2015年7月20日月曜日

1590 ヘンリー六世第三部

 第三部になってやっとこの演劇のメインテーマが現れてきます。
ヘンリー六世は信心深く、優しく寛容で知恵のある王でしたが、というかそれ故に、王としてふさわしくなく。内戦を産んでしまうのです。
 内戦により息子が父を殺し、父が息子を殺す、そういう悲劇を見て、ヘンリー六世は内戦の酷さをまざまざとしる・・・。
ヘンリー六世という演劇のテーマは実は内戦の悲しさ、だったのですね。2-5のヘンリーの独白シーンは見ものです。
 しかしほんとWSってやつは呆れるほどに才能がありますね、鮮やかすぎる。
同時代人が一躍人気作家になったWSに当てこすりをしてる記事が残ってるみたい
です、謙遜してるが内側には虎のような野心が詰まってると、でも実力がありすぎるのだから仕方ないですね。

 裏を返せばキリスト教に頼ってばかりで、実力行使をしないヘンリー六世は無能で国家を破滅させる、もっと狡猾で強権的な王でないとダメだ。と
言ってるようにも聞こえます。クリフォードも言うように。
 本文中にもマキャベリのように残酷にならないとな、というリチャードのセリフもあるように、WSはかなりマキャベリストなとこがあります。
そこがまたかっこいいのだw

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exterminating angel = 皆殺しの天使

1-4
王妃「・・・お願いおもいっきり泣いてIをもっとウキウキさせてよ・・・」
(捉えたヨークに向かっていうサディスティックなことば

ヨーク「・・ アマゾンの淫売みたいに勝ち誇りやがって・・・」

クリフォード「これはオレの誓いの為、そしてこれは父の死のためだ」
 といって剣をヨークに二度突き刺す・・。
(ドラゴンボールの元ネタはこれだったのか)

  
鳥の王者である鷲だけが、太陽へと向かって飛び、太陽を見ることが出来るという伝説・・・

2-3
ウォリック「おれはオレの馬を殺す、自ら退路を断つのだ」

2-5
息子(ただの脇役)「どんな風が吹いたとしても誰かの得にはなるだろう、オレが一対一で殺したこいつだって
少しは金を持ってるだろう・・・」
 息子は殺した相手が自分の父親だと気づく・・・

3-1
  戦に負けて王位を奪われたヘンリーに猟師が誰だと聞く
ヘンリー「身分は見た目以上生まれ以下のものだ。少なくとも人間だ、それ以下にはなりようがないからな」

3-2
 獲物には風下から近づくのだ
(ニオイを悟られない為にね)

3-3
リチャード「・・おれには笑顔がある、笑いながらヒトを殺せる・・・」
 リチャードは三男の上に、こぶだらけの奇形として生まれた、それにより彼は惡の華となり王位を狙う・・

5-6
リチャード
・・・ 見ろ哀れな王の死を悼んでIの剣も泣いている
 ・・年寄りどもがありがたがってる「愛」なんてものは似たもの同士の人間のもとに存在していればいいさ・・・
(カタワとして生まれたリチャードがヘンリーを暗殺し、他のあらゆる人にも宣戦布告する、孤独に闘う運命を背負わされたもの・・・
*悪役だけれど親近感がわく、これは上手いやり方)