冒頭のクモがピラミッドの中に入っていくシーンは全作画、つまり背景まですべて動画で書かれていて3DCGのように奥行きのある映像になってます、こんなの今まで見たことない映像だったんじゃないですか、ものすげー技術力。手書きで全部これをやるなんてしんどいなんてもんじゃない、えげつないタフネスを必要とします。そのほかアルファ(セルを塗りつぶさないで透過させる技術)、パン、ティルト、3D効果、スクワッシュ、スーパーインポーズ、雨や水の描写、水中のボカシ方、ほんとにほぼすべての技術を発明していく、えらいこっちゃやで。ほんとこういう黄金時代、クリエイティビティが爆発するような時代ってのがあるんですねー。
今のアニメーターでこんな作画出来るやついません。まぁ3DCGでやったり、ソフトを使えばアルファなんて超簡単に出来ますものね。ともかくすげー。
1931年の時点でこれなんですもん、こりゃセカイのどこも追いつけるわけない。アメリカは圧倒的に先進国です・・・。
1931年っていうのは映画にとって重要な転換転でして、つまりサイレントからトーキーが主役の時代が訪れるわけですね。そして1932年にはこれもシリー・シンフォニー・シリーズが初めてテクニカラーを利用したカラー映画を作りだす。サイレント映画は一気に過去のものとなったわけですね。現代の感覚としてサイレント映画は見るに耐えません、無音の映像を見るっていう耐性を持ってないからですね。もはや見れたものではない。カラーはそれとは異なり戦後になってもフィルム・ノワールって感じで1960年台になってもしつこく白黒映画ってのは作られ続けました。
それにしたって重大な転機なんですね、歌を歌ったり出来る俳優が必要になるし、色がついてしまうと背景を手抜きできなくなり美術や小道具が必要になる。アニメなら彩色が必要になり、色彩設計もしないといけない。絵の具を混ぜる係も必要だし、全員で色を揃えないといけない・・・
こうやって見てくとアニメーションってのは進化してんのかどうかわかりませんね、今の殆ど動きがない、マンガを読み上げてるだけじゃんみたいな漫画映画みたいなのよりもこの頃の動きのあるほうが進歩したスタイルのように見える・・・。