2018年12月12日水曜日

1927 チャールズ・デクスター・ウォード事件 the case of Chales Dexter Ward H・P ラヴクラフト

  ラブクラフトの数少ない長編小説で、人によってはこれが最高傑作だ!というヒトもいるとかいないとか。

 作者もお気に入りの作品だったらしく、出版社に手渡すことはしないで、手元に保存されていたものが死後出版されました。ラブクラフト的にはバカな編集者に批評されるのが我慢ならなかったのでしょう。大衆受けを狙うのも面倒だった。すごいその気持ちわかります。どうせアホどもにはわからん。っていう諦念が後期HPLの特色なのかも。

 そしてちょっと半自伝的な作品でもあります、明らかにウォード青年はラヴクラフト、が本当はたどりたかった道筋、みたいなものをたどっている。

 プロットを話すとネタバレになってしまう通り、この小説は、ホラー探偵小説、みたいな作りになっていて、ミステリーとホラーが合体してる感じになっております。これが今までにないジャンルで、まさにHPLがパイオニアになって生み出したジャンルだと思われます。

 〇〇に似ている、という説明が出来ないので非常にレビューを書くのが難しい。とにかく、探偵小説、のトリックに当たる部分に、黒魔術っていうのか、ホラーチックなトリックが使われていて、いやそんなのなんでもアリだろ??っていう感じを、緻密な設定描写によって真実味をもたせているという感じ。

 すごく、設定にこだわる性質の人間です、HPLは。本当に古いものが好きなのだなという感じ。よくここまで・・・、っていう。オカルト好きにはたまらないものをひたすら取り込んでおる。これは好きなヒトは本当に垂涎モノの小説でせう。