邦題では楽しいムーミン一家となっていますけれど、原題を直訳すると、魔法使いの帽子。です。
ムーミンと魔法使いの帽子というタイトルではハリーポッターみたいですね、順番逆ですけど。
前回の彗星の時に書きましたけれど、ファンタジーとリアリティという意味ではやっぱこれは彗星には敵わないのかなって感じですね。長編というよりは、ゆるーく、違う舞台が同じだけで読み切りの物語が続くっていくTVアニメみたいなプロットです。
飛行鬼 っていう鬼が魔法の帽子を無くして、飛行鬼がルビーの王様を探すっていう大きな筋建てが一応ありつつ、ムーミン達の世界観を描いてくっていう、なんだろー。雰囲気物の物語です、ストーリーを追うっていうよりは、雰囲気を楽しむみたいな。
それがどうも脈絡がないって印象を受けたりします、ところどころは、スゲー上手いアイデア、もありますけれど。
例えば物語の始まりなんですけど、ムーミンたちが冬眠して、ムーミンだけが速く目覚めてしまう。これはなんかスゲー良い入りですよね、みんなが寝てしまっている氷の世界で自分だけが目覚めるっていうのは、でもそこはあんまり展開されないで、すぐに春が来てみんな起きてしまうんです、あれー!?なんか壮大な物語がそこから始まるんちゃうの?っていう感じ。
飛行鬼の能力ってのも面白いです、飛行鬼は他人の願いを叶えてやる能力があるのですが、自分の願いは叶えられない。上手いアイデアだなー、と思いますね、ハンターハンターにでも使えそうですわ。
トフスランとビフスランには善悪という概念がない。これもキャラづくりとしては面白いアイデアです。
しかして総じて言えることは、戦争が終わって、ちょっと腑抜けになってるという感じがすでにしますね、なんというか、危機感みたいなものが全然無さ過ぎて、平和すぎて面白くない。