2015年7月10日金曜日

1678 クレーヴの奥方 ラファイエット夫人

1678年と言われてもちっともイメージが湧いてきませんね、なんのこっちゃわからんと言ってもいい。
けどシェイクスピアは1600年頃だし、この17世紀ってのが、今のあらゆる表現の故郷になってるのは
間違いないことです。
 
 いわゆるなんでしょう、王朝物の恋愛小説なんですけど、数々の消えていったジャンルでも、この王朝物ってのは
最たるものじゃないですかね、昔は文学のメインストリームでもあったわけです、シェイクスピアもほとんど半分は王朝物
ヘンリー、エドワードなどなど、歴史物とも言われるけど、王朝史に主題をとってるわけです。王、王妃、王太子、王女・・・
 日本では源氏物語があるんですよね。源氏物語ってのは超特殊な巨大な小説で、しかも特異点みたいに急に現れてるんですよね。
世界の文学史の中でも際立って妙な作品です。けど他の芸術ではオンナってのはほとんど活躍してないけれど文学では重要な発端を担ってるのですよね、オンナと文学ってのは相性がいいんでしょうね。



 決して面白くはないんですけどねw いやーどうなんでしょうね、Iが恋愛ものが嫌いだから面白くないのかもしんない、今でも
くそくだらない恋愛小説、ケータイ小説とかを読んでる女の子ってのはいますものね。源氏物語だって面白いと思う人がいるのかもしんないです
このクレーヴの奥方も。
 
 この小説ほとんど情景描写とか場所、の描写は存在しないでひたすら、心の動きをしつこく追っていくのですね、クレーヴ婦人は恋心が・・・・
 あまりにも強い切なさによって・・・恋の焔がまた燃え上がり・・・ムッシュクレーヴの影が心に浮かび・・・・罪悪感を感じ・・・

みたいな調子です。その日はしとしと雨が降っていた・・・通りには雨を除ける馬車の音がする・・・ぱらりとカーテンが風に吹かれて・・・

みたいな物、の描写がほとんど無い。あるのは人物と心、そしてサロンと王族、というひたすら観念的な調子なんです。

ただ300年以上前の作品ですので、それがめちゃ面白いってのはありえないですよね、しかもこれは17世紀に描かれているけれど、16世紀の中頃を舞台
とした歴史フィクションでありますので、雰囲気、ってのがつかみずらいです。江戸時代に書かれた室町時代の小説みたいなことで、いや江戸時代のアレも
わかんない上に、室町のソレもわかんないよぉ・・・、さらにフランスの王朝ってのをたぶん当然知ってるでしょこの話?フランソワ王といえばアレだよね
っていう知識もないのでなかなかしんどいです。

 でもわかってくるとこのへんは面白いんでしょうけどねー、えー、この王朝はイスパニア王と結んでこの時代力を強めて・・、だからオレンジ公は・・えっ
エリザベスはこの家の孫娘にあたるのに・・!それに新教と旧教でこことここは、実権を求めて宗旨替えをして・・・
 みたいな権謀術数が楽しめるようになれば楽しいのでしょうけどね。

 しかし現代には王朝ってものが存在してませんのでこの類いの小説は存在しようがないんですよね。現代のシェイクスピアは何を題材にするんでしょうかね・・・


 階級、クラス、家柄、血筋、ってのはあったほうがいい、とIは言いませんけれど、物語としては、非常に魅力的な装置です。物語ってのは、おかしい、とか
ぎこちない、むちゃくちゃだ、ってもののほうが面白いから。もっというとフリがやっぱ聞いてるのですよね、王様はだれでも知ってる、王様の話ってのはフリが
聞いてるのです、現代ってのはフリを効かせるのがむずかしい、総理大臣なんて知らないし、みんなが知ってるあの話・・・、ってのが無いからパロディにも
できないしレイヤーを産むのが難しいですね。