シェイクスピアの晩年の作品のスタイルはロマンス劇と呼ばれるみたいですが、そうよんでるのはどうやら日本人だけのようです。
物語の形式としては、主人公がたくさんの苦難に見舞われて漂流したりするのですが、最後にはハッピーエンドになるという、オデュッセイア的な放浪話、というか、物語形式。となっていて、これまでの演劇とはスタイルが異なっています。
そういうこともあって、この作品は偽作がずっと議論されていて、確実にShがすべてを一人で書いたのではないが、かといってまったくかかわっていないともいえない。わたしもそう思います、随所に、Shらしくない、やり方というのか、スタイルがあるけれども、明らかにShしか書かないだろう、っていうスタイルで書かれている、Shらしい部分もあります、とくに売春宿の下りですね、こんなに上手に書けるのはShしかいません。SH監修、で劇団の若い作家に書かせたという感じだと思われます。
プロットは大変複雑のようにみえてすごく単純で、まぁいろんなことが起こるのだけれど、丸くおさまる。というお話で、同時代人にはかなりヒットしたと同時に、こんな古臭い陳腐な劇が人気なのはおもしろくない、という意見もあったようです。
たしかに、ものすごいふるいタイプの、童話とか神話みたいなプロット、を使っていて、これはすごくSHらしくない、たぶん別の人のアイデアで、それに味付けを加えたということでしょう。また、本当に誰も死んでいないハッピーエンドというのも全滅エンドばかりのShとしてはまったくらしさがない。これも別の人間のアイデア。
というわけで名作とかそういうふうにレビューするのは難しい作品です、けど明らかにShの手が入っているところで、良いシーンなどもあり、なかなかどうして侮りがたい作品でもある・・・。