2019年10月20日日曜日

1976 こちら葛飾区亀有公園前派出所

 こち亀です。こち亀知らない人はいないと思いますが、ちゃんと読んでる人ってのもあんまりいない。が、まんが読みは実はこち亀面白いってことを知っています。しかし何分長いので面白い時期、ってものがある。だいたい~20巻、くらいまではアイドリングって感じで、20~から、中川、レイ子、本田、部長、ひぐらし。といわゆる派出所スタメンが確定。面白くなってきます、全盛期。


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  とにかく両さんのポリシーってのは粋、ってことなんですな。

1980年、の巻に「最近はみんな個性がなくなってきている、いい意味でもキチガイがいなくなってしまった」というようなことがかかれています。まったく現代と同じこと言ってますな、みんな個性がなくなったと。けど現代ではキチガイ、というコトバすら使えなくなっているわけで、個性が無くなった上に、さらに規制が強くなって、共産主義に近づいているのかも。

両さんが中川の豪邸に言った時に、バカでかい風呂を見て

「おれはこんなプールみたいな風呂よりもひのきの風呂がいいな、それが粋ってものだろ?」

 ってなことを言います。こち亀がなにか?っつったらこの下町の粋、ってことにつきるんですよね。

現在だったら、粋、なんかよりも豪邸のほうがいい、っていう価値観が世論でしょう。それは日本、だけじゃなくてセカイ、の世論。
 中川みたいな金持ちが羨ましい・・・っていうのが、現代。でも1970年台にはまだまだ「粋」の文化が残っていた、ということではなくて、そういうものが消えかけている、から昔気質の両さん、が主人公なわけで、だから1970年台よりももっとまえ、やっぱりつまるところ60年台、あの頃は良かった、のあの時代を描いてるわけです。

 ルパンも

「粋じゃねぇなそんなやり方は、おれはルパン流のやり方でやらしてもらうぜ」

ってことを言っております。だからルパンは悪党だけれども愛されるわけで、カネのためならなんでもやるぜ、ならただのギャングになってしまう。

序盤のほうではフータローだの、ヤクザっぽい同僚がいたりの今ではBAN、される内容が多分に含まれております。猿の頭蓋をぶち割って脳みそぶちまけてやる!というセリフがあったりします、今なら絶対アウトですなーこりゃw

 でも都合の悪いことは、無いことにする、箝口令を引く、っていうのと、それをギャグにできるって、どっちがまともかっていったら後者がまともに決まっています。
 
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 作画はモノ、を描くスタイルですよね。モノ、がとにかくいっぱいかかれている、週間連載なのにものすごい丁寧です。アシがすげー優秀なのか、それともものすごい速筆なのか、ですね。
 そしていちいち描かれているモノ、のディテールが細かい。銃、車、バイク、機械、ガジェット、いわゆる男が好きなもの、がふんだんに入っている。たぶん「こち亀」が好きな人は、こういういわゆるモノマニア、の人が多いと思いますね。(ちなみにワタシはこういうモノ、に対する興味がものすごい薄い、ミニマリストです、モノは少なければ少ないほどいい、特にクルマ、が好きな人の意味がわからん、あんなダッサイ乗り物無いとワタシは思ふ・・・)
 今では古臭いかもしんないけど当時としては、かなり美少女を描くのが上手だったと思いますね。

 あと実は実験的なマンガにも相当チャレンジしてます、横書きにしてみたり、上下二段で別のストーリーとか、星とうでん、が出てくる回では劇画調など・・・