2023年8月21日月曜日

2019 Captain Marvel キャプテン・マーベル  スタン・リー マーベルメソッド

  MCUの第21作品 次のEND GAMEで、実質、大団円。っていう感じなので、その前フリっていう感じの作品です、直接フィナーレへとつながる「過去」の物語なので、アヴェンジャーズをおっかけてる人は見るべき映画。


 キャプテンマーベルって誰やねん、キャプテンアメリカが名前変わるの?って思いきや、まったく新しいヒロインです、最終版に突然現れるバカ強い味方、ってのは物語の構成上良くない、いわゆるデウスエクスマキナです。


 でもこれにはある事情が絡んでおります。


 マーベルの実質創始者であり、ゴッドファーザーである 「スタン・リー」に捧げられた映画だっていうことです。そのスタン・リーが映画に出演してますし。

 

 マーベルはいわばジャンプです、DCがそれ以外の漫画雑誌の集合体でこっちが老舗。そこへマーベルっていう新たなコミック雑誌が生まれた。

 そのマーベルコミックでほとんどの漫画原作を手掛けたのがスタン・リー。


スタン・リーが原作参加したコミック


ファンタスティック・フォー

ハルク

マイティー・ソー

アイアン・マン

ドクター・ストレンジ

X-Men

スパイダーマン

アヴェンジャーズ

・・・・


 全部やん!


つまりスタン・リーこそマーベルであり、マーベルはスタン・リーです。ジャンプの漫画の原作全部書いてるみたいなもの。巨人すぎる。


 そのスタン・リーが2018年の年末にお亡くなりになって、それに捧げられた映画というわけ。

 スタン・リーの作風として、それまでにはなかった、現実の社会問題を取り上げる という作風でした。Xmenが非常にわかりやすいと思いますけど、Xmenはミュータントとして特殊能力をもっているがゆえに社会から迫害を受ける、ミュータント内でも迫害してる人類と敵対するものと、それでも味方する者とに分かれる、という葛藤をテーマにしておる。

 スーパーマンみたいに、シンプルにめちゃくちゃヒーロー、敵はシンプルにめっちゃ悪いやつっていう構図にしないで、構造を複雑化させた。アヴェンジャーズも基本そうです、みんな一枚岩にしない。これがいわばスタン・リースタイルですね。


 もう一つ マーベル・メソッド という、作画の方法もスタン・リーが開発したと言われてます。

 これは簡単に言うと、作画担当には、おおまかなプロットだけを教えて、細かいセリフは作画が終わった後に入れる、という方法です。

 これは漫画や絵コンテを描いた人にしかわからんと思いますけど、脚本のセリフをちくいち入れようとすると、絵コンテとかカットのつながりがしゃべってばっかりでぎくしゃくすることになります。

 よく漫画でセリフばっかりってのがありますが、それがまさにそれ。脚本を書いてそれに合わせて作画すると、テキストばっかりの絵作りに陥りがち。小説原作の作品とかもこういうことになりがち。説明多すぎる。

 だから絵のつながり、ページ全体としての絵、のレイアウト、動画であればカットのテンポを優先して、セリフは後から考えたほうが、絵、が良くなるというわけ。

 これはもちろん、スタンが多忙すぎて、細かいセリフが出来上がってなかったので、とりあえず作画だけ先にやれ!って言ってやらせた結果、作画に勝手に絵をまかせたほうが断然良くなったという事故で生まれた方法です。

 香港アクション映画もいわばマーベル・メソッドですね。台本を作らないで、アクションの動き、を優先して、セリフとかは後から考える。

 松本人志のコントもそうだって言います、台本は用意しないで、大まかな流れだけであとはその場で面白いほうを優先する。

 音楽でいえば 曲先、です、だいたいのアーティストは曲先です、詩先で、リリックに合わせて曲作るのは非常にむずいから。


 ほいで映像や作画を先行させて、限られたスペースとか時間にセリフを当てはめるようにしたほうが、短くて切れ味のいい、あるいは味わいのあるセリフになるんです。セリフは可能な限り短いほうがいいし、むしろ説明不足なほうが、見る側に考察の余地を与えて広がりができるというわけ。

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 前フリ長くなりまして、映画自体なんですが、まぁ黒人のあとは女を主人公にしましたって感じの作品、むしろ主人公はフューリーのほうが、キャプテンマーベルというややこしい名前のヒロインは、ふぅん。って感じですね。とってもわかりやすく金髪の美女をヒロインにしてまして、普通です。


 注目すべきポイントは、フューリー役のサミュエル・ジャクソンが、特殊メイクで「若く」なってるんです。特殊メイクで「老人」になるってのはよくありますけど、特殊メイクで「若く」なるってのは、斬新ですよね、ってかそれ出来るんだってなるとまじで俳優業界が一変するんじゃないの?って思う。

 もちろん実際は70を超えたじいさんなので、動きは悪い。でも見た目はアラ40くらいに見える。


 それができるなら、顔がいいだけで演技バカ下手な若手俳優使うよりも、ベテランの実力派に、若くする特殊メイクをさせたほうがいいに決まってますよね。まぁ特殊メイクとCG補正に金かかるんだろうけど。

 とにかくこのCGとかで「若く」させるってのはこれから流行るんだと思います。