2017年6月10日土曜日

石恵塗りについて

 https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=63310485


石恵、同人サークル 偽MIDI泥の会、っていう絵師がいまして、もっと前から活動してたんですけど2000年台の半ばくらいから急激に、爆裂に絵が上手になって、一つの流派を起こしましたw(歴史書風文体)



 エロ絵師なんですが、商業とくらべても頭抜けて絵が上手で、絵は同人作家のほうが上手いっていう逆転現象を生み出しています、これは現在でもそうですね、といいつつ、プロでも同人でもやるっていう人が増えすぎて、コミケには企業ブースが立ち並び、っちゅーわけで、同人とプロという違いはほぼ無くなっていて、同人と商業、という販売してる店が違うってだけで作家は同じだったりします。流通経路の違いだけですね。あと内容が違う。

 ともかくすごいインパクトを与えた絵師であるわけで、実際絵を見るとすごいよくわかります、ハレーションを起こしてるみたいな強いハイライト、いわゆるフォトショ薄塗りの開祖です。


 というわけでワタシもそれを学習してみたんですけど、やっぱしすぐに出来るものでもない。ただ、やり方、ってのはだいたいわかりました。
 フォトショで塗るっていうのがポイントで最近の人はSAIで塗りまでやる人が増えたと思いますが、フォトショオンリー塗りってのはSAIが出て来る前までの手法なんですね。
 海外の絵師、ってのは圧倒的にフォトショ塗りが多いです。SAIもクリスタも日本のソフトですし、やっぱしPSに勝るものは無しってことなんでしょうか。

 PSの最大の弱点は線画が書けないってことで、昔は線画はアナログで書いてスキャンして、PSでゴミをとりつつ、チマチマトレースして線画を書いていましたね。IK塗りもアナログ線が残ってます。これはある意味デジタルだと一番コピーできないところ。

 SAIの登場により、スキャナは物置台になり、すべてデジタルで作業、というかSAIだけで作業完了、出来るようになりました。
 PSにはもう一つ弱点というかSAIにはボカシツールというのがあり、まさにアナログで絵を書いてるのと同じように絵の具をボカシて混ぜることが出来るんですが、PSにはそれはありません(ペイントブラシってのがCS4かな?で追加されてるんですけどなんか非常にもさもさしてて使いづらい)。
 そういうわけで海外絵師にはPAINTER使い、もかなりいます。PSにはない混ぜ合わせ、に特化したペイントツールって感じで、これもアナログの再現、に重点が置かれてます。
 未だにでも海外絵師は、鉛筆画をデジカメでスキャンしてそれをPSでトレースしてたりします。

 なんにせよPSはやっぱし写真合成ツールなんで、アナログの絵を書いてるみたいに書くっていうのは出来ません、よってそれを再現するためにPS独特の技ってのが開発されたんですね。

それがいわゆる、削り塗り、薄塗り。ってやつです。

具体的には、ストロークが残らないように、ブラシのハードネスを0にして、さらにOpacityも低めに設定して、何度もストロークを繰り返すことによって、なんとなくストロークが混ざったような感じになり、キレイなグラデーションが描けるっていう寸法です。
 そう見える、というだけで本当にPSだけで通用する独特のやり方です、アナログの絵の描き方、みたいなのには絶対に載ってない塗り方。アナログでそんなこと出来ないし。アナログ上がりの人にすると、一番苦手な塗り方。要するにはPSのプログラム独特の色の落ち方を利用した、錯覚、なんです。たぶんこういう使い方をする用には作ってないし。
 この独特の技法を極めることによって、石恵塗り、が完成します。ただこの技法の問題はやたら時間がかかるってことです。良い点は、なんども薄塗りを重ねていくので、失敗、しにくいってことです、なんかネットの情報だと、この塗り方は特別な才能がいるって描いてありますけど、特別な才能というよりは、特別な知識と経験が必要です。フォトショ塗り用のスキルが。SAIとかですとアナログで培ったスキルでスイスイ描けますがPSはそうはいかない。海外のイラストレーターで爆うまの人もだいたいフォトショ塗りです(個人的にRupid という海外のイラストレーターは死ぬほど上手いです)極めれば一番表現力が高いのかも。



 たぶん、ですけど、本家はレイヤー一枚で塗ってます、上にレイヤーをMULとかORで重ねてそれをMERGEしてまたもう一枚つくって、っていうふうにやる人もいますけど、そうじゃなくて、一枚だけでそれをSmudge、で伸ばしたり、ハード0ブラシでならしたりしてると思います。たまにハードなブラシで強い境界線を引いたりして塗ってると思います。

 PSのSmudgeツール、色伸ばしツールなんですが、これも使えないツールとして有名なんですが(アナログ塗りをしている人に言わせるとなんじゃこりゃっていう混ざり方をします)、使えないように見えて、他のソフトには無い、独特の混ざり方、をしますので、上手く使うと、ねっとりとした質感を出せます。


 これもネット情報なんですが、この塗り方はキレイすぎてエロさが無い。おかずにならない!という批評がありました。ネットの奴らってのはほんと自分勝手なことばっかり言いやがる、と思いますが、たしかに一面の真理をついてるかもw 
 薄塗りはなんか知らないけどエロチックにならない、キレイになりすぎてしまって、なんかキレイだとは思うけど、引き込まれない、キレイ故に飽きる。これは大いなる謎でして、アニメ塗りのざっくりした境界線が一番エロチックになる、とワタシも思います。なぜかは一切不明。
(あと石恵氏の目の描き方が悪いとワタシは思う、目のデザインはなんでこういう感じなのでしょう、あんまり好きくない。そして髪の描き方ですね、イラストの髪の描き方ってのは未解決のテーマです、これっていう正解が出てない気がする、石K氏の描き方はヅラっぽいっつーのか、髪が固い感じがする)

 ただこれは言えると思うんですけど、昔のマンガとかそういうものにあった、毒々しさっていうのか、なんか悪い感じ、反体制的な感じ?っていうのか、そういうものが無くなってきてますよね、マンガだけじゃなくて、テレビもAVもあらゆるところで、危険、な匂い、っていうのを感じない。昔はダウンタウンとかも、もっと危ない感じ、ってのがあった。テレビ版のEVAとかにも。
 バキっとした境界線のアニメ塗りってのは、その危ない感じ、が少し出せるんですよね。
 これがどうしてエロチックな感じがするのか、誰か研究して下さいw
これは日本人だけの感覚なのかなぁ?

 でも同人作品、個人撮影とかを求めるのは、この危ない感じ、ってのを求めてるんだと思うんですよね。今ちまたで同人AV、なるものがちょっとしたブームになってるようです。商業AVはキレイすぎてつまんない、また強制出演させられたとか問題になって警察の手が入るようになり、ちゃんと同意をしてます、年齢確認してます、ってのを再三確認せよってことになってしまったから、ダークな部分は闇に潜っていくっていういつものパターンになったのですね。
(映画の始まりのこれはフィクションです~~~、っていう始まりから、その後にこれは本当にあった出来事です、っていうナレーションで始まるみたいな、ぶち壊しです)
 
普通にセクシーアイドル、とかなんとか言ってテレビに出てますものねー、昔は元AV女優!みたいなことだけで叩かれまくったのに。ヌードをしてる人がNHKに出ることも無かった。それが逆に、商業に取り込まれた感じでがっかり感満載なのではないかね。