カイジの第五部にあたるのでしょうか、ワンポーカー編。
一枚のカードのみのポーカーという激烈シンプルなギャンブルで、面白くないとか酷評の嵐でしたが、じつは最長の16巻になっています。
カイジは黙示録、破戒録、堕天録、と最初のほうはすべて13巻構成で、狙ってやってるんだったらすごいなぁと思ってましたが、和也編からそれはくずれて、10、16となっております。最初の三部のほうが面白かったというヒトが多いことでしょう。
が、そうは言っても読ませてしまうのがカイジの地力の強さというのか。賭けぐるい、なる、いやこれカイジを美少女にしただけじゃん、みたいなフォロワーもいますけど、やっぱカイジのほうが良いですね、ワタシは。
カイジ、も普通のマンガとは全然違うことを言います。
「命じゃねぇ、大事なのは。人生だろ、リスクを取らずに長生きしたところで、人生が空っぽならなんの意味もねぇ」
こんなことは普通のマンガは絶対言いませんね。しかしワタシは断然カイジに共感します。本当にそう、時間、の長さは本当は意味がない。
このシリーズはずっと和也との対決なのですが、和也というキャラクターは、超大金持ちのボンボンであるが、それゆえにみんなカネ目当てでよってくるだけで、友情とか愛とかを信じられないねじまがった人間という設定なのです。こういうキャラ設定はよくあるのですが、そういうキャラの中では群を抜いてリアリティがあるキャラだと思います。
作者もそうで、カイジもアニメにも映画にもなり、金銭的にも豊かになりむしろ、作者はカイジよりも、和也の気持ちを理解出来ると思うのです、実はこのマンガの主人公はカイジではなくて、和也なんだと思う。
そいで和也、っていうキャラクターは日本に生きてる私達、にすごい重なる。そうは言っても豊かに生活していて、世界中の人間から嫌われている。爆買いをする中国人を見てるとそれが反面教師でよくわかる。金儲けのために、接客してるけれど、ココロの底では軽蔑と憎しみしかない。それは他の国に観光に行ってる日本人を見る目と同じってことです。
そんなことないってのは大嘘、っていうのは、いま外国人労働者の扱いがひどすぎる、みたいな暴露でも明らかです、ココロの底、は憎しみでいっぱい。本当は嫌われ者だと理解してる、でなきゃあんなこと出来やしない。
やけに最近ヒーロー、というコトバを耳にするのもたぶんその裏返し、アメコミのヒーロー、など、アメリカ人は自分たちがヒーローじゃなくて倒されるヴィランだって誰よりも理解してる、日本だって同じことだとワタシは思います。