2016年12月17日土曜日

1920   樽  フリーマン・ウィリス・クロフツ

 最近やっているミステリ古典シリーズです。

 処女作であり代表作であるという、作家としては結構イタい指摘をくらっています、一発屋ってことですねw。処女作を超えられないってのはよくある話で、実際超えられない場合もあるし、処女作を知ってるから、次の作品をまっさらに評価出来ないってこともあります。なんにせよ、初めて、出会うもののほうがインパクトがあるものですからね。


 
 ただこの小説、いわゆる探偵小説では全然ありません。すべての謎をスパっと解決する名探偵的なやつは登場せず、地道な捜査を積み重ねていくという、捜査小説、みたいな感じ。ドキワクなアクションというわけでもなく、ちょっとずつ捜査をすることで情報がわかっていく、アドベンチャーゲームみたいな感じ。そして捜査するヒトも、ピカーンとすべてがわかる天才ではなくて、最後の最後に犯人の自白があるまで、結局そのトリックを見破れないという始末です。読んでてかなりスッキリしない感じ。

 ただもういいよ!ってくらい繰り返し繰り返し、説明があって、ひじょーーーに、精密にトリックが書かれているのがわかりません、矛盾がないように矛盾がないように・・・、っていうのをロンドン、パリ、ブリュッセル、の時刻表を見ながら検証していきます。時刻表トリックというのもありますし、この小説はアリバイ崩し、容疑者、が完璧なアリバイを持っているが、それをどうやって崩していくかっていう今のゲームにもなってるようなスタイルを確立させたものらしいとのこと。確かにそういうわけでは新しい手法を生み出した古典なのでしょうね。


 ただ、読んでて面白いって感じではないですねー・・・、すごくよく考えて作られてるってのはわかりますけども。好き好きなんでしょうけど。楽しくないのは、キャラが弱いからでしょうね、ロンドン、パリの警部、弁護士、探偵、どいつもこいつも風体のあがらずキャラの弱い真面目なおっさんばっかしで、映像にしたらなんて華がない・・って感じ。それと動機もやっぱし弱いです、この時代のミステリってのは結局全部、愛する美女に片思い、が理由になってますけども、犯罪者ってのはそんなドハマリ体質のやつらばっかじゃないと思うし、だいたいそういう、ドハマリ体質のヤツってのは、巧妙なトリックを考えるタイプとは人種が違います。基本的に、賢い男ってのは女はくだらないイキモノだなって思ってて、ドハマリするのは新海誠みたいな全然モテない童貞のキモヲタみたいなヤツですw
 人間のタイプと行動が合ってないのですよねー。そういうわけではキャラ、が立っていて、まずキャラ萌えであるホームズはやっぱしすげぇなと思いますね。