2016年7月28日木曜日

1597 mid summer night dream 夏の夜の夢 シェイクスピア

 シェイクスピアの中期あたりと見られる、喜劇。喜劇というよりは、ファンタジーコメディという感じ。

 かなり名前も有名ですが筋を知ってるヒトはR&Jと比べると少ないのでは。

Mid sumemr night's dream で、Mid night summer's dream ではありません。真夏の夜ではなく、夏至の夜。


 シェイクスピアの作品にしては珍しく、元ネタが存在しない、つまるとこ完全オリジナルの可能性が高い作品。
 明らかにシェイクスピアだろ!っていうスタイルが固まってる作品ですね、取り違え、メタモルフォーゼ、ファンタジックな道具立て、いきいきとした下町の道化、王、と王女。やりすぎなくらい、シェイクスピアらしい作品です。ただ1つ血が流れないというのが珍しいです。ハッピーエンド。


 シェイクスピアの恋愛観ってのは見事でして、ものすごい直球、ワタシを犬として扱って!!っていうセリフの通り、豪速球で求愛して永遠の愛を誓いつつ、次の場面にはころっと他の女に恋をしてる、ロミオもそうであったように。そういうふうに恋愛ってのは、儚くて、永遠とは程遠いものだって笑いものにしつつも、恋愛が元で殺しあったり自殺したりと、一瞬、瞬間的には命をかけても惜しくない至高のものだ、っていうのも共存してる。一瞬の永遠として恋愛ってのは存在する。っていうのがシェイクスピア的な恋愛でして、ワタシはこれはすごいそのとおりだなと思うのですよね。
 それとシェイクスピアはフェミニストっていうか、女=浅はかなバカ、っていうのではなくだいたいは賢い役を与えられてます。道化はだいたい全部オトコ。そこもワタシは好きです。結局女の子は全然活躍してねぇじゃんか、っていう作品はほとんどなく、ちゃんと役割が与えられてる。

 ちょっと前にメーテルリンクにはリアリティが無いと書きましたが、シェイクスピアには、リアリティがバッツリあるのです。道具立てとしては両方ともファンタジー劇なんですが、シェイクスピアには、リアル、さがビシビシと感じられる、まぁシェイクスピアと比べられては、メーテルリンクが可哀想ですけど・・・。


 またこの劇はお得意の劇中劇が盛り込まれていて、重層構造的な仕上がりを持ってます、劇の筋と劇中劇の筋、っていうのが絡まっておる。

 いたずら者のパック、ホントは猫をかぶっていて怒ると怖いヘルミアなど、キャラクターも粒ぞろい・・・むぅ・・・名作ですねやっぱし。ちゃんと整理してみると物語のプロットも相当斬新、革新的です。
 あんまし日本語ではわかんないでしょうけどパックがどういうことがあったの?って聞かれた時の説明ゼリフがあるんですが、説明ゼリフの中でも屈指のあざやかさ、まさに流れるようなセリフ回しがあります、すばらしーーーーーーw 


 シェイクスピアだから褒めてんだろってやっぱし思われるんでしょうが、やっぱすごいですこのおっさんは。イギリス人気質は、神経質でむつかしく、紳士でクール、プライドが高いっていう感じもあるんですけど、やっぱイギリス人って根っこはすごいプラス思考っていうか、前向きなんですよね。内に秘めたポジティブ。




 関係ない話ですが、このブログ最近急にアクセス数が上がってるんです・・・・何かに目をつけられたか!?こわーーw