今尾崎豊の音楽を聞くブームだったのですが。今の若いヒトにはどうなんでしょうね尾崎豊って。中二病、っていってなんていうんだろうな・・・まっすぐな感じとか熱い感じをバカにするのが流行ってますね、こういうのて流行り廃りですから、熱くて真剣なものが刺さるときもあれば、クールでスローなものがもてはやされることもあります。今は完全に底を打ってる感じですね、情熱的で真剣なものって。
勘弁してよ、そんな暑苦しいのっていう感じでしょう。もしくはヘラヘラ笑いながら真剣な人間をバカにしつつ見世物として楽しんでるっていう調子。今底を打ってるとしたらまただんだんそういう真剣なものが流行ることもあるでしょう。学生運動なんて明らかにそれだったんですよね、真面目で熱い感じのものが大流行した。そっから70、80年台はディスコブームってわけで軽薄で表面的なものへと流れていって、尾崎豊っていうのはそういうディスコブーム的なバブリーな時代からまた、世紀末文化っていうのか、真剣なものへとっていう動きの中のパイオニアだったって感じなんですね。
最初の3つのアルバムはすごい名作だと思います、こぉいうのがキライってヒトはいますけど、それでもやっぱよく出来てますし、本当、が何かこもっている気がする。けどそっからはまぁひどいもので、尾崎豊の歌って、貧しいけどホントの愛を探して生きて行こう、夢を捨てないで、がんばっていきまっしょい。世間は認めてくれやしないが、くじけないぞ。ってのがほとんどすべてなんですが確かにそれってやっぱいいメッセージで、シェリーに代表されるみたいに、胸に刺さります。
でも実際に夢を叶えて金持ちになってしまったら一体何を歌えばいいんだ?っていう問題がありますよね。キミと一緒に生きていくよ、って、そりゃ生きていけるでしょ今では大金持ちなんですし。やりたきゃリゾートに旅行に行ってダラダラセックス三昧も出来る。一日中抱き合ってたいなら別にできる。夢を追うには孤独もつきものだ、といっても、もはや夢を叶えたし孤独じゃないでしょって話です。カネさえあればまぁクズかもしれませんが、ヒトは寄ってくるもんです。
歌手じゃなくても、お金持ちになって結婚して家族も出来て、何不自由なし。一体そんなヒトって何を表現していくつもり?って思う、芸人とかでもそうですけど、金持ちで家族思いの幸せな人間が面白いことを言うとはとうてい思えない。妬みだ、ココロが狭いなって言われるかもしれませんが、確かにそうかもしれませんが、かといってそれだけではやっぱない。、実際表現者ってやつは金持ちで結婚したら何も言うことないんですよ。
もちろん磨き上げられた技術を売り物にしてんだったらそれでもいいです。クラシックのピアニストなんて結婚してようが金持ちだろうがどうでもいい、技術だけを見るから。けど歌手や芸人や作家はそうじゃないですよね。
ひどい自己矛盾なんです、諦めずに夢を追いかけろといいつつ、夢がかなったらもうアーティストではいられなくなる。
金持ちになったアーティストの取る道というとだいたい同じで、やれ社会の平和がどうとか、環境がどうとか、そういう糞みたいな話です。はいはいはい、生活に苦労が無い人はいいですねー。でもこっちは日銭を稼がないといけないんで森を燃やして水を汚して誰かを殺して生きてくしかありませんわ、すんまへんなって感じです。
殆どの金持ちがそう、トム・ヨークにしたって坂本龍一にしたって、BONOにしたって井上雄彦にしたって、好きだったアーティストがそういうくだらないことを言い出すとほんとにがっかりしちゃいますよね。好きな人間が堕落してクズみたいになっていくのを見るのはしんどいもんです。なんでこのヒトこんなリアリティが無いことを言う人になっちゃったんだろ・・・って思う。
人生ゲームでいうともう上がり、最後のコマのところなんです、あとはルーレットを回して利子を増やしていくだけでもはや何もおこらない。あるいは魔王より強くなっちゃった勇者なんですね。あと一体なにをすればいいの?って話。もうクリアしちゃってんです、ゲーム。もう同じプレイヤーとして遊べないよ・・・。
そういうダメになったアーティストがもう一度輝くことがあって、死ぬってことが間近に迫ると、最後の最後に何か光るモノを産んだりします。ただでもやっぱアーティストってのは貧しさと孤独ってのをやっぱなくしちゃいけないんだと思いますけどね。ドストエフスキーは賭博狂で借金大王で、いつも追われるように作品を書いていましたし、まぁもとテロリストで務所上がりっていう過去もあるんですが、でもどっかわざと自分をリアルなところに置いておきたいっていうとこがあったんだろってワタシは思います。わざとそういう状況に追い込んでみるんですね。太宰もそぉ、どっかで自己演出なんです。
超簡単に要約するとカネとオンナは麻薬なんかよりもよっぽど人間をダメにするってことなんですが、みんなカネとオンナが欲しくて頑張るわけで、矛盾なんですよねーどうも・・・。といってオレはカネもオンナもいらないっていう聖者もこれはこれで面白みが欠片もない。難しいですね・・・。どっかで新しいコトバを吐く人間ってのは、そういう運命をやっぱ与えられてる人間だけなんでしょうね。