2016年4月23日土曜日

1954 指輪物語 Lord of the rings JRRトールキン

 小説版のほうです。と注釈をいれないといけませんね、映画があまりにも当たったもんですから。ワタシアニメーション版を最初に見たことがあります、ちっとも意味がわからんかったです、実写?3DCG映画も見ました。けどなんかそれほどハマらなかったというか、やっぱしよくわかりませんでした。
 でも海外ではLORの人気はすごい高くてファンアートとかも一杯あるのですよね、一回小説のほうも読んでみようと思ったわけです。実はLORはホビット、という小説の続編としてかかれていおります。
 というよりもトールキンが創りだした架空のセカイのお話のひとつ、なんですね。

1954年、ってかなり新しい小説なんですね~、わたしは小説というと戦前のものしか殆ど読まないので疎いです。なんで戦前の小説しか読まないかというのは、そりゃ古典落語しか聞かないのと同じ理由ですね。年数の生き残ってきたものってやっぱ生き残ってきた理由があるものです。

 ちなみにLORD OF THE RINGSという原題は指輪物語、とは全然違ってて、指輪を統べる指輪、という意味です。指輪の中のLORD、主であると。日本人はROAD OF THE RING、と勘違いしてんじゃないですかね。指輪の道、みたいなこと。RINGS、という複数形なところに意味があって、20個の魔法の指輪があってそのすべてを支配する、闇の王の指輪をエルフと人間の王(イシルドゥア)がサウロンから奪ったのだけどそれを失くしてしまい、ひょんなことからスメアゴルがそれを拾ったっていうところから物語が始まります。

 でもちょいまって、その闇の王の指輪が20あるんですが、それがエルフ、ドワーフ、人間に分配されてんですけどその指輪を作ったのはサウロンなんですよね。なんでそれを種族に分け与えたのかっていう説明は一切ありません、闇の王は気前が良かったの??
 そこがワタシがずっと納得いかないとこだったのですね、それとこういう20の指輪があったら、それぞれに能力があって、それを駆使して戦う、みたいな話になりそうなのに、結局出てくるのはその王の指輪、つけると姿が消えるというその指輪しか出てきません。なんだろ・・じゃあ指輪一個でよくない?って思いますね、なんか最初にたくさんの指輪が種族ごとに与えられたっていうのを思いついちゃってそれを最後まで残しちゃったって感じなんですかね?
 
 って思ってたのですが、シルマリルリオンという指輪物語の過去の物語というのがトールキンの死後に出版されてるんですが、それを読むとすごい納得しました。納得したというか意味はわかりました。話せば長いんですけどサウロンが一時期エルフ側にスパイ的に入ってた時期があってその時にエルフと一緒に作った魔法の指輪がサウロンが勝手にそのすべての指輪の力をひとつの指輪でコントロール出来るようにして、その指輪を持っていってしまったっちゅうわけです。


 海外の物語って結構スロースタートですよね、最初のどうでもいい場面がすげー長い、ハリポタもそうでしたものね、それで途中でやめたって人も多い、ドストエフスキーとかもそう、途中まで何の話なのかちんぷんかんぷんってことがよくある。そういうスロースタートな物語を拾い上げて、これはホンモノだって見極める編集者がすごいと思いますね、日本の出版業界はクズの集まりなので、特に昨今は、すぐにヒキ、がない物語はゴミ箱行きです。ハリウッド映画とかでもそうですね、オープニングに見せ場を作ってヒキをつくる、007とかまさにそう。映画が始まってすぐにカーチェイスがあり、一通りアクションがあって、そっから物語が始まる。たまにそういうヒキ、がすごいあざとくて吐き気がすることがあります。物語が腐ってるっていうんですねそういうの・・。本来の形でいうと最初に素材をばらまいておいて、あとでだんだんそれがつながってくる、っていうスロースタートが物語、ってものの本来のカタチではありますね、最初にガツン!とくそっ腕もってかれた!みたいな始まり方はキワモノです。が!今ではそうじゃないとつまんないってすぐに言われちゃいます。


 さて映画版と小説版ストーリーはほぼおなじなんですけど小説版を読んでなるほど、とかえ~、みたいなことが結構あります。カットされたシーンなどもかなりある。例えば

・フロド・バギンスは50才。指輪を持つと年をとらなくなる為見た目は子供のママ。ビルボも100才以上なのだが指輪の力で若いママであった。50才!?せいぜい20才ぐらいの俳優使ってましたね、まぁ年を取らないんだから見た目はいいとして、精神的にもガキみたいに映画は作られてましたね。でも連れのやつらもガキばっかじゃん、ほんとはとっつぁんぼうやとガキの連れ三人だったのですね。だからフロド様!って旦那様扱いなのだ。それにしたってもうちょいオトナっぽい俳優にしたほうが良かった気がします、フロドが指輪を譲られて年をとらなくなったもの33才で、見た目の年齢は33才の設定です。

・序盤に出てくる馬に乗った変な黒いやつらがいましたね、一体あれはなんなんじゃい、ってずっと思ってましたが。あれはサウロンに指輪を与えられた人間の王たちが指輪の力でダークサイドに堕ちたものなり。そーだったんだ!!じゃあその指輪をつけてりゃいいのに、それだとわかりいいのに・・・。それと黒の乗りて、ナズグルは最初馬に乗ってたのに後半は鷹?に乗る。・・・最初から鷹に乗ってりゃすぐにつかまえられたんじゃないの・・・。
 ナズグルの王は指輪をサウロンから奪ったイシルドゥアの成れの果てらしい。

 また小説版は指輪を燃やしておしまい、じゃなくてそっからのエピローグ的なものが相当なページ数あります。ホビット村に帰ったホビット達が村がゴロツキに支配されてるのを解放したり、サムが結婚したりと。映画版ではアラゴルンとアルウェンのシーンが結構ありましたが、小説にはアルウェンはいきなり登場しただけです。
 それと小説には、ローハンの女王がナズグルの王と一騎打ちして、ピピン?が止めを刺すというシーンがあります。映画だとサムとフロドじゃないほうのホビットはちっとも活躍しませんが、小説では四人は相当活躍シーンがあります。特に女王とナズグルが戦うシーンはこれはカットしないほうが良かったんじゃないの?そうじゃないとオンナが活躍するシーンが一個もないですから。


 さてLORが20世紀最高のファンタジーと言われてるみたいですが、確かに出来はいいと思いますけど、これが最高傑作なんだとしたらまだまだ後進にはやるべきことが残されてるって思いますね、もっとこうすればいいのにってとこが一杯ある気がする。それにファンタジーってのは歴史が長いようで浅いですからまだまだ出来ることが一杯ありそうですね。オデゥッセイアとかファウストをファンタジーにカウントするとややこしいことになりますけど。

 ただまぁ小説の限界、ではあるかもしれません。ファンタジー小説、としては確かに最高傑作なのかも。コトバで説明してもわからんわ!って思うし。

 読んだ後の読後感なんですが、こんなずっと歩いてて疲れた、歩いてて疲れた、っていう歩いて疲れた。っていう描写が多い本は無いんじゃないですかね。移動シーンがものすごい手厚い。普通移動なんてぱっと終わらしちゃうものですけど、歩く、っていうのが非常にクローズアップされてます。ほんとに遠いのだ、って身にしみるように書かれてます。それってナイスなところかもしれません。冒険の旅っていうと楽しそうだけど、歩いて旅するってことは死ぬほど疲れるし辛いってのを伝えてくれます。何かそういう経験があったんですかね、トールキンに?

 けど確かに旅はやっぱ歩かないとダメですよね。オカネ持ちのクズどもは飛行機でリゾート地を回って旅とか言ってますけどそんなん旅じゃないです、ただのカネも無駄遣いと土地破壊です。自分の足で歩くってほんとにすごい大事なことだと思います。

 けどピンチになるといっつも鷲が助けに来て遠くに運んでくれます・・・・

最初っからこいや!!!ビューンと飛んでいってぽいっ投げりゃあ終わりだったんじゃねぇか!