日

1953 猿飛佐助   杉浦茂

杉浦茂を知ってるヒトはかなりの漫画通ですね、マンガマニアとまではいかないけど。漫画マニアってのはGAROを全部コレクションしてたり、手塚治虫の初版本みたいなのを集めてる人々で、あまりかかわりあいになりたくありませんw
 
 杉浦茂の作品っていうのはナンセンスマンガ路線でして、あまり他にはこういう作風の作家はいません、今みたいにゼニゼニ行ってるゼニゲバのマンガ業界ではこういう、サイケデリックな、カウンターカルチャーっぽいのはまったく歓迎されませんしね。アンチ商業路線。



 どういうふうにナンセンスなのかってのは読まないとわかりません。この猿飛佐助はかなりの代表作で、集英社のおもしろ漫画文庫、っていう嘘みたいなタイトルの漫画シリーズに入ってます。最近ではちくま文庫とかでも昔の漫画の復刻みたいなのがありますね。漫画も古典になってきたってわけです、読めばすぐに捨てられると言われた漫画ですが、実際には戦後に書かれた小説の殆どよりも漫画のほうが生き残っているというわけ。Iはやっぱし漫画が好きですね、映画やアニメよりも漫画が。漫画って自分の時間のペースで読めるじゃないですか、じっくり分析もできるし、ばーーーっとぶっ飛ばしても読める、映画やアニメってのは時間が決まってるから、テンポ悪っ!とかカッティングのタイミングが悪い・・って思う、漫画は自分でテンポとカット割りを決めていけるのですわね。



杉浦茂に影響を受けたってひとはめっちゃいるんですけど、やはりこのヒトでしょう。



http://www.pideo.net/video/youku/77f6e630d33dbe7d/


 宮﨑駿のギャグアクション、駿氏後半になってくるとシリアスな劇場映画にシフトしてしまったのですが前記はコメディアクションみたいなのがたくさんありました。特に未来少年コナンですかね、ジムシーの動き方ってのは完全に杉浦タッチ。鈴木Pが駿氏の線の描き方ってのは杉浦茂ですね、と看破したところ、駿氏はくそっバレたか・・って苦い顔をしながらも、鈴木Pの観察眼を認めたっていうエピソードが伝わっておりまする。



 しかしほんと最近こういうちょっと左派的というか、アンチ体制的、みたいな作り手ってのは減りましたね。別にエログロやおっぱいアニメも体制的というわけじゃないけど、体制的っていうよりは商業的、ですね。カネの匂いがするものばかり。どこかカネじゃないんだよ、みたいな志を感じる、そういう作品がIは好きですので。まぁムリっちゃむりですね。まぁ志、です。別に目の前の仕事はたいしたもんじゃなくても当座しのぎでも、ココロの中に志を持ってるかっちゅーわけです。ガイナックスだって昔は脱衣麻雀ゲームを作ってましたしね。エロ漫画、ポルノ映画上がりの作り手なんてのもザラ。でも志を失わないでいけるかってのが大事ですね。



 漫画の歴史、っていうとだいたい、田河水泡、のらくろ、が漫画のメジャーの旗手で、そっから手塚治虫、水木しげるなどがメインストリームとして語られて、つげ義春、赤瀬川みたいなアート路線、藤子不二雄、赤塚のトキワ荘組、って感じに語られますね、そしてなにより梶原一騎が連載漫画の完成形を作って、それ以降はだいたいは梶原一騎フォーマットにのっとってるとIは思います、ビートルズみたいなもんで、結局ビートル系のフォーマットですね。って感じ。杉浦茂ってのはいつもその漫画の歴史、みたいなものからはこぼれる、まったくどこにも当てはまらないサイケなスタイルなんで。そしてこういうナンセンス物ってのはもう二度と現れないんじゃないですかね、そういう漫画をのせる雑誌ってのは存在しませんものね。