散々ワタシはどうも手塚治虫とそりが合わないので一冊も読んでないと書いてきましたが、やっぱり元ネタを知ろうというわけで読んでみました。
この新宝島はデビュー作ではありませんが、最初のヒット作みたいなことで、手塚治虫が世に出るきっかけとなった作品であり、しかも相当なヒットとなって、戦後のマンガブームの口火を切ったということらしいです。
まぁ戦後のマンガブームってのをどっかで決めようとしたらそりゃ戦後すぐに出たマンガが有利なのに決まっていて、とにかくなんでも新規まき直し、という社会の機運と合致しています。
戦前、にもマンガはありました、のらくろ、みたいな。でもだいたいは、軍国主義的なノリだったのでなかったことにして、手塚治虫がマンガのゴッドファーザーということになっているのです、された、というべきかもしれません。
タイトルからわかるように、スティーブンソンの宝島、がモチーフになっているし、絵面もディズニー、物語の底に流れる概念、みたいなのも白人礼賛主義みたいな調子です。
ターザン、は「れっきとした白人の、文明人じゃよ」
というセリフもあるし、野蛮人、として黒人が描かれている。今なら完全にアウトな人種差別てんこもりの作品。
しかし1947年、っていうのはそういう時代だったというわけです。別に手塚治虫の落ち度ではない。社会がそう言え、っていうことになってたのだし占領下なのだからあたりまえ。
それでも手塚治虫のアメリカ憧れ、みたいなのが出ていますね。
マンガの表現としては、マンガというよりも、絵コンテ、という形でコマ割りも絵コンテ、アニメーションの絵コンテをマンガにしたっていう感じそのもの、手塚治虫はアニメーションが最初っからやりたかったのだなぁという感じです。