日本ではほぼまったく知られてませんが、欧米でコミックといえば、まずタンタンシリーズのエルジェ、日本でいうとのらくろと手塚治虫を合わせたような存在。次にメビウス、ことジャン・ジローです。いわば宮崎駿と鳥山明をあわせたような存在。とにかく巨人です。アメコミのスタン・リー、デシネのメビウスですわね。
描いた作品も幅がものすごい広いのもメビウスの特徴で、ゴリゴリの西部劇、ゴリゴリのSF、ものすごいアーティスティック、子供向けファンタジー・・・とにかく巨大な存在、でかすぎてその外形がつかめない。
日本で知名度は低いですが、実は日本の漫画に与えた影響は甚大で、メビウスの作画スタイル、から日本の漫画の作画が変わった、作家だけは海外から取り寄せて読んでいたようです。
その一番有名な漫画家が 宮崎駿 です。ナウシカ、の作画はメビウスの書き方だと本人が言っております。
そんぐらい、漫画の作画、に圧倒的進歩をもたらした、メビウスの線。
けどそのメビウスの作画スタイルもずっと変わり続けております。
このブルーベリーという作品はそんなメビウスのほぼデビュー作でありライフワークでもあって、50年近くにわたって、少しずつ出版されております。
メビウス最初期の作品ってことで、まだまだ作画は荒いですが、5巻くらいになってくると、メビウスの圧倒的作画力が発揮されてきます。
メビウスの作画ってどんなのか?って言われると、そのスケール感です、それまでの漫画って絵がのっぺりしていて平坦でしたが、メビウス作画は、すごーく広い空間が表現される、空間把握力ですね。日本のマンガは、キャラが中心でキャラがでかくて背景はおまけ。というかコマの半分以上はキャラの顔だったりする。
メビウスのデシネは人間は小さいが、空間がすごいひろーい。真逆のベクトルです。
1~5巻が、第一部 ナバホ族との闘い。って感じになっております。
舞台はたぶん1860年くらいの西部、メキシコ人の陰謀で、敵対することになった、アメリカとアパッチ族。ブルーベリーはほとんど単独で全面戦争を食い止めるために、砂漠を大冒険する、っていう西部劇です。
フランスの漫画なのにゴリゴリの西部劇。いわばマカロニウエスタンのデシネ版ってことですね。たぶん地理的な正確さとかはめちゃくちゃ。アメコミが書く日本の時代劇みたいな感じ。
内容はいかにも、な王道西部劇です。ただこれ1963年の作品ですからね、読んだ漫画家たちはぶっ飛んだことでしょう。嘘やん、マンガってこんな描き込むものなの??いれ1ページ描くのに数日かかるじゃん。って感じ。
マンガを描くじゃなくて描き込む、ということを始めたのがメビウスなのかもしらん。