ストーリーを殆ど排除した、自然描写だけの斬新な作品で、シリー・シンフォニーシリーズの総決算的な、革新的な技術などがふんだんに盛り込まれています。
おおまかな流れはバンビという子鹿が、自然と一緒に大きくなり、母親が死に、青年となり、恋人を見つけ、子供が出来る。ただそれだけの話です。
最初のオープニングシーンから圧倒されるようなマルチプレーン撮影のシーンで、すげーー!!ってなっちゃいますね、完全にアート寄りの作品。それでも子鹿の動きやうさぎの動き方など、すごい解剖学的な動きをします。めちゃ研究してやがる・・・。って感じ。こんなひたすら手数と人海戦術を駆使したような贅沢なアニメーションってのはもう二度と出来ないかもしれません。アニメとアニメーションっていうのですか、アニメーションってのはもうこれでおシュウマイ。ファンタジアと並んでディズニー最高傑作ですね。
言うなれば中世の建築みたいなもんで、ケルン大聖堂、とかあぁいう感じで今の時代にもうあぁいうものをつくるのは不可能になったのですわね、技術が進化してセカイは便利になったのに、昔出来たことがもう出来ないってのは不思議なこってす。
まぁ当時ですらそれほど興行収入は出せませんでしたので・・・まぁ戦争の影響ってのが巨大すぎるほど巨大にあるんですが、ほんとセカイは火の海、っていう時代に作られてますからね。でもそういう時代だからこそ、バンビはなんかただの美しい、綺麗、っていう感じじゃなくて、どっか厳しくて、切ない、本質的な感じ。を持つことが出来たのかもしれません。
バンビの母親が死ぬシーンなんですが、すごい鮮やかです。スノーホワイトが死んだ時には、お涙頂戴、悲しみのどん底、みたいなベタベタする感じでしたが、バンビの母親が死んだってのは銃声一発、で表現されて、バンビは母親を探しに行くと、牡鹿のリーダーみたいなのが一言、一緒に来なさい、って言うだけです。バンビはそれで全てを悟り、一度だけ振り返って一粒涙をこぼす。それだけです。
悲しいことなんて腐るほどあるけれど、それに浸ってちゃいけない、っていう当時の雰囲気、みたいなのがあって、すごいいい感じ。ワタシは家族愛、お涙頂戴、的な映画が大っ嫌いだし、結婚してる奴はクリエイターとしては引退、死んだと同じだって今でも固く信じてますがw このアニメーションは見れますね。
ただほんと最近のヒトは芸人とかミュージシャンも平気ですぐに結婚しますね・・、なんかもっとプライドとか、志とか、そういうのないんか、コラって思いますね。もっとストイックになんかやろーぜ。結婚して面白くなったヤツなんてひとっっっっっっりもいません。バカとかガキとか時代遅れといわれようがこれは絶対に譲れません。
別にクリエイターじゃなきゃどんどん結婚すればいいですけど、ものづくりするヒトは絶対だめ。孤独だけが、本当の人間のエネルギーだもん。