2017年4月21日金曜日

1945 生命とは何か シュレーディンガー 

* いわゆる分子生物学(生物も、何の矛盾もなく原子レベルの物理法則によって説明しようとする分野)の幕開けを示す本。シュレーディンガーは波動力学で量子力学の創始に貢献した、ビッグ3の一人でもあるわけで、現在の自然科学のコアを二つも作ったということになります、偉い。
 シュレーディンガーの猫が余りにも有名なおかげでなんか、科学者的な変態っぽいイメージがありますが、むしろイメージどおりですw(なんで猫なん?ってとこもあるし、猫は死んでしまうのでね) 結婚制度を否定してましたのでフリーセックスだったし、しかもロリコン、バキバキのマテリアリスト&東洋哲学支持者というわけで、量子力学のフェティッシュでなんか気持ち悪いところを体現したような存在ですね。
 でもこの本の本題はたぶん、DNAは分子でそれが生命のコードであるということではなくて、生物や意識や、魂やら、が、やはり原子のレゴブロックで積み上げられたものであって、キリスト教的、もっといえばソクラテス、プラトン的世界観に最期に止めをさしたのでしょう、ニーチェに言わせると、彼岸の哲学。
 
彼岸は、存在しません。此岸だけが世界のすべてです。
 (これがこの本が一番言いたかったことなのだと思うし、私もそう思う。けれど今でも彼岸的物語を語る人々がいて、そういうエンターテイメントも多い、私は結構それにうんざりしてる・・・)

 出版年である1945年という年がそういう年であったと私は思うのです。シュレーディンガーはそれに変わる世界観として、生物もこの世界も原子のレゴブロックなのだから、私たちは世界そのもの、神そのものなんだぞ。っていう、汎神論的な(彼曰く東洋思想的な)ものを、なんというか精神的安定剤として導入したって感じですかね。
 またSDはアインシュタインと並んでコペンハーゲン解釈の批判者であります、神はサイコロを振らないのアレ、SDはそんなことは言ってないけれど。私も調べて見たんですけど、やっぱ(当たり前だけど)わかんない、答えの出てない問題なんでCP解釈が当たってるのかどうかは今でも誰にもわかりません。



引用
・√n の法則、統計的誤差はその系に含まれる分子量の根で与えられる
ex100ならば ±10

・3次元系に時間を加えた情報を含むものを四次元型情報という。
卵ーおたまじゃくしーカエル というふうに
 遺伝子は四次元情報である。

・2の50、60乗は 100兆~1000兆なので、人間の身体は、50~60代目の細胞分裂で完成できる。

・系統発生(地質学的、ストラトマイトー原核生物ー・・)のような生命の流れ
⇄個体発生 個別の生命の発生過程。
*なぜ生命は単純から複雑へと進化するのか、もっと未来にはもっと複雑な生命が生まれるのか?

・生殖細胞は細胞分裂の最初の過程で保存された細胞群であり、他の細胞とくらべて分裂数が少ない、これは染色体がコピーされる過程で破損するのを防ぐため。

・DNAは二対あるが、一対の情報だけでも正常に個体を発生できる、異性生殖は個体の進化を促すため・・

・遺伝子の大きさは300Åなので、たった数百万の原子で生命の情報全てが与えられる

・量子、とは中間の無いということ。1.2、3・・・のように、飛躍があって段階的ではない。(1と2の中間状態、が存在しない)
*原子の存在していない、空間、とは何なのか?空間も質量と同じように違うエネルギーなのでは?加えて時間とは本質的には何なのか?


・ダーウィンの段階進化説は誤り、個体の特殊形質は遺伝しない。遺伝子の変異は量子的突然変異により起こる、突然変異体は遺伝する。(quantum leap)。突然変異は良い結果も出る場合もあるが、あまりにもおおい突然変異は系そのものを破壊していしまう。

・ティゲトス山   古代のスパルタ人が障害者、知遅れの子供を埋めた岩穴のある大山のコト→姥捨て山、プラトニクス

・これまでの戦争は生物的適者生存の逆で生命力のある若い人間が、弱者である老人子供よりも積極的に殺戮されてきた。(*ではいずれ適者生存戦争も起きるのでは?)

*光子や電子よりも小さいものを見ることは実質不可能であるけれど、SSのようなそれよりも下部の組織があっても、それは存在しないのと同じなのではないか?そういうものが積み重なって事象を起こす場合、それは見えてるとみなす。見えてないものは存在してもしていなくても変わらない。ゲーデルの証明不能の命題と同じ・・・

・遺伝子がエントロピー増大の影響を受けるほど小数の原子で構成されているのに高度の持続性を持つ理由は遺伝子が、分子として存在して変化は同位体、異性体として起こるから、全体としての秩序が保たれる。X線によって突然変異が誘発されるのは、X、ガンマ線によって分子構造が破壊されるから。

・死とはエントロピーが最大化して平衡状態にいたること(水溶液の媒質が均等に拡散するように)、生きているとは、負のエントロピーを摂取して、分子が拡散しないようにすること

・自我の占有性  人格、自我は複数存在していても同一時間には1つしか発現しない。多重人格、ブンレツ、精神錯乱においても、人格は一度には1つである。夢の中においても、人格は1つにクローズアップされる。(夢の中では二人の人間が同時に思考する、しゃべるということが起こらない)