2014年4月23日水曜日

BOB MARLEY redemption song 1980 和訳 解説

 先に和訳から


Old pirates, yes, they rob I;
 あの海賊たちが、Iを略奪したんだ
Sold I to the merchant ships,
 そして奴隷商人に売りつけた
Minutes after they took I 
From the bottomless pit.
 底なしの闇のなかからIを引き抜く数分前 

(ちょっとここは意味不明 Iが略奪されてから数分で奈落の底に落とされた、というふうに訳すのが普通っぽい。文法的にはおかしいけど。)

But my hand was made strong
By the 'and of the Almighty.
 けれどIの手はカミサマによって強く作られているから
We forward in this generation
Triumphantly.
 この世代を力強く生きようと思う
 
(秀逸)

Won't you help to sing
This songs of freedom
 なぁUもこのフリーダムへの賛歌を歌ってくれよ
'Cause all I ever have:
 だって僕が持っているものは
Redemption songs;
Redemption songs.
 ただ救いの歌だけだから
 ただ救済の歌だけだから

(redemptionってのはダブルミーニングでして、救済、という意味だけではなくて、償還、という意味もあります、突然奴隷にされて奈落の底へ落とされたと歌っているのだから、救いの歌であると同時に、黒人に権力を償還しろっていう意味でもあります)
 
Emancipate yourselves from mental slavery;
 精神的奴隷から自分を解放するんだ
None but ourselves can free our minds.
 だれでもない自分だけが自分の精神を解放してくれる
Have no fear for atomic energy,
'Cause none of them can stop the time.
 原子力なんかおそるるに足らないぞ、誰にだって時を止めることは出来ない
How long shall they kill our prophets,
While we stand aside and look? Ooh!
 どれだけの間奴らはWの預言者を殺し続けるつもりだ、Wは横に立ってただそれを眺めてるだけだと思うのか?
Some say it's just a part of it:
We've got to fullfil the book.
 誰かはそれをすべて決められたことの一部なんだ、予言の書の通り実行するんだという


Won't you help to sing
This songs of freedom-
 さぁ一緒にこの歌を歌ってくれよ、自由の歌だ
'Cause all I ever have:
 だってIにはそれしか無いんだから
Redemption songs;
Redemption songs;
Redemption songs.
 救いの歌だ

---
/Guitar break/
---
Emancipate yourselves from mental slavery;
None but ourselves can free our mind.
Wo! Have no fear for atomic energy,
'Cause none of them-a can-a stop-a the time.
How long shall they kill our prophets,
While we stand aside and look?
Yes, some say it's just a part of it:
We've got to fullfil the book.
Won't you have to sing
This songs of freedom? -
'Cause all I ever had:
Redemption songs -
All I ever had:
Redemption songs:
These songs of freedom,
Songs of freedom.






 redemption song はリデンプションソングではなくて、ジャマイカ的ななまりでリディンプションソングですね。BOBは1981年に死んでいて、この曲は1980年のUPRISINGのラストトラックだったので、基本的には生前の最後の曲っていうことになってます、実際にはもちろん違っていて、それ以降の曲がまとめられてCONFRONTATIONっていう死後発売のアルバムとして発売されています。死後出版のことをポスト・ヒューマンアルバムというのですけど、向こうはそれをよくやりますよね、日本では死んだ後にまでアルバムが出るなんてことはまずねぇんだけれど。尾崎豊くらい?
 それはそれだけビッグなアーティストがいるっていうこともあるけど、出版社との契約で、何枚アルバムを出す、っていう契約を埋める為に出されるわけですね、契約金を回収しないといけないから。
 それでだいたい著作権でもめるわけです、恋人がIが権利を相続したっていって、バンドメンバーがてめぇふざけんな、おれらが演奏してるんだ!ってことになって、あげく家族が当然すべて家族の権利だってことになる。


 歌詞はかなりの程度ラスタファリアニズムなんですけれど、西洋人たちがこの曲を評価するってのはみょーな話しですよね、OLD PIRATESっておまえじゃん、って気がするし、日本もそうですね、PIRATESの尻馬に乗っかってたヤツじゃん。MARLEYは商業ラインに乗ってるアーティストの中で一番政治的な歌を歌う人です、今でもそうです(まぁデスの人たちが全員殺してやるみたいなことを言ってるのが一番エッジの効いた政治的主張なのかもだけどw)、マーカス・ガーヴェイというパン・アフリカニズムの人のスピーチから主要なラインはとられています、たぶんemancipate とか難しい単語を使ってるところですね。MARLEY以降にこんな直接的で本質的な歌を歌うヤツは少なくとも商業ラインには乗ってないです、CDショップに行っても、他にこんなエッジの効いたことを歌ってる曲なんてみつかんない、だいたい恋愛がどうしたこうしたであったり、辛いけどがんばろーみたいな曲です。
 

 政治的な歌は少ないし売れないのも理由があって、欧米や日本って悪い奴らのほうだから、政治的な歌が生まれるのは奇妙ですからね、抑圧者側が政治的歌を歌うのは変ですから、ジャマイカとか、中東とか、キューバとか、弱い、正しい立場の人にしかそういう曲は歌えないですよね。
 

 しかしそんなことは全部無視してもこの曲自体のパワーがものすごいから、ちゃんと聞くしかないですよね、アコギを持ったらまずこの曲をやってしまうものね。実はかなり難しい。