2014年4月12日土曜日

人間嫌い ミザントロープ モリエール  1666    アンチソーシャルアクティビティ   maidentrip 2014

モリエールは1622年生まれなので44才の作品ということになります。最近、この何歳の時の作品か?というのを結構気にするようになりましたね。

 モリエール=喜劇というのは中学生でも知ってますけど、アハハと大笑いするような喜劇では全然ありません、アリストファネスみたいな。性格喜劇と言われてますが、つまり、人間嫌い、良識、不屈、貞淑、淫猥、みたいな性格、概念が動いているみたいなキャラクターの会話劇を性格喜劇というのでしょう。
 世界観とか舞台とかはほとんどないのですこういう性格のヒトがいるとしよう、みたいなことで。


 内容はアルセストという、正直者、が本当のことしか言えないという性格が災いして人間社会から逃げ出すことにするという話しです。


 アルセストは若くてバカなんだよ、っていうことよりも、最近この アンチソーシャルアクティビティってのが、だんだんと頭をもたげてきたという気がするのです。
 まるで中世の托鉢修道会みたいに、拝金主義と自己中心的価値観がはびこった社会に見切りをつけてもぉいつ死んでもいいから社会、から離れて暮らそう、っていう動きが現代でも起こっている、まるでアルセストがそうしたみたいに。



 ホームレスであったり、あるいはなにか物々交換的な生き方を選択するひと、イエスのように、あるいは釈迦みたいに洞窟で生活しようとするひと。アナーキストであったり、またはinto the wildみたいに自然へ帰れというヒト。サバイバルが楽しい人、いろんなやり方はあるんですけど、ともかくソーシャル、から離れよう、アンチソーシャル、で行こうっていう生き方がどんどん勢力を得てる気がする。

 たまたま今日見たドキュメンタリー maidentripというのも、15才の少女がちっこいボートで世界一周の旅に出るというものでした、これもつまるとこ、普通、の社会的生活から抜けだした生活ですよね、普通は16になったら高校に行って、大学にいって良い教育を受けてキャリアを積んで、っていうコースを辿らされるものです、それを拒否して海の上での生活を選んだ。
 
 普通の社会、では今日社会、ってものが全部つながっていて一つしかないですから、ひたすらお金儲けと、他人を見下すことに人生をほとんど使ってしまうわけです。もちろん安定しているし、長生きできるし、医療だって受け入れられる。けど社会、に所属する変わりに犠牲してるものがあまりにも多いという気がする、毎日毎日仕事しないといけない、常に失業の不安をかかえて、税金は増えるばかり・・・それが突き詰められると社会、と対決しないといけなくなる、あるいは戦争に行かされる、それは本質的には同じことです、自分の国家と戦うのか、国家の為に死ぬのか。
 
 そういう社会を改良したり破壊しようとするのは、ソーシャルアクティビティです、壊そうとしてたって社会、と関係をしてるわけだから、アンチソーシャルってのは社会とそもそも関係を無くそうとするってことです。隠遁者。ルソーが晩年に言ったコトバが思い出されます



 社会や政府というのはつまるところ抑圧である、それ以外ではない、それが軽いか、重いかの違いがあるだけで。
 

 確かにほとほとこの社会ってのに疲れ果ててしまったっていう感じがわかります、やれ20だから就職せねばならない、25までには結婚せねばならない、30までには子供を・・・あるいはちゃんとした職業を得て、年収500万以上でエトセトラ・・・・・・、ほとほとうんざり。社会というのは、~~せねばならない、しかないんです、要求ばかり、抑圧ばかり・・・



延命治療なんていらない、がんになったら、死、を受け入れる。
 つまるとこアンチソーシャルというのは、死、を受け入れるっていう生き方ですよね。食べ物が無くなったらそれを受け入れる、雨が降らなかったらそれを受け入れる、病気になったらそれを受け入れる、そうすることで、セカイ、と自分の新しい関係が生まれてくるんだろうなって気がします、このセカイ、は社会が無くても存在してるもので、空が青かったり、風があったり、海が広かったりすること、社会っていうフィルターじゃなくてそれを直で受け取ること・・・・



 そういうことの他にも、今の社会が早晩崩壊するとして見切りをつけてるってのもありますけどね、内戦やら政変、クーデタに巻き込まれるのもうんざりだし。たしかに過半数が老人で、常に年金と医療負担を減らせってパレードしてるこの社会、に属している理由がないのかもしれないですね、リターンが何もないじゃん、負債だけがうなぎのぼり、毎年どこかの国が破産しているこの社会。って。
 孤独なのは社会にいても同じだってのを知っているし。