2012年12月25日火曜日

opus 9 manuscript 3

名前がころころ変わって面倒ですね、とりあえずopus 9として草稿を上げていきます。無題ってことで。これは第1稿で、ほぼ没にしてますw

                 
              3 hung

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 次の日にたくさんの知りもしない人からメッセージが届いてるのを見てさっぱり意味がわからなかった、ストリートアートに興味が移ってしまってスタッフ募集していたのことのほうを完全に忘れていた。内容を確かめてやっとそれを思い出した、けど内容はスパム同然だった。面白いです!とかイラストが気に入りました、とか感想が大半で、後はおれもストリートアートやってるぜベイベーみたいなのが少しあっただけだ、なんかちょっとしたコミュニティがあるらしい、確かに見たことのあるロゴの写真をたくさん送ってよこしやがったから。本来の目的に合致したのは無い、やってる本人がそれを忘れていたんだからしょうがないけど・・・
 今日はバイトのある日だから水泳はなし、学校も創立記念日で休み、つまり図書館にいる。図書館のパソコン自体は規制がかかってるけど、ホットスポットとして持ち込みパソコンには規制はかからない、というかかかっていても外せるのだけど・・
ナナ「アキ~!」
ナナはほぼ唯一の中学の時からの友達(中学は公立でバカ学校だからこの進学校に来たのはたぶん三人くらいだった気がする)なので、いきなり私が人格を変えて縁を切るってことは出来ないほぼ唯一の友達で、というか私が急にキャラ変えをしたこともその理由も、私の性格もわかり尽くしている、強敵である。しかもキャラ的にそういう理由がなくてもガンガンくる、そうよくいるだろう、どんな高尚で孤高な人でもなんか俗悪な土俵に引きずり落として勝負させて、その勝負から逃げると逆にかっこわるいような場を持っている人、それだ。そしてとてもいい子である。本当に・・・一生処女のまま死ぬのではないかという不安を私が勝手に持っている。ブスではないが恐ろしくモテない、たぶんすぐにやらせてくれそうにないというのがフェロモン的なものでわかってしまうからなのか・・・
ナナ「休みも図書館で勉強ですか、優等生は」
アキ「まぁ、最近うちの学校のやつをよくみかけるようになったよ」
ナナ「私もその一人、あと9ヶ月を缶詰になって過ごさないといけないの」
アキ「sardine can 芸大だっけ?」
ナナ「第一志望はね」
アキ「あそこって都心に近くないんだよね、だからやだ」
ナナ「東大だって遠いじゃん、糞田舎、中央線でしょ?」
アキ「別に行きたくもないよ、でもそう書かないと叱られるんだもの」
職員「すいません図書館の中では・・」
二人「すいませ~ん」
ナナ「ちょっとマックでも行こうか?」
アキ「おごりなら」
ナナ「しゃあないなぁ」
アキ(私がナナとの交際を切らない本当の理由は究極的にはナナの金払いの良さなのかもしれない・・お嬢様育ちなんだ・・)

ナナ「あれだよね、三年になって急にアキが殻に閉じこもり出したけど、だんだんみんなそうなってきたよね、というかみんなアキのスタイルに感化され出したというか、あっ本気モードに入ってよるみたいな」
アキ「(ビッグマック旨し)そんな所でファッションリーダーを演じましてもね」
ナナ「私も正直なとこ色んな人間関係を整理したいもの・・・生徒会(会長)、部活(管弦楽部長)、文化祭副委員長・・調子に乗って背負いこみすぎたなぁ、ヘルニアになりそう、精神の・・」
アキ「でも夏まででしょ?しょせんあと一月半じゃん、がんばれニッポン」
ナナ「超ヒトゴト・・」
アキ「人事ですもの・・」
ナナ「ハハハ、確かにでも、甲子園の応援もあるからさ、もし出場になったら甲子園に行かなきゃいけないんだよ、管弦楽のほうの大会もあるから新幹線で往復しまくるかもしれない、文化祭も生徒会の・・」
アキ「好きでやってるんでしょ」
ナナ「うぅ・・・そうですけど」
アキ「なんだってあの、ナナの好きな・・」
ナナ「その話はいいよ」
アキ「別れたの?」
ナナ「違うよ!もぉ・・優勝したらやらせてくれだって、馬鹿じゃないの」
アキ「やらせてやればいいじゃん、甲子園優勝って結構すごいことだよ」
ナナ「だって、そしたら結婚することになっちゃうじゃん」
アキ(何か私とナナとの間では方程式が違うみたいだけどそこはまぁいいや、セックスすると必ず身ごもると思ってるのか、それともカラダを任せたら結婚する掟でもある家なんだろうか?)
アキ「すればいいじゃん」
ナナ「ヒトゴトすぎるって!18才で人生決めらんないよ」
アキ「むしろ18才ってのは人生を決めないといけない年なんだと私は思うけどな、だって別れる気はないんでしょ?」
ナナ「・・・アキはそりゃ早熟だもん」
アキ(神はアキの門を閉じられたり)
アキ「今の子供が子供すぎるんだって、ともかく結構選べるように見えて結婚相手なんてほぼ選べないんだよ、悪くないくらいで手を打っとかないと、まさか運命の出会いなんて信じてないでしょ?30過ぎたら出産のリスクが桁違いに高くなるのだし・・・」
ナナ「わぁ~~もぉいいって、これ以上心配事を増やさないでよ、もう溢れてるんだから、キャパが」
アキ「ハハ、じゃあとりあえず今日は勉強に集中して心配の種を無くさないとね、がんばれ受験生」
ナナ「あなたも受験生でしょ」
アキ「もうA判定ですから、別に滑り止めでもなんでもいいし、奨学金が取れるとこがいいな」
ナナ「チッ・・」
 二人は立ち上がってまた図書館へと戻っていく、初夏の風が吹いている。この夏をふいにしなきゃいけないのかとナナは残念そうに若いカラダをうんと引き伸ばし、アキはまったく違う事を考えていた。そんなに受験勉強がんばってもうすぐ死ぬ運命にある人もいるはずだ、そんな人は今の自分をどう思うんだろう・・・もうすぐ死ぬとわかっていれば、別にしななくても大きなものがガラガラ壊れてしまえばだんだん大きな目標を立ててコツコツということはできなくなる、そういうとき人間は橋の上に立ち尽くして呆然として川か空を見つめるものらしい、特に日本文学的伝統によれば・・・そりゃ方丈記的世界観ってやつか?

ナナ「そうだ、アキの好きな人って誰なの?」
アキ「うん?」
ナナ「ほら、すごく鮮やかにフッたでしょ、昨日、私好きな人いるんだとかいって。アキの好きな人って誰なのって噂になってるよ、ほぼ唯一付き合いがある私に質問が集中しています」
アキ「あぁ・・秘密って事にしておいたほうがいいと思うよ、アントワーヌ・ポワドバールだけど」
ナナ「外人?」
アキ「航空考古学の第一人者」
ナナ「それってもう死人じゃないの?」
アキ「死んだ人に恋してはならんなんて法律はないでしょ?私死んだ人が好きなんだ、ほら・・完結してない漫画を読むのがニガテなタイプでしょ。完結してないといやなの、不完全でもいいから終わってる事が大事なのですよ、現在進行形のものは危なっかしくていやだ」
ナナ「・・なるほど秘密にしておいたほうがいいかもね」
アキ「トムヨークが死んだら私の好きな人はトムになると思うよ」
ナナ「はぁ・・、ねぇ時間有るなら偏微分のとこちょっと教えて、数学Ⅲいるんだよなぁ芸大・・」
アキ「時給1000円でいいよ」
ナナ「いいよそれで」
アキ(払うんだ・・・冗談のつもりだったのに。長い付き合いのはずなのにまだナナは私にとってカルチャーショックである、本当に友達からオカネを取る私のほうがナナにとってはカルチャーショックなのかもだけど・・)
 
 三時間ほど数学の稽古を着けた後にアルバイトに言った、印刷所に言ってチラシをやらポスティングのものを受け取って原付か自転車で運ぶという単純明快なお仕事。原付免許は持ってるのだけど自転車のほうが小回りが効くのでそっちを選ぶ・・ナナの専属家庭教師をやってるほうが随分と時給は良いと思われる・・・でもこうやって自転車で街中を走りまわっていると、空の色の一日の色の変化を追ってけるのが楽しい。空の色はほとんどすべての色へと変わる。黒、青、黄色、赤、緑・・・太陽光線はすべての色のスペクトルを持っていると言ってしまえば当たり前の事なんだけれど、私にはこれはすごい奇跡的な光景に見える・・・全然面白くない住宅街からひょうと空に目を向けると、とんでもない宇宙の神秘、そのギャップがものすごい。空を見るのだけは飽きない・・・そういえば私は子供の頃は飛行士になろうと思ってた、けれど死ぬほどカネがかかるし目も悪い、その上お金持ちの豚を乗せて飛ぶのなんてまっぴらごめんだ、お金持ちの豚を蜂の巣にしてやりたいとは思うけど。だからすぐにやめた、RAFが臨時パイロットを募集してたらすぐにレジュメを送るけど・・(自衛隊は大嫌い)、ともかく戦争かなんかで飛行士が劇的に減らない限りワーキングクラスに飛行士的な仕事は来ない。
 三時間ほど地球資源を無駄に配りまくったあげくに帰宅。9割9部はすぐにゴミ箱行きだ、ポストに入った瞬間にもうあれはキップルになってる。シャワーは明日プールのシャワーで浴びるのでよし、ベッドにフェードイン。ドアノブをあけて着替えてフェードインまで一分かかってない。寝付きは最近は悪くない、あの明るい頃の私は、死んでしまったけれど、少女らしい不安やら期待やらで不眠症だった、やっぱ躁があるから欝があるんだな、私は今は相当低空飛行で飛行距離を稼いでいるのでブレが殆ど無い。スティーブ・ライクの音をipodで聞きながら・・・まぁミニマルはよく眠れるったら無い)