2018年12月19日水曜日

2004 クトゥルフ神話TRPG

  いま話題の? クトゥルフTRPGのルールブック。タイトルだけだとわかりませんが、この本がクトゥルフTRPGの聖書みたいな本です。公式ルールブックみたいなもの。通称ルルブ(ルールブック)。この2004年出版のが最新版で、第六版?です。

 ワタシもTRPGは全然無知だったのですが、なにか誘われるようにこの本を手にしてしまいました。こういう呼ばれる本、というものがあって(まさにクトゥルフの呼び声)、だいたいそういう本はすごく貴重な本。まさにその通り、この本は良い本です。別にTRPGをしたいというヒトではなくても、読み物として、なるほどー!そういうことか!ってのがわかるし、単純に面白いです。


TRPGがいわゆるビデオゲームRPGの先祖ということになっていますが、本質的に、TRPGとVRPGは別物です。VRPGはシナリオは決まっていて、プレイヤーがシナリオをいぢるってことは基本出来ない。エンディング分岐があるとはいえ、シナリオはすべて、決まって、います。
 TRPGは大枠としてフレームワークがありますけれど、展開、はキーパーとPLのアドリブ力というか、想像力、演技力、などで無限に広がっていきます。ゲームというよりは、むしろ即興劇を発展させたものという感じ。PLの資質、がゲームの良し悪しにかかわってくるのが最大の違い。

 なんで今になってTRPG?っていうことではないんですね、本質的にVRPGとはまったく異なる遊びなのです。むしろ、他のどれよりも、すごい高度、な遊びです。ゲーム、文化が広がっていくにつれて、もっと高度なもの、として最後に行き着くものなのかもしれません。ダイスを振って戦う、バトル版すごろくみたいなものだと思ってるヒトが多いと思いますが、じつは本当はそこはあまり重要ではない。別に勝つことが目的ではないのです。


 そういうわけでTRPGは、キーパー、もPL、にも、高い想像力というか総合的スキルが求められます。なんてレベルの高い遊びなんだ!w 理想的には参加者全員がこの6000円もする本を理解し、世界観を頭に叩き込み、準備万端で挑まないといけません(全然無知なPLというのがいても、予測不能な行動をする要素として面白いかも)。
 プレイ人口が少ないというのは当然という感じです。全く万人向けではない、とにかく要求レベルが高い。選ばれしもののゲームですね。


 何よりも、この本を、というかクトゥルフTRPGを作ってる奴ら、プレイしてる奴ら、には情熱が有り余ってるということが伝わります。こんなにしっかり描かれてる本ってのはあまり無い。いろんなことがとにかくしっかり練られている。普通一冊の本を作るのにここまで情熱と時間が注ぎ込まれてることってのはあまりない。(医学とか自然科学の専門書とかを除いて)特に最近の本では本当に少ない。
 もわっ!としてる。うわっ!濃いのが来た!っていう感じ。


 本の構成としてまず「クトゥルフの呼び声」というラブクラフトの小説自体があって。そこから、少しづつ世界観をまじえつつ、TRPGってのは何?クトゥルフってのは何?例えばこういうこと。コンセプトを紹介、実例、データを紹介、実例、ルール、レファレンス知識。ラブクラフトの伝記的紹介、地球創生からクトゥルフ生物たちの関わり(!)、言語、人類学的なクトゥルフ神話の読み解き(!)、精神病に関しての情報、精神治療の歴史・・と続きます


 世界観がしっかりしてる、とよく言いますけれど、こういうのを世界観がしっかりしてると言うのでしょうね、とにかく分厚い。


 総じてなのですが、やっぱりアメリカなのか、欧米なのかわかりませんが、向こうは「リアル志向」が強いですね。
 は!?こんなクソゴリゴリのオカルトの最北端みたいなゲームなのに!?って言われるかもしれせんが、設定、はゴリゴリのオカルトでも、ルールはリアルに徹するというのでしょうか。
 特にクトゥルフモンスターには勝てない、ってのが日本的なゲームとは違いますよね。日本のゲームだったらそうはいっても、何かしら、勝つ手段、を用意する。実はこの魔法だけは効く、みたいに。
 けどクトゥルフモンスターは異世界、異宇宙の存在であるので、人間などの努力など無、であり、逃げるか封印するしか手段はない。っていうふうに、そこはリアルなんだ、設定はむちゃくちゃなのに、そこはリアルなのか・・・。っていうところに一番の欧米と東洋の違いを感じますね。