2017年10月14日土曜日

1979 quadrophenia さらば青春の光

 原題のQuadrophenia は四重人格という意味で、the WHOのロックオペラ的なコンセプトアルバムからとられています、この映画の内容はそれ自体とはあんまし関係ないですけど、BGMはほとんどWHOから使われています。

 どういうわけで「さらば青春の光」というタイトルになったのかは謎、意訳にもなってない完全オリジナルですね。確かにそのまま和約した「四重人格」というタイトルも、クアドロフェニアというカタカナタイトルもまったく流行りそうにないタイトルですけど。(お笑い芸人がたぶんそっからタイトルをとっていてググりずらくなっていますね)
 「モッズキッズ」とかそういうタイトルにすりゃ良かったんじゃねぇかとワタシは思います。


 この映画もWild Oneと同様で、映画のプロットみたいなものはほとんど無い感じで、モッズ、というスタイルを前面に押し出した映画です。

モッズってのは妙なファッションムーブメントで反体制でヤンキー的な立ち位置なんですが、服はスリーピースとトラッドなファッションをするという謎なセンスです。反体制ならもっと反体制的な服を着そうなものですが、一番トラディショナルなスタイルをする。
 ロッカーはワイルドワンに出てきたような、革パンとレザーという、まさにカウンターカルチャーみたいな服装なので、モッズは見た目はすごい真面目そうに見えるのでとっても妙ですよね。モッズはスーツの上にMー51みたいなミリタリーアウターを着てるのは、スーツが汚れるのを防ぐためで、彼らはスーツに非常にこだわるのですね。スクーターに乗るのも、エンジンむき出しのバイクだとスーツが汚れるからです。スーツはオーダーメイドで作ってるし、モッズはロッカーがワーキングクラスなのに対して、少しミドルクラスの家庭の不良だってことなんでしょうね。 

 モッズは60年台のムーブメントなんでこの映画は昔はこういうふうなのだったよ、という記録映画みたいな調子です。

  モッズのその後、はスキンヘッズみたいな極右、ネオナチっぽい軍団に変化していったらしく、かなりやばい奴らなんですが(彼らはファッションにユニオンジャックを取り入れていて、屈折した愛国心はあるんでしょうね、たぶん)
 モッズファッション、は彼らの思想とか行動にはまったく関係無く、きれいめのオシャレとして受け継がれていくことになります。もはやメインストリームといってもいいですね、トラッドにミリタリーテイストを入れるっていうのは。当時は、この映画にもあるように、スーツにミリタリージャケットなんて「普通じゃない」、という受け取られ方だったのですが、今では普通中の普通。MA-1を一枚は持っておこう♪みたいなことをいわれておるくらいですし。
 あとモッズのスタイルとしてスリムフィットってところも大きいです、ロッカーとかマッチョと違って、ジャンキーの彼らは細身のスーツ細身のパンツというわけで、これも今風、ですね。


 映画のストーリーはモッズキッズが、さんざん暴れ倒して、セックス、ドラッグ、パーティーというループを繰り返したあげく彼女をNTRされて、仕事をキレてクビになり、最後には・・・

 っていうめっちゃベタベタな展開というか、ドラッグ破滅型の映画の王道を言っているプロットであります。

 よくアメリカ、イギリスだけにかかわらず、台湾でも韓国でもどこでも、クラブやダンスホールで音楽を聞きながら踊っている、っていうシーンがありますけども、ワタシ個人は一体何が楽しいねん、って思うんですよねw だいたいこの映画の80%くらいは音楽を聞きながらグダグダしてるんですけど、あぁいうパーティーピープルとはワタシは相容れませんなぁ・・、家でゲームしてたほうが楽しいものね。それじゃ映画にならんのじゃけどw インドア派なんだなぁこれが。


 でもファッションは不良が作っていくってのは間違い無いと思いますね、不良というか、反体制とかマイノリティ。だって体制側の人間は、みんな同じ格好をしてるわけで、そっから新しいものなんて生まれっこないですわね、新しいことをうまないってことが、体制側の人間として優秀である所以であるともいえるし。もちろんただの糞野郎みたいな不良から、極○的なガチ勢までいろんな不良がいますけども、ストリートに彩りを添えるには必要悪なのかもしれませんな。