2016年7月18日月曜日

1908 青い鳥  メーテルリンク

 名前は聞いたことあるけど実際に読んだコトがあるひとはほとんどいないし、この演劇を見たことあるヒトはほとんどいないでしょう。

 ファウストみたいな夢幻劇でして、まぁファンタジー劇なんですが、登場人物が膨大なうえに、到底ムリだろその演出、みたいな注文を細かく出していて、上演不可能です。今なら映像をプロジェクションしてそれを演技と組み合わせるみたいなことが出来るかもしれませんが、それなら最初っからアニメーションを作ったほうがいいですね。けどアニメーションになんでなってないのでしょうかね?なってるのかも・・・、ファウストもアニメになってそうでなってません。ペイできそうに無いからですかね、レベルがタカすぎて限定されてますものね。ディバインコメディだって、元ネタが分かる人にしか面白くないですし。


 

 さてメーテルリンクというひとは、ベルギーの貴族的な生まれのヒトで後にほんとに貴族になった、つまるとこボンボンのボンです。

 貴族=クズ、というのが、一般的な反応だし、だいたいにおいてそれは間違ってないのですけど、トモダチになるなら、一緒にいるなら、貴族のほうがいいですよね。天才や才能人はトモダチとか隣人だったりするとくそがぁ!!このキチガイ死ね!って憎悪に変わることが多いものですが、貴族みたいなクズは一緒に生活するにはやっぱり文化的でいいものです。金持ちもそう、金持ちはクズですが、どうせトモダチを作るなら金持ちのほうがいいに決まってる。

 大企業の面接では金持ちの子弟を取る、セカイは不平等だ、っていいますけど、もしワタシが大企業の社長なら、金持ちで周りを固めるでしょうね。そりゃそうだって話なんです。革命家だって、共産主義者だって、結局のとこ、周りには金持ちを集めるもの。


 ともかくボンボンなんですが、ボンボンであることが唯一欠点となるのが、作家っていう職業です、クリエイターといってもいいです。他の分野ではあらゆるところで金持ちが優遇されますけど、クリエイターは、ワタシがそう思うだけかもしんないけど、ほんとの貧しさってのを知らない作家はやっぱダメです。金持ちの生まれであっても、貧乏を経験すればいいのですけどそういうケースは珍しいですね。太宰みたいな特殊なケースとか。

 しかしそうはいってもクリエイターでも貧しい生まれよりも金持ちのほうが圧倒的に多いです。特に20世紀より前は、芸術ってのは金持ちの独占物でしたから。たぶんそれを変えたのはディケンズなんじゃないですかね、そっからリアリティ、ってのが大事になってくるので、まったくリアリティの無い貴族的な引用やニュアンスをふんだんに盛り込んだ技巧的な作品ってのは急激に廃れていきます。

 リアリティってのは、ワタシが思うには貧しさです。貧困こそが、セカイのリアリティ、他にリアルなんて何にもない。



 この青い鳥、簡単にいうと、貧しい木こりの子供二人が、魔女的なヤツにホントの幸せをもたらす青い鳥を探せ、といわれて色んなセカイを旅する、しかし青い鳥はどこにもなく、ほんとに大事なのは母親の愛とか、つつましい生活なんだっていうお決まりの結論、キリスト教的な結論を下すという物語です。

 しかしどうにも貧しい子どもたち、の貧しさにリアリティが無い気がします、そのリアリティの無さ、が詩的である、ポエジーであるとも言えるのかもしんないけど。

 ちなみにメーテルリンクはお城を買ってそこに住んでいました。おいおいおい。


 クリエイターが金持ちになると急に、社会だの平和だのと言い出すことがよくあります。そんなん卑怯じゃない?ってワタシはすごい思いますね、自分の生活が保証されて何にも心配が無くなってから、平和だの森を守ろうだとくだらねぇこと言い出すのは。真逆ですよね、行動とコトバが。

貧しいニンゲンだけが平和を願う権利があるし、金持ちは戦争と不平等で汚れたセカイを願うべきです。ワタシが大金持ちになったら積極的に環境を破壊し、格差をもっと広げようっていうメッセージを発していこうと思ふw

 最高の商売ってのがあって、毒ガスをばらまいて、ガスマスクを売る、これがすごく簡単で効率的な商売です。起業家のみなさん、参考にしてねw


 こういうダークなギャグはやめときまして・・、メーテルリンクは本人が言うにナチスに目の敵にされたと、そりゃ至極当然です。ナチスはなぜユダヤ人を迫害したんか、っていうのを人種とか歴史的な背景で説明しようとしたがるヤツがいますが、もっと単純至極で、ナチスの構成員は失業者ばっかりです、金持ちの奴らを全員血祭りにあげてぶっ殺してやりたいっていう、率直な願いをそのまま行動に移したというだけです。


 貴族やハイソサエティの人々がナチスを批判したのは、結局のところは、人道的な理由やら、政治的な問題よりも、ナチスが彼らの権利を、あるいは存在自体を抹殺しようとしたからです。ナチスの宣伝みたいなのを見ると、なんてこいつらは魂の籠もったコトバを吐きやがるって思いますね。

 現代の選挙やらメディアのメッセージなんて99%は嘘ばっかりなので、率直なコトバをそのままぶつけられると、うわっ!!マジじゃないですか!って思いますね。



 この青い鳥という作品は嘘で塗り固められてますが、嘘をつくというのも作家の仕事なのかもしれません、まったくの嘘、完全な嘘をつく。サンテックスですけどほんとに大事なものは目に見えないっていうコトバがあります、こりゃでも完璧に嘘なわけでして、ほんとのほんとは違う、ほんとのほんとは、ほんとに大事なものはカネと武力である。っていう前提があって、それを嘘をついて、そうじゃないって言うっていう仕組みなわけです。嘘をついてほしい、って願うヒトがいるわけで、キレイな嘘を提供するっていう意味ではいい仕事をしてるわけです。


 選挙権が引き下げになって18才から投票出来るようになりましたが、ふとした拍子に、一気にネオナチみたいな極右に流れることもあるよね、昔この国そうだったんだし、って、はっと最近思いました。