ある意味で有名な作品です、といってもかなり短い短編のお話。
この短編が有名となってるのは明智小五郎というキャラが初めて登場する作品だからです。しかし明智小五郎というと頭脳明晰、インテリ、イケメン、スレンダーでニヒルなオトナっていうイメージとは最初はまったく違っていて、四畳半の部屋に本を埋め尽くして生活する無職?の遊び人。髪はボサボサ、ファッションは奇抜、歩き方が妙なクセのある人物というわけで、むしろ金田一に近いんですね。
明智小五郎のイメージというのは少年探偵の頃のイメージなんでしょうね。
トリックが重要な作品ではないのですが、最後のオチはサドマゾ的なエロ話という、まさに大正の猟奇的なエッセンスをふんだんに含んでいるというわけ。今の若い人は大正時代、という時代は、めちゃくちゃとがっていて、前衛的だった、というのの意味がわからないでしょうね。別に日本に限ったことじゃなくて戦間期、というのはもぉとがりにとがりまくった、今の中二病などよりもガリガリにエッジを尖り切らした人々の時代でありました。たまにチラと見ると、唖然とします。こんなところに踏み込んだニンゲンがこの時代にいたの?このあしあと・・・あの時の奴らじゃんか!っていう感じ。
やっぱ第一次大戦で、セカイに対する見方っていうか、なんかものすごいショッキングな感じがあって。並大抵のショックでは満足出来なくなったのでしょうねー。どうせすぐにニンゲンは死んでしまうっていう刹那主義もあって、ワタシはすごい好きです。この時代の人たち・・・・。