2017年10月14日土曜日

1939 秋風記 太宰治

 これからしばらく太宰シリーズが続くことになりますw

 漱石、芥川、太宰、国語の教科書にも乗るような作家ですけど、実際この三人が日本文学の代表だよね、間違いなく。頭抜けているもの・・・って思いますよね、しみじみと思います。別に他の作家が悪いことないけど、このラインに比べると問題にならないくらい、レベルが違いすぎる、なんだよ、こいつら、才能が違うじゃんっていう。
 
 漱石は間違いなく現代文の歴代で一番文章が上手いし、現代文を生み出した開祖でもあります、自分が生み出したんだから自分が一番に決まってる。
 芥川の構成術、みたいなのはほんと一流の職人です、非の打ち所がない。作文として900満点みたいな感じ。簡潔で洗練されています。

開祖、その一番の弟子、そして最後に来るのが、問題児、であり破壊者の太宰というわけです。小説のルールみたいなんを全部ぶっ壊している。


 よくよく読んでみると、この秋風記なんて、金持ちの家の子息である作家がモテすぎて困るということを言ってるだけなんですが、すべて太宰のセンスと才能で作品に仕上がってるというわけです。さらりと、ものすごい名言や、そんなばかな!っていう真実をさらさらと書く。時々、良い言い回しを思いついたな、って自分で思っていると、太宰の小説でなんでもないフレーズとして使われていたりする。そのくらい、名言乱射というのか、ちょっとした会話の節々に、ものすごい名文を書いたりします。ほんと才能人ですよなぁ・・。

 神は貧しいからといってその人間を愛さない、その中にサタンがいるからである。強く富裕なものの中にいる、善人、これを神は愛するのである。

 こういう具合。愕然とする真実を解き放つ。

 この秋風記、何回か読んだと思うんですけど、やっぱりすごいですね、まぁ1939年という時代に書かれてるという時点で、なんかかなわないなぁという気がするわけですが。