箴言、というよりは、ことわざ集。
もっと言えば、単なる忠告、の集まりです。
この本はソロモン王によるものとされています。少しだけソロモン以外のことわざも収められている。
娼婦に近づくな、スケベな女に近づくな、不倫するな、連帯保証人になるな、ちゃんと働け、怠けるな、勉強しろ、しゃべりすぎるな、他人の悪口を言うな、バカとは付き合うな、犯罪を犯すな・・・
みたいな至極当然なことをソロモン先生が教えてくれております。
ただこのソロモン、という人物が、聖書で一番問題のある人物でして、歴史書を読めば結末はわかっていますが、最盛期は最高の知恵を持った王として君臨しましたが、晩年は外国の女に溺れて、異教の神をあがめ、イスラエル没落の原因となった人物でもあります。
始皇帝、とか秀吉に似通っておりますね、最高の天才とあがめられていたが、晩年めちゃくちゃになっていくっていう。
だいたいの人間は年をとると愚かになっていきます、特に権力者は。権力は人間を腐らせるってわけですわ。権力者で最後まで偉大だったというやつはほとんどいない。
ごく少数の人間が、晩年になるにつれて、死ぬ最後まで成長しつづける、ベートーヴェンなどまさにそれ。ただそういう偉人、は本当にレア。芸術家にはいるけど権力者ではいないかもしれない。
シーザーが最高の政治家であり、最高の武将とされるのはやっぱ暗殺されて、老いぼれることなく生涯を終えたからですね。ある意味シーザーの栄光はブルータスのおかげだと思います。
リンカーンも悪い噂をほとんど聞かないと思ったらこっちも暗殺されたのですか・・・
とにかく、ソロモンこそ、聖書の核となる人物だと思います。聖書の中で、一番異端的な人物でもあるから。ここから続くソロモンの本が旧約のコアになっています。
この箴言の中にソロモンの堕落のヒントがあって
Wealth is clown for wise.
富こそが、知恵の王冠である。
とソロモンは言ってます。つまり知恵は物質的豊かさを得るための手段だってこと。ソロモンんは知恵者と言われながら、アーリア人みたいに、精神的豊かさを物質豊かさよりも重視しなかった。富裕さ、がこそ知恵の証。これは現在のユダヤ人にも通じるのかも。
カネ、が正しさの証明、ってことです。
キリスト教は、アーリア系の宗教の影響を受けることで、清貧、を重視しました、キリスト教とユダヤ教の決定的違いだと思いますね。仏教でいうところの現世利益。
マテリアルかスピリチュアルか。