2016年4月29日金曜日

1989 NEMO ニモ

 アニメ黒歴史というか、世紀の大失敗作ですね。アニメでここまでの大失敗ってのは珍しいです。巨額の予算を投入してアニメがアメリカ進出を目論んでアメリカ、日本の共同制作による長編アニメ映画を作ろうってわけで、やたらと豪華なスタッフ、テレコムチーム、宮﨑駿、高畑勲、そしてどういうわけかメビウスことジャン・ジローも参加する、はずだったんですが、頑固親父二人はたぶんディズニー調のくだらない話に嫌気がさして途中で逃走w
 カネを使いまくった挙句に空中分解という映画業界ではよくあるサイアクの状態に陥り、最後になんとかかんとか形にしたって感じなんです。
 メビウスに関しては一体どこにメビウスが参加してるのかちっともわかりません、飛空艇?メビウスらしさみたいなのは欠片もない。


 確かに50億円、普通の長編アニメの10倍くらいのカネがかかっているだけあって、すごく丁寧に、しっかりと作られているし、全作画っていうのですが、背景を含めて全部動画で描くというゲロ吐くくらいしんどいシーンが随所にたくさん、そしてどこのスタジオで撮影してるのか知りませんが、すごいハイスピードのパンとか、飛行船のセルハーモニーの綺麗さ、などなど、クオリティはものすごい高いです。が!!コンテもベタなカットばっかで流れが悪いし、ストーリー、演出、デザイン、全部ダメ。何がないって才能が無いです。努力もカネも、人材もたくさんあるんですが、才能が無い。才能ってのはほんとカネでは買えないもので、どんな大富豪でも、レブロン・ジェイムスにはなれないわけです、才能がなければ。だから才能ってのは高く売られるというわけで、じゃあ結局才能はカネで買えるんですが、才能人はわがままで自己中で嘘つき、プライドもポリシーもあってだいたいコミュニケーション力0ってのが相場だからいっつももめてぽしゃるってわけです。特に才能人を二人タッグみたいなのは必ず失敗しますよね、黒澤明と勝新太郎、とか・・・


 ディズニー調=くだらないってのも、戦後の話でして、バンビとかファンタジア、シリー・シンフォニーみたいに、アート路線ディズニーってのもあったのですけどね、ウォルトがアニメよりもランドのほうに興味が向かった後は、とんでもないひどい作品ばかり作ってました。このニモって作品もそのくだらない戦後ディズニー路線です。


 ものすごいよく出来てるのに、全く面白くない映画ってのの代表的作品ですね。たとえツッコミとして使ってください、ものすごいよく出来てるのに!全くおもんない!ニモか!


 いまとなってはニモというとファインディング・ニモっていうなんか金魚の映画のほうが有名なんで伝わらない率100ですけどね。まったくこんなの無かったことにされてるものなぁ・・・。


 映画が当たるかどうかってのはワタシが思うに映画自体の面白さは10%くらいで90%はプロモーションと流通みたいな問題なんですよね。だからコミック原作だとか、テレビドラマの映画版だとか、ゲームの映画版とか、少しでもプロモーションをたすけられるものしかもはや作れない、オリジナルなんてムリっていう状態ですね。だいたい他のモノと比較して映画の料金高過ぎるだろってこともあるし。1800円って!

 ワタシが最後に映画館でみたのは2013年ですもの。よく映画館は潰れないですねぇ・・、誰が見に行ってるのか。