2015年8月6日木曜日

NHK ニッポン戦後サブカルチャー史  宮沢章夫

 



戦後のサブカルチャーを特集するっていう本でした、二冊の本が合体してるような本で前半は論文、後半は年表になってます。
 前半は戦後サブカルっていうよりは1954年のもはや戦後ではない、から1980年のYMOブームまでしか取り上げてません。つまるところ著者の青春時代しか殆ど取り上げてまへん。ただでも其の時代に生きてない人にはなるほどにゃー、ってところも多いです。90年台のEVAブームだの、宮﨑駿はすごい伝説、あるいは黒澤映画は最高だ、みたいな、そんなこと知っとるわ、ってことは書いてないのでちょっとだけ面白いです。なるほど、そりゃサブカル、だから当然の話ですよね、黒澤や宮崎映画なんてドメインもメインのメインストリートですからね。EVAだってサブとして始まったにせよ、今では一番客が入るアニメなわけでメイン中のメインですから。
 


 脱線しますけど細田守の映画の宣伝に、子供からオトナまで楽しめる、って書いてありました。それって結局誰にもたいして面白く無いってことですからね。細田アニメつまんねーです。良い人すぎる、良い人が作る作品ほど面白くねぇものもないですよ。毒が無さ過ぎる。でもアニメの技量はあると思うんです、カット割とかも結構凝ってるし、3DCGのぶっこみ形もあざとくない。けど監督をやるようなタマじゃないんですよ、監督に担ぐようなタマじゃない。技術屋さんなんです、もっと大きな器の人間を連れてこないとダメです。


 話を戻して、けど別にサブカルについて語ってるってほどディープな話題には触れてません。暗黒舞踏やら、ハプニング演劇、寺山修司、とかってサブじゃないですものね、アングラっぽいメインです。だって販売ルートだって商業ルートだもん。アンデパンダンとサブ、っていうのの違いがよくわからん。
 ともかく前半の部分でわかるのは、この作者がはっぴぃえんどあたりの音楽が好きってことと、劇作家らしいので演劇について紹介されたところで演劇っていうのはファッションと同じで、すぐに消滅していくメディアだから、紹介されたって確認する術がないし、演劇の歴史なんてどうでもいいってことですね。ファッションの歴史も。
 イブ・サン・ローランが言ってましたけれどファッションは常に現代のもので過去を顧みてはいけないと。演劇もそうです、過去を求めないっていう潔さなんですわね。クソどうでもいいです演劇の歴史。どうせ見に行かねぇし。(行けねぇし)

 あと微妙に街論みたいなのもあります、新宿から原宿、渋谷、そしてアキバへと文化の中心点移る、みたいな話。うん、タダ開発されすぎると土地が高くなってクリエイターは逃げ出すってだけのような気がするのだけど。開発が進むとテナントが高くなって全部スタバになってしまう、ってのはなるほど、って思いましたね。山の手線とか乗ってて思うのは、どこの駅も同じやん。ってことですよね、ユニクロがあってマックがあって、無印、ビッグカメラ、ダイソー、ハンズ、どの駅も機能は同じです、配置が違うだけで。売ってるものも、食べ物の味も同じ。だからどこでもいいやんって思う、この駅にも自分の家がないのが不思議になります、なんで自宅だけはこの駅にしか無いんだろって。ちょっと電波なコト言ってますか?w


 けど後半の年表、これはツボを抑えています。まったくサブカルではないけど、その時代の代表的作品を抑えています。あぁなるほどねー、大江健三郎のあの小説っていうこういう時代の時に出たんだ、三島も、この時代に出たんだ。ってのがわかります。小説だけ読んでも、その時代がいつ?ってのがわかんなかったりしますからね。死靈って戦後割りとすぐに出てるんだな・・・とか。たいして面白く無いですけどね、死靈。

 大江健三郎、Iはあんましすきじゃないけど、戦後から80年くらいまでは、時代の中心点っていうか、まぁしかしこいつの言うことが時代の真ん中。っていう感じがありますよね、一時期のサルトルとかラッセルもそういう役割をしてました、好き嫌いはあるにせよ、今の時代の中心点、一番よく見えるところはここ、っていうのが。80、90年は宮﨑駿だったけれど、00年あたりから、中心点ってのがよくわかりません。BUMPかな。

 ともかく戦後の作品が時系列にわかるってのが便利です。買う必要は無いと思うので(NHK出版は儲けが無くても潰れない銀行商売なわけですから)図書館で見てメモを取れば十分です。