2018年12月31日月曜日

1901 パーシー街の怪死  隅の老人

本文中に説明されるように

「犯行推定時刻の偽装」

トリックがリージェントパークに続いて使用されています。

 なんらかの方法で、嘘の犯行時刻を偽装して、アリバイを作るというもの。現代のように科学捜査、解剖とかで死亡時刻がわかってしまうと使えないのですが、霧のロンドンの時代には使えたのです。

 やっぱり科学、がミステリーをつまらなくしたってのはありますね。なんでも携帯電話、が解決してしまうものな・・・。科学、は探偵もお払い箱にしてしまったのですな。

 この短編はまさかの終わり方をして、隅の老人は最終回だったのですが、人気があったのかすぐに復活することになったようです。


 ワタシが読んでいる作品社の本ではこのバロネス・オルツィについての当時の紹介記事が挿入されてるんですが、バロネ・オルツィ、実はゴリゴリの貴族なんですね。
 バロネス、ってハンガリーの性なのかなって思ってましたが BARONESS つまり、男爵夫人、のこと、バロンネス、のことか!
 普通に世襲貴族なのではないか。この時代に教育水準とかがすごく高いのも納得、また外国語である英語で執筆出来る言語能力もさもありなん、ですね。貴族の教養ってわけ。

1901 リージェント公園殺人事件 隅の老人

 「あたまが悪いってことは、どんな犯罪よりもタチが悪い」

 名言。

 霧と公園、といういかにも、ロンドンらしい舞台装置の短編小説。

 さらっと読むだけだと、ふむ・・・。え?という読者にはトリックが全然わからないタイプの短編です。

2018年12月29日土曜日

1901 イギリス共済銀行 強盗事件 隅の老人

共済銀行 provident bank

 共済とは、営利目的ではない保険みたいなもの、です。保険ももともと営利目的ではないんじゃないの??と思いますけども、特に最近は保険はそうではないらしい。
 確かに営利目的じゃないのに勧誘をするのはおかしいですものね。
でも営利目的の保険会社って無茶苦茶信用できないですけど・・・。

 保険、銀行、ほどきな臭いものはないですね、クリーンなイメージをつけようとしてるところが逆に更に胡散臭いのですわね。プラスのイメージをつけようとしてるってのが鼻につく。

 作品とはまったく関係ありません。冒頭に警察は動機、を犯人のプロファイリングで重視しているが、犯罪は、動機、よりも情熱。の問題がであることが多い。事件の裏には必ず女の影がある。女の影が現れるまでは動くな。

 ということが書いてあります。女性作家らしい、感覚。

 確かにそうだと思う。犯罪者は、情熱、を持ってる場合が多い。犯罪者というよりは、オカネが好きなやつは女が好きなやつだということが多い、だと思いますね。女が欲しいからカネが欲しくて、犯罪に手を出すという。女に興味ないのに、カネは死ぬほど好きっていうやつをあまり見ない。
 カネよりも、仕事、が大好き、でオンナにも興味ないというのはいるけども。

1901 地下鉄怪死事件  隅の老人

汽車、とミステリーってのは常に相性がよくてトモダチみたいなものです。

 というか地下鉄ってそんなに昔からあったの?という感じです。

 WIKIによるとロンドンに地下鉄が出来たのは1863年。

 まぢかよ、江戸時代にはもう地下鉄が走ってたの??イギリス帝国恐るべし。地下鉄といってももちろん電気じゃなくて、蒸気なわけで、蒸気の地下鉄ってまったく想像がつきませんね。駅が煙まみれなのでは・・?

2018年12月27日木曜日

1901 フィルモア・テラスの盗難  隅の老人

 シリーズ二作目。

 はっきり言って完全に最初からオチは見えています。だけれど、早いものがちですわね。1901年だものな。

ポートワイン、というのはポルトガルのワインなんですってね。良く聞く名前だけれど、ポルトガル、のポルト、だったのか。

1901 フェンチャーチ街の謎  隅の老人   バロネス・オルツィ

 隅の老人シリーズはホームズの初期のライヴァル、フォロワーの1人として有名で、座ってただ推理するだけ、というホームズみたいなアクション派の探偵とは違う、安楽椅子探偵、の嚆矢、オリジナルだと言われています。

 このフェンチャーチ街、はその一作目。まだまだ構成が甘い、と言わざるを得ませんがまだ推理小説っていうものがそれほど固まってない時代ですからね。でも短編で読みやすく、独特の雰囲気。霧のロンドン、のそれ、が詰まっていて、それが好きな人にはたまらない。

 バロネス・オルツィはハンガリー人、で、ハンガリー人の作家の本を読んだのは始めてかもしれません。というわけでこれから隅の老人シリーズが続くことになります・・・

2018年12月26日水曜日

2010 ラジアントヒストリア

 アトラス先生によるDSのロープレ、あんまし有名では・・ない?でもリメイクも作られているのである程度は売れたはず。

 時間を巻き戻して歴史を変えていく、というFF13-2と同じ感じのゲームです。ロープレ、というのは時間が逆に動かせる。という発想から生まれたらしい。ゲームのシステムはオーソドックスなロープレにちょっとアクションと謎解きがあるという、昔のスクウェアチックなゲームと言ったらいいのでしょうか?

 戦闘システムはマス目があってそれによってタクティクスが変化するという、ロックマンエグゼみたいなシステムです。

 とにかく時間を戻す。というのがキーポイントで、普通なら裏技扱いの過去に戻って・・というやり方が、このゲームでは常道です。常に時間を巻き戻して進む。


 「これは重要な決断だぞ・・・よく考えろ」

 という戻れないよフラグ、を出して来ますが、まったく気にする必要はありません、いつでも、どこでも過去に戻ってやり直せます。
 分岐でどっちかにしか進めない、みたいな言い方をしますが基本的に

「すべての分岐を踏む」

ことでフラグが立って進めるようになります、結局全部やるんかい!っていう感じ(BAD ENDにつながる選択肢は見なくてもいいんですけど)

 詳しく言うと、ハイスルート、とロッシュルートがありますが、必ず全部のフラグを回収することになる。時間を戻してフラグを立てていくのは結構むずいです。
 思ったよりも、敵が強い。というのがさすがアトラス先生ですね。中盤あたりの攻撃力のインフレがすさまじく、一発で全体のHP2/3もってかれて二発くらったら終わり、みたいなのがザラ。
 さらに鬱陶しい雑魚がめっちゃ多いです。バステやら仲間呼び、バフがやたら強いなど・・。あとまったくダメージが通らないカニがいるし・・・主人公のストックの攻撃力が弱くてほぼダメージソースにならないってこともかなりある。


 プレイアビリティ、がちゃんと考えられてるゲームで、セーブポイントが豊富で、いつでも時間を戻せるし、さらにイベントスキップだけでなく、テキストスキップ機能もついています。(同じ場面、に何度も戻るから)戦闘にはオート戦闘もあって、レベル上げも楽ちん。


 ストーリーは硬派っていうのか、シリアスっていうのか。あまり遊びなく、正統派な感じでずいずい進みます。セカイが砂漠に飲まれる・・・けど大国は戦争をしてる、戦争を止めてセカイの砂漠化をとめなくっちゃ!というなかなかのわかりやすしなやつです。お決まりの超兵器、

 キャラデザは独特、奇抜ってこともないけれど、今風でもありません。ただやっぱドット絵調なのはワタシ的には高得点、やっぱロープレはドット絵じゃなくっちゃ!

2018年12月24日月曜日

Apple ID ハッキング

 今朝未明に、Appleからメール、DQオンラインをインストールしましたか?


 インストールしたどころか、Apple IDなんて知らん、大昔にItunesにアカウントを作ったことは覚えているが。
 
 ハッキングされた!!

 しかも課金アプリゲーム!!!ヤバス!!めちゃくちゃ課金されてしまう!!

Appleにログイン・・しようとしたが、ログイン名もパスワードも忘れた!

 パスワード再設定!

本人確認質問に答えて下さい

ジーザス!!本人確認質問の答えも忘れた!質問の答えを再設定。

与えられた情報では再設定出来ません。

 なんだと!!!お手上げかよ!!このまま課金されほうだいにやられてしまうのか!ヘルプセンターへの電話?・・・FUCK! 思い出せ!

 何度も質問の答えを再入力!

通った!ふぃーー!まだまだ脳細胞は死んでなかったぜ。早速支払い情報、クレカの登録を削除・・・。


 削除出来ません。


なんでだこらぁ!!APPLEふざけやがって!クレーム入れてやる!


クレーム入れる前に購入履歴を確認してください。

仕方ねぇ、購入履歴確認!


 Connecting to Itunes Store...


ロードされない。

F5連打。

つながらない。まじで腹が立った!くそリンゴめ!だから嫌いなんだ。

しばらく放心状態。クレカの登録削除をもう一度ためす・・・今度は出来た!なんでさっき出来なかったんだよ!!

購入履歴には相変わらずつながらない。クレームもいれられない。

Itunesのアプリをダウンロードしてそっちから接続すれば??Chromeが開かないだけ??アプリをダウンロード(めんどい!!)

アプリからはすんなりつながる!糞が!購入履歴・・!?わけのわからんゲームに課金してる模様。しかし「保留」状態。ギリギリクレカの停止が間に合った!?まだ決済はされてない模様。

 即効でアカウント削除しようとすると

JPY 50 残っています、使い切らないとアカウント削除出来ません。

いやクソかよ!50円じゃ何も買えねぇし!残額残ってないとアカウント削除出来ない!?おのれぇ!!

 しょうがなくアカウント停止、アカウント停止はギリギリ出来た・・はぁ・・・。

手続きに一週間かかります

かかりすぎだろこのポンコツが・・・

クレカのホームページで使用履歴を確認、どうやら使われてない・・はぁ・・・・ギリギリだった・・・・。

 というわけで早朝からサイバー戦争でした。アップルはほんと腹が立つ。エラーばっかり!ソフトも重いし使いにくい!今後一生縁を切ります。


 しかしメールとパスワードが流出したのはいいとして(こんなのもはや日常茶飯事になってるものね、アカウント乗っ取りとか)、ハッカーはどうやって質問、の答えを出せたんだろう?ワタシ本人でさえ忘れていたのに???

 Apple IDのセキュリティロックがザルなんじゃねーの??みなさんもApple IDを使ってるかた、クレジットカードは危険だから登録はやめたほうがよいと思います。といってもIphone ユーザには無理なのかも。ほんと信用ならねー会社だ。


 Huawei がアメリカからBANされようとしてますね、国防安全情報を流出させているとかいって。
 いやいやいや、きな臭すぎるだろそのやり方。完全にロビイングと政治的圧力でHuaweiを市場から締め出そうとしてるとしか思えない。それに国家安全情報だから情報内容は公開出来ません、ってことに出来るし、ひどいやり口。アメリカはほんと落ち目なのかも、なにか財政的な大爆発を起こして一気に沈む可能性がありますね。株価もまたバブルはじけるのでは?

 なんにせよ最近はBAN、BAN、BAN!! BAN ばっかり、ほんとうに疲れた。死にたくなります・・・

 ふぇ~とにかく朝から疲れた・・・。たまたまワタシは早朝に起きてたから良かったものの、あのまま放置していたらと思うとゾッとします。ある意味でワタシはすごい最近運がいいのかも、紙一重で最悪の事態の避けるっていうことが続いています。

2018年12月23日日曜日

1972 ブッダ 手塚治虫

あるきっかけでこのマンガを読むことになりました。まぁ隠す必要もないのですが、杏花氏のラジオがきっかけです。
 ワタシは手塚治虫が嫌いなので手をつけていなかったのですが縁、が出来たから読むことにしました。ワタシはこういうめぐり合わせみたいなのを大切にしておって、それまで興味があってもなんかきっかけがあるまで寝かせておくことにしてます。ブッダに関しては一切読むつもりはなかったけれど・・・。

 1972年って思ったよりも最近のマンガなのだなぁと思いました、もっともっと古いマンガだと思ってた。っていうか手塚治虫って結構最近の人なのだなぁと知りました、ワタシのイメージでは1960年代には死んでるイメージ。
 

ブッダの生涯?をおってるようで、めちゃくちゃオリジナルなシナリオで、一体どういうこっちゃ?脈絡が無いのでは?っていうくらいはちゃめちゃな展開をします。
 といっても、ワタシはブッダの本当?一般に流布している生涯っていうのを知らないので元ネタを知らないから、どこがオリジナルなのかわかりませんでした。仏教ってのはキリスト教と違って、これがバイブルってものがなく、いろんな本が雑多に存在するので何がオリジナルなのかもわからないのですけどね。
 それにしても、話の展開がミライに言ったり過去に戻ったりと、バラバラなので、どういう展開??ってのが多いですね。

 しかし、これは名作であることは認めざるをえません。どういうこっちゃ、ということもあるし、やっぱりこういう描写が嫌いだ!手塚治虫ってやっぱりワタシのクズセンサーが反応する、ってとこもたくさんあるんですけども、すごく挑戦的でチャレンジ精神に溢れてることを評価せずにはおれませんね。特にメインキャラがどんどんあっさり死ぬところが良いですね。死ぬんかい!!っていうくらい死にます。あんだけいろいろフリをしておいて、死ぬという。フリをちゃんと回収する、ってのが掟みたいになってしまってる現代マンガと違って斬新な感じがします。

 でも一体全体どういう出版社がこんなマンガを連載させていたのだろう??どう考えても子供がこのブッダなんてマンガに興味を持って応援するなんてことはありえない、しかもかなりの長期連載です、どういう媒体??って思って調べたらはっとしました。なんと潮出版社なる、創価学会系の出版社だとのこと。
 
 はっ・・・、すべての点と線がつながった・・・。
 
 よってこれ以上何も言うまい。すべて理解。そういうことか・・・。

 最近なんとアニメ映画にもなっております。いやいやどこがカネ出してんねん!ってこれも思ったのですが、すべて理解。なるほどなぁ。そういうバックがあったのな・・・。


 宮崎駿はやっぱ手塚治虫のフォロワーなんだなぁとも思いました、かなりカットの作り方、がかぶっています。手塚が死んだときに駿氏だけがあいつのせいでアニメは制作費が少なくなったんだ!と1人酷評していたのは有名な話ですが、やっぱり仮想的というか、超えるべきライバルとして特別な存在だったのでしょうね。
 あとベルセルクの作者も手塚ファンなんだろうな、と。ある世代より上のマンガ家にはやっぱ手塚治虫は絶対的存在なんだなーって感じですね。ワタシはやっぱり手塚治虫は好きじゃないです。水木しげるのほうがよっぽど好き。
 けれどクズでも才能はあるってことはあります。むしろ才能がある人間は人格者だというほうが珍しいし、間違いなんだと思います。どっかぶっ壊れてる人間のほうが断然面白い。
 ブッダは火の鳥、がCOMの廃刊で連載先を探してたときに、潮出版からの依頼で火の鳥の子供向け版、として書かれたものだと書いてありました。そういうわけなんで火の鳥もやっぱり一応目を通しておこうかな・・・。

2018年12月19日水曜日

1947 新宝島 手塚治虫

 散々ワタシはどうも手塚治虫とそりが合わないので一冊も読んでないと書いてきましたが、やっぱり元ネタを知ろうというわけで読んでみました。

 この新宝島はデビュー作ではありませんが、最初のヒット作みたいなことで、手塚治虫が世に出るきっかけとなった作品であり、しかも相当なヒットとなって、戦後のマンガブームの口火を切ったということらしいです。

 まぁ戦後のマンガブームってのをどっかで決めようとしたらそりゃ戦後すぐに出たマンガが有利なのに決まっていて、とにかくなんでも新規まき直し、という社会の機運と合致しています。
 戦前、にもマンガはありました、のらくろ、みたいな。でもだいたいは、軍国主義的なノリだったのでなかったことにして、手塚治虫がマンガのゴッドファーザーということになっているのです、された、というべきかもしれません。
 
 タイトルからわかるように、スティーブンソンの宝島、がモチーフになっているし、絵面もディズニー、物語の底に流れる概念、みたいなのも白人礼賛主義みたいな調子です。

 ターザン、は「れっきとした白人の、文明人じゃよ」

というセリフもあるし、野蛮人、として黒人が描かれている。今なら完全にアウトな人種差別てんこもりの作品。

 しかし1947年、っていうのはそういう時代だったというわけです。別に手塚治虫の落ち度ではない。社会がそう言え、っていうことになってたのだし占領下なのだからあたりまえ。
 それでも手塚治虫のアメリカ憧れ、みたいなのが出ていますね。


 マンガの表現としては、マンガというよりも、絵コンテ、という形でコマ割りも絵コンテ、アニメーションの絵コンテをマンガにしたっていう感じそのもの、手塚治虫はアニメーションが最初っからやりたかったのだなぁという感じです。

2004 クトゥルフ神話TRPG

  いま話題の? クトゥルフTRPGのルールブック。タイトルだけだとわかりませんが、この本がクトゥルフTRPGの聖書みたいな本です。公式ルールブックみたいなもの。通称ルルブ(ルールブック)。この2004年出版のが最新版で、第六版?です。

 ワタシもTRPGは全然無知だったのですが、なにか誘われるようにこの本を手にしてしまいました。こういう呼ばれる本、というものがあって(まさにクトゥルフの呼び声)、だいたいそういう本はすごく貴重な本。まさにその通り、この本は良い本です。別にTRPGをしたいというヒトではなくても、読み物として、なるほどー!そういうことか!ってのがわかるし、単純に面白いです。


TRPGがいわゆるビデオゲームRPGの先祖ということになっていますが、本質的に、TRPGとVRPGは別物です。VRPGはシナリオは決まっていて、プレイヤーがシナリオをいぢるってことは基本出来ない。エンディング分岐があるとはいえ、シナリオはすべて、決まって、います。
 TRPGは大枠としてフレームワークがありますけれど、展開、はキーパーとPLのアドリブ力というか、想像力、演技力、などで無限に広がっていきます。ゲームというよりは、むしろ即興劇を発展させたものという感じ。PLの資質、がゲームの良し悪しにかかわってくるのが最大の違い。

 なんで今になってTRPG?っていうことではないんですね、本質的にVRPGとはまったく異なる遊びなのです。むしろ、他のどれよりも、すごい高度、な遊びです。ゲーム、文化が広がっていくにつれて、もっと高度なもの、として最後に行き着くものなのかもしれません。ダイスを振って戦う、バトル版すごろくみたいなものだと思ってるヒトが多いと思いますが、じつは本当はそこはあまり重要ではない。別に勝つことが目的ではないのです。


 そういうわけでTRPGは、キーパー、もPL、にも、高い想像力というか総合的スキルが求められます。なんてレベルの高い遊びなんだ!w 理想的には参加者全員がこの6000円もする本を理解し、世界観を頭に叩き込み、準備万端で挑まないといけません(全然無知なPLというのがいても、予測不能な行動をする要素として面白いかも)。
 プレイ人口が少ないというのは当然という感じです。全く万人向けではない、とにかく要求レベルが高い。選ばれしもののゲームですね。


 何よりも、この本を、というかクトゥルフTRPGを作ってる奴ら、プレイしてる奴ら、には情熱が有り余ってるということが伝わります。こんなにしっかり描かれてる本ってのはあまり無い。いろんなことがとにかくしっかり練られている。普通一冊の本を作るのにここまで情熱と時間が注ぎ込まれてることってのはあまりない。(医学とか自然科学の専門書とかを除いて)特に最近の本では本当に少ない。
 もわっ!としてる。うわっ!濃いのが来た!っていう感じ。


 本の構成としてまず「クトゥルフの呼び声」というラブクラフトの小説自体があって。そこから、少しづつ世界観をまじえつつ、TRPGってのは何?クトゥルフってのは何?例えばこういうこと。コンセプトを紹介、実例、データを紹介、実例、ルール、レファレンス知識。ラブクラフトの伝記的紹介、地球創生からクトゥルフ生物たちの関わり(!)、言語、人類学的なクトゥルフ神話の読み解き(!)、精神病に関しての情報、精神治療の歴史・・と続きます


 世界観がしっかりしてる、とよく言いますけれど、こういうのを世界観がしっかりしてると言うのでしょうね、とにかく分厚い。


 総じてなのですが、やっぱりアメリカなのか、欧米なのかわかりませんが、向こうは「リアル志向」が強いですね。
 は!?こんなクソゴリゴリのオカルトの最北端みたいなゲームなのに!?って言われるかもしれせんが、設定、はゴリゴリのオカルトでも、ルールはリアルに徹するというのでしょうか。
 特にクトゥルフモンスターには勝てない、ってのが日本的なゲームとは違いますよね。日本のゲームだったらそうはいっても、何かしら、勝つ手段、を用意する。実はこの魔法だけは効く、みたいに。
 けどクトゥルフモンスターは異世界、異宇宙の存在であるので、人間などの努力など無、であり、逃げるか封印するしか手段はない。っていうふうに、そこはリアルなんだ、設定はむちゃくちゃなのに、そこはリアルなのか・・・。っていうところに一番の欧米と東洋の違いを感じますね。

2018年12月14日金曜日

1920 スタイルズ荘の怪事件  Mysterious Affair at Styles

 ワタシは結構本を読んでるようなツラをしてますが、アガサ・クリスティはほとんど読んでませんでした。オリエント急行だけはあるきっかけで読むことになりましたが。

 なんでそんなことになったかというと、ワタシは物事を時系列にたどりたい性質なので、推理小説の歴史から紐解いて順番に読みたかったというわけでです。ポー、月光石、ホームズ、ブラウン神父、そしていまアガサ・クリスティにたどりついたというわけ。

 このスタイルズ荘、はアガサのデビュー作なのですが、デビュー作と言っても、作者30の時の遅咲きの作品ですので、遅れてきたルーキーってとこですかね。

 デビュー作にしては完成度が高すぎる、というべきなのか、アガサにしては未完成って言うべきなのかっていうような作品ですね。

 ミステリーの難しいとこで何を言ってもネタバレになってしまうので描くのが難しい。ただアガサはやっぱ♀なので、恋愛、に執着するよなぁってとこですね。そこがやっぱワタシとしては苦手で、ホームズ派になってしまうとこですかね。ホームズは色恋ネタはほとんど出てこない、そこがホームズのかっこいいところ。

 
 アガサはちゃんとしたデータがあるのかどうか知りませんが、世界最高の売上を持つ作家らしい。JKローリングにもはや抜かれたかもしれませんがアガサは作品数が多いですからね。あとマンガ、は本としてカウントされてないと思う。だとしたら鳥山明のほうが売上が高いでしょうし。
 というわけでこれから長期にわたってアガサ・クリスティシリーズが続くことになるでせう・・・。

2018年12月12日水曜日

1927 チャールズ・デクスター・ウォード事件 the case of Chales Dexter Ward H・P ラヴクラフト

  ラブクラフトの数少ない長編小説で、人によってはこれが最高傑作だ!というヒトもいるとかいないとか。

 作者もお気に入りの作品だったらしく、出版社に手渡すことはしないで、手元に保存されていたものが死後出版されました。ラブクラフト的にはバカな編集者に批評されるのが我慢ならなかったのでしょう。大衆受けを狙うのも面倒だった。すごいその気持ちわかります。どうせアホどもにはわからん。っていう諦念が後期HPLの特色なのかも。

 そしてちょっと半自伝的な作品でもあります、明らかにウォード青年はラヴクラフト、が本当はたどりたかった道筋、みたいなものをたどっている。

 プロットを話すとネタバレになってしまう通り、この小説は、ホラー探偵小説、みたいな作りになっていて、ミステリーとホラーが合体してる感じになっております。これが今までにないジャンルで、まさにHPLがパイオニアになって生み出したジャンルだと思われます。

 〇〇に似ている、という説明が出来ないので非常にレビューを書くのが難しい。とにかく、探偵小説、のトリックに当たる部分に、黒魔術っていうのか、ホラーチックなトリックが使われていて、いやそんなのなんでもアリだろ??っていう感じを、緻密な設定描写によって真実味をもたせているという感じ。

 すごく、設定にこだわる性質の人間です、HPLは。本当に古いものが好きなのだなという感じ。よくここまで・・・、っていう。オカルト好きにはたまらないものをひたすら取り込んでおる。これは好きなヒトは本当に垂涎モノの小説でせう。

2018年12月9日日曜日

2013 賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編

  カイジの第五部にあたるのでしょうか、ワンポーカー編。

 一枚のカードのみのポーカーという激烈シンプルなギャンブルで、面白くないとか酷評の嵐でしたが、じつは最長の16巻になっています。

 カイジは黙示録、破戒録、堕天録、と最初のほうはすべて13巻構成で、狙ってやってるんだったらすごいなぁと思ってましたが、和也編からそれはくずれて、10、16となっております。最初の三部のほうが面白かったというヒトが多いことでしょう。

 が、そうは言っても読ませてしまうのがカイジの地力の強さというのか。賭けぐるい、なる、いやこれカイジを美少女にしただけじゃん、みたいなフォロワーもいますけど、やっぱカイジのほうが良いですね、ワタシは。

 カイジ、も普通のマンガとは全然違うことを言います。

「命じゃねぇ、大事なのは。人生だろ、リスクを取らずに長生きしたところで、人生が空っぽならなんの意味もねぇ」


 こんなことは普通のマンガは絶対言いませんね。しかしワタシは断然カイジに共感します。本当にそう、時間、の長さは本当は意味がない。

 
 このシリーズはずっと和也との対決なのですが、和也というキャラクターは、超大金持ちのボンボンであるが、それゆえにみんなカネ目当てでよってくるだけで、友情とか愛とかを信じられないねじまがった人間という設定なのです。こういうキャラ設定はよくあるのですが、そういうキャラの中では群を抜いてリアリティがあるキャラだと思います。

 作者もそうで、カイジもアニメにも映画にもなり、金銭的にも豊かになりむしろ、作者はカイジよりも、和也の気持ちを理解出来ると思うのです、実はこのマンガの主人公はカイジではなくて、和也なんだと思う。

 そいで和也、っていうキャラクターは日本に生きてる私達、にすごい重なる。そうは言っても豊かに生活していて、世界中の人間から嫌われている。爆買いをする中国人を見てるとそれが反面教師でよくわかる。金儲けのために、接客してるけれど、ココロの底では軽蔑と憎しみしかない。それは他の国に観光に行ってる日本人を見る目と同じってことです。

 そんなことないってのは大嘘、っていうのは、いま外国人労働者の扱いがひどすぎる、みたいな暴露でも明らかです、ココロの底、は憎しみでいっぱい。本当は嫌われ者だと理解してる、でなきゃあんなこと出来やしない。

 やけに最近ヒーロー、というコトバを耳にするのもたぶんその裏返し、アメコミのヒーロー、など、アメリカ人は自分たちがヒーローじゃなくて倒されるヴィランだって誰よりも理解してる、日本だって同じことだとワタシは思います。

2018年12月7日金曜日

2014 刃牙道

 範馬勇次郎との親子対決が終わって、それでも続編が続いているということは知っていたのですが、一体何を描いてるの??って思っていましたら
 
 なんとクローン技術で再生した「宮本武蔵」と対決していました。

 いやいや・・・、無茶苦茶や・・・。マンガとしても無茶苦茶のリミッターを外しすぎているという気がします。これは・・・終わりどころを間違えてるのでは・・・。いつまでも終わらない、これが最近の週刊漫画の悪いところですけど、刃牙もその愚を犯しているのでは。

 特にチャンピオンって漫画雑誌はそういうとこがあるんですよね。ドカベンもだいたいのひとは大甲子園までしか読んでません、ワタシもそう。でもあれで完全にマンガとしては終わってますよ。

 スポーツから始まり、やがてルールが少ないヴァーリ・トゥードになり、さらに審判のいないストリートファイト、喧嘩になり、さらに真剣、勝負。殺し合いになる。
 殺し合いの先はありません、命よりも価値のあるベットってのが存在しないから。人間が唯一いくらカネを積まれても手放さないもの、それは自分の命だけです。それ以上は無い。

 だいたいロボットアニメとかでも同じ様なことです、街を破壊、都市を破壊、国家を破壊、星を破壊、人類を全滅。それ以上、はない。人類を絶滅させたら終わりです。続けようがない。やりすぎました。

 
 それでもまだまだ刃牙は続けるみたいで、今度はなんと相撲編、みたいです。ここに来て!?


 ドカベンも終わったらしいし、刃牙も終わらせるべきですよね、まぁチャンピオンとしたらその看板なくなったら一体どうすりゃいいのか、路頭に迷うってことなんでしょうけど。
 

2018年12月5日水曜日

2018 プロフェッショナル 宇多田ヒカル

 再放送でしたが宇多田ヒカルのドキュメンタリーを見ました。

 宇多田ヒカルってこんな顔だったっけ??っていうのがファーストインプレッションw なんかもっと下膨れの顔だったような・・・、なんかシャープなフェイスラインになりましたね。あとメガネっ子だったってこともしりませんでした。
 で35才ってのにもばびった。若っ!!15才でデビューしてまだ35なんですねー・・恐ろしい子!w でもキャリアでいうと20週年・・・ベテランアーティスト・・

 で、ヒッキーの制作現場ってのもあるんですが

「普通!」

 ってのが一番印象的でしたね。そのへんのアマチュア宅録ミュージシャンとほとんど何も変わらない。MIDIキーボードにマイク、モニター、ラップトップ、それだけで曲を作ってる。

 もちろんそっからスタジオにスタジオ・ミュージシャンを呼んだり、オケを呼んで録音したりっていうのはプロとアマの違いではありますけど、基本的にやってることは、アマチュアでもセカイトップクラスの金持ちアーティストでも同じなんですね。
 ただ違うのは、才能、だけです。


 宇多田ヒカルって、ワタシの中で、才能人だってのはそんなの誰にだって明らかですけど、ワタシの予想、を裏切るタイプのヒトで、すごい珍しいグループの箱に入っています。
 だいたいこのヒトはこうだろうな・・、っていうのがあって、その枠から外れるってことはほんとにめったに無いんですけど、ヒッキーはその中で例外中の例外。読めないヒトというイメージです。
 正直このヒトは絶対ダメになる、というカテゴリに入れていたのですけど、どうやらそうでは無かったらしい。かなり確信を持って、あっこのヒトはダメになるタイプのヒトだ、って思ってたので、ものすごい意外。
 ワタシはこの人間整理ボックスを外すってことはめったにないのです。こいつクズだな、って判断する目利きとしてかなり優秀だっていう自負がある、特に悪くなる、ヒト、を見極めるのは経験上外したことがなかったのですが、ヒッキーに関してだけは全然当たらなかった。良くなってる、とは言わないですけど、ワタシが思ったように悪くはならなかった、全然別の方向に進んだ。
 もっとサバサバして合理的なヒトだとも思ってたけれど、実際はエモいヒトだってのもすごく以外。ミュージシャンとしてはめっちゃ困るプロデューサーですねw感情論ばっかりじゃねーかよ!わからねーって!っていう。


 あと突然取り出した本が、ナボコフの「Pale Fire」って・・かっこつけすぎでしょw 超読みにくいで有名な本です。 ワタシも大学時代にかっこつけてこの本読んでたってことを思い出した。マヤコフスキーじゃなかっただけましか・・。

2018 The Nature of Imitation Dorian Concept

 2018年のベスト・アルバムを発表します

 ドン!

Dorian Concept   The Nature of Imitation

わぁっ!


 ぶっちぎりだと言っていいと思います。たぶんいろんなメディアでこれから、今年のベストアルバムは~~・・、みたいなのをやっていると思いますが、トップ1じゃなくてもトップ10にこのアルバムが入って無かったら、そのメディアはゴミクズです。
 そのくらい、圧倒的にこのアルバムが図抜けています。ここ数年、でもトップに入るかもしんない。


 ただ、普通のリスナーのたぶん98%はドリアン・コンセプトなんて聞いたこともないかもしれません。世間、のいわゆる音楽賞って歌もの縛り、があります。それがある理由が意味がまったくわかりませんが、シンガーがいて、歌を歌う、というものが、いわゆる音楽だと思ってる輩がたくさんおる。ダフト・パンクみたいな、歌もある、っていうダンスミュージックが賞をとることもあるけれど、エレクトロ系のミュージシャンが普通の音楽番組とかメディアに登場することは非常に稀。なぜか敷居が高い。

 日本には、まずエレクトロ系の音楽を扱う、っていうメディアがほとんど存在しない。まずそんなテレビがないし、ラジオ番組もたまに流すことはあっても、全編エレクトロっていうのはワタシの知る限りでは存在しません。

 ぶっちゃけ歌もの音楽、はここ30年、何一つ進歩が見られない。まったく同じことを30年続けてます。さすがに飽きた。何か進歩じゃなくても変化、が見られるのはHIP HOPとエレクトロ、この2ジャンルだけです。後は全部前に見た、ってものばっかり。
 歌っている人間、が変わったり、歌詞が携帯からスマホに変わっただけで音楽的にはまっったく同じ。


 もっと言うと、歌うこと、ないだろってワタシは思う。だって戦争が無いんですもの。闘争がないんですもの。何も言うことなんかない。全部空っぽの嘘っぱちです、実体験がなにもない。決まり文句を言ってるだけ。何も言いたいことなんかないのに、曲を作って売らないといけないからひねり出してるだけ。何か言いたいことがあって歌があるのではなくて、曲が出来たから、歌をつけないといけないっていう順序なのです。
 この何も言うことがない、っていう時代の空気を一番反映してるのがエレクトロミュージックだと思います。だからこそ、これが時代の音。

2018年12月4日火曜日

1998 BLAME!

 ポストエヴァー世代というのでしょうか。エヴァーが映画も終わって完結したあとで、最近なんか面白いものある?と聞くと、マンガに詳しいヒトは決まって、ツトム・ニヘイ。と答えたものでした。
 どういうわけか弐瓶勉、ではなくてツトム・ニヘイ、と言われていたわけは、弐瓶勉が評価されたのは海外のほうが早かったからだと思います。逆輸入みたいに、海外で人気の漫画家、ツトム・ニヘイっていう感じでした。ワタシは最初は日系アメリカ人だと思っていました。


 読むとわかるのですが、なんていうのですかねこういうジャンル、ハードSFっていうのか、海外のヒトが好きそーな感じのやつです。
 この手のタイプの絵ってたぶん源流はやっぱりギーガーなんでしょうね、頭部が陰茎だったりするのはペルソナにもベルセルクにも出てきますけれども、オリジナルはたぶんギーガーなのでは・・?バイオメカニズムという、肉肉しい機械みたいなうやつ。BLAMEのケイ素生命体、の脊髄っぽいデザインもギーガー風。このギーガー風のダークな感じってのは海外ではメタルと同じように、一定数以上の根強いファンがいるのです。増えもしないし減りもしないっていう、独立したコロニーを持っている。

 ギーガーはエイリアン、のデザイナーとしても有名で、クトゥルー関連の本のイラストもかなり描いております。ギーガー自身が何をモチーフにして絵を描いてるのかは謎。やっぱりギーガーがスイス、スイスというかドイツ語圏に属するってのが大きいんじゃないでしょうか。デューラーとかボッシュ、ブリューゲルっていうようにあのヨーロッパの内側のほうってなんというか、ダークっていうかしめっぽい、スペインとかフランス、イタリア、とか日の当たるところのカラっとした感じと違って、じめじめした感じがするのです。
 枢軸国家、AXIS、にドイツ、日本が集まったのはやっぱり因縁があって、すべて陰湿なド変態を生み出す気候です。日本のエロ、もかなり気が狂ってますけど、やっぱりそれに対抗出来るのは、ドイツしかありません。SM、スカトロ、人体改造、日本とは違う方向の気が狂った変態がたくさんいます。それとAXISの国家はすべて自動車産業が盛んという共通点もある。

 さてマンガに話を戻すと、このマンガ、作者は恐ろしく絵が上手くて人物の顔が歪んでしまっているのか、それともただ単に絵が下手なのか判別が付きません。背景の世界観はすごいのに、人物、特に顔が、どっどういうこと・・??ってくらい歪んでいます、わざとそうしてるのかわかりません、もしかしたら作者には本当にこういうふうに見えてるのか??と思うとすごい恐ろしい。あと全員同じに見える、という弊害もあります。セーフガード、統治局、ケイ素生命体、など、敵味方いろいろいるのですが全員見た目が同じで判別不能。これもわざとそうなのか、1つのパターンしか持ってないのか、カオスがそうさせているのかわかりません。

 プロットもなんのこっちゃわからんっていうヒトもいるかもしれませんが、深く理解しようとしちゃ駄目です、考えるな、感じろ形式のものなので。理解しようとすると意味がわからなすぎて吐きそう、ってなると思います。特に10巻なんてひどい。終わり方も、やりおった!っていう感じのぶん投げ感。まぁキレイにすべての謎が解決されるなんて誰一人期待してなかったと思いやすけど。

 ただこういう背景、だけで物語を語ることが出来る作家ってのはマンガ力が高い証拠です。弐瓶勉は現役の作家の中でも指折りのマンガ力だと思う、当時と比べて今ではもうかなりメジャーな作家になりましたね、それも当然。もっと早く映画とかになると思ってましたが。なかなかメジャーになるまで時間がかかったです。庵野秀明の次は弐瓶勉しかいない。っていうふうにすぐなると思ってましたが。

 逆に絵がうまいけどマンガ力が低い作家の特徴は「顔マンガ」です。よく「顔マンガになっちゃだめ」、っていうふうに言います。コマの殆どがキャラの顔だけで、世界観とか場所とか、が全然伝わらない。アニメーションとかでもそうです、キャラの顔のアップばっかしで、動きが全然ない、背景が置いてけぼり、ハリボテになっている。これが悪い漫画、悪いアニメの典型。しかし、実際にはほぼすべてのマンガやアニメは顔マンガで、顔マンガのほうが人気があったりする。
 萌アニメなど美少女中心のものは大概この顔マンガ、顔アニメです。いくら悪かろうが、そっちのほうにカネを出すヒトがいるんだからそっちが正しいってことになる。
 
 というわけで10年以上も前から知ってて、よしこれは後で読もー、とずっととっておいてたら、こんなに時間が経ってました。こういう、今はその時期じゃない、ってずっと塩漬けにされてるものってあるよなぁ・・なんででしょう。
 特にワタシはこれは良い作品だ、ちゃんと読まないと・・・っていうものを後回しにする癖があります。貧乏性なのか? 貧乏だったら奪われないためにすぐ食べるはずだから、ブルジョア趣味なのか?

2006 範馬刃牙

 刃牙第三部で事実上の完結編みたいな感じ・・と思いきや、刃牙道という形で第四部が始まって、あれ・・??終わりじゃないの??っていうことになりましたが、とにかく刃牙と勇次郎の対決なのです。

 が、このマンガ展開がむちゃくちゃで、ずるずる~~っと対決を後伸ばしにして、まずピクル編が始まり、それが終わって、対決かな??と思いきや、なんかいろいろなサブストーリーが入り、さらには烈海王のボクシング編が始まり、なんと途中でぶった切られるように終わり、親子対決に突入するまでものすごい時間がかかります。

 まぁそんな紆余曲折を経ながらも、最終的には、勇次郎に味噌汁を作らせて終わりますw 

 刃牙はもう通算この時点で100巻超えてるのですよね、ただの格闘漫画で100巻て・・・。まぁ最近は100超えるのが珍しくないですが、とにかくこの作者は休まないってことですよね。とにかくページは埋める。休まない、週間連載の作家としてはプロフェッショナルですね。


 実は刃牙ってスニーカーマンガでもあるとワタシは思っています。やたらスニーカーの描写が細かい上に、ちゃんといつも違う靴を履いている。普通面倒だからコンバースならコンバース、ブーツならブーツにしちゃいますけど、刃牙は常にスニーカーにはこだわっている。ジャックハンマーでさえかっこいいスニーカー履いてますからね。


 しかしマンガとしてはなんか無茶苦茶な気がしまする。しかしそれも含めて刃牙なのかもしれません。それが刃牙道なのか??