2014年7月15日火曜日

1922  荒地 WASTE LAND Thomas Stearns Eliot エリオット

 
超有名な詩。おそらく20世紀で一番有名な詩。WASTE LAND、ですが、それを読んでいる人は皆無に近い。
 といってもわりと最近岩波に入ったんですね、おっそーーーー。著作権的なこと?エリオットがしんで50年ですかね。
 有名な割に手に入りづらい詩、マヤコフスキー集成みたいなのもなかなか手に入らないのですけど、20世紀詩人、シリーズってのはほぼ一切、普通のルートではてにはいりませんな。


 非常に難解といわれますけどそれほどでもないかなー、という気がします、なにぶん短いので難解であっても分析には時間がかかんない、失われた時を求めて・・、みたいに難解以前に長くて気が滅入るってものではありません。それに引用だってレイヤーだって、聖書、ダンテ、シェイクスピアあたりの超有名ドコロなので、そんなのは知ってて当然ってことなんでしょう、当時の文化ってのは、サロン社会ですから、知らないのは読者が悪いのです。フィネガンズ・ウェイクを読破したような歴戦の強者にはささいなこってす。エズラ・パウンドに献呈されてますが、パウンドの詩のほうがよっぽど・・、炸裂してます。まずパウンド自身が理解してるのかあやしい漢字をただの気分で突っコンでるしね。
 翻訳不可能っていうジャンルがありますね、古くは渡辺一夫が挑戦したガルガンチュアシリーズ、そしてフィネガンズ、このWASTE LANDもその1つ、エズラ・パウンドもその1つ、けど少しずつ物好きの学者によって、翻訳されているようです。パウンドはでもさすがに無理だろ、って感じもするのですけど。すでに、コトバ、にもなってないものもあるから。


 文化っていうものは、少しづつ前衛、によって自由な表現になっていっていると考えてる人が多いです、特に歴史とかを顧みないひとは。けど実際には、二次大戦以前の前衛、モダニズム、は現代よりも、何段階も前衛です、戦後、の文化というのは逆行していて、非常に保守的です。というより、市場主義、的です。売れる、ことが最重要になっている。戦前はそれよりも、もっと大事なことがあったんですね、究極的に現代的であること、とランボーがいうようなこと、それが売上などよりも大事だった、じゃなきゃモダニズムなんて成立しない。それはやっぱ戦争下の芸術ってことなんじゃないでしょうか、明日死ぬかもわからん、明日ヨーロッパ、っていう文明は消え去っているかもしんないっていう状況で、売上や一般受けを狙うことは出来ません、モダニズムというとなんでもあり、と受け取られやすいですけど、当時のモダニスト、の真面目さはもはや滑稽とすれすれの領域で、死が背中にぺったり張り付いている緊迫感のあるものだってことをお忘れなく。
 市場主義の芸術ってのは、ものすごい逆行です、いまさらこんなことをしてるの?って思う、たぶんミライの人が見たら、1920年代の作品と2010年代の作品、のどちらが古い作品か、ってのがわからないと思います、なんで昔の作品のほうが斬新なの?って思うでしょう。モダニズム、現代的、っていうジャンル名はムチャクチャであるけれども、的を得てもいます、モダニストよりも、現代的な作家はその後には現れていないのです、戦後の文化は逆行していて、もっと住みやすい懐かしい場所が表現の場所です、誰もまだ開拓してない未開の領域に踏み込むモダニスト、はほとんど絶滅した。POP SONG、ROCK、ってのは技術は新しいですが音楽的には19世紀の文脈です、マンガや映画、のストーリーというのは19世紀の小説の文脈です、あるいはもっと古い騎士道物語とかそのあたりのの変奏である場合が多い。表面的にパッケージが新しいだけで。
 

 それが悪いと言ってはいません、みんなが前衛、になったらそこが本陣になっちゃいますからね、ただ前衛的な作家、というのがいないのはさみしいこってす。前衛的、であるってことと、市場主義的であるってのは真逆ですから、文化の市場主義が終わらない限り、前衛的、な作家は生まれてこないでしょうね。文化至上主義ならぬ文化市場主義です。文化至上主義に対しては、リアリズム、プロレタリア文学、写実主義、私小説、みたいなカウンターがあったけれど文化市場主義にはカウンターがない、モノカルチャーで、脱出出来ない迷路みたいに息が詰まる。


 いわゆる議論を巻き起こす作品、賛否両論を巻き起こす、ってのを久しき聞きませんよね、だいたいにおいてみんないいって言ってる。ってのが市場主義のアプローチです、アカデミー賞を取りました、とか、全米一位、ってのが良いこと、とされてますでしょう、全米の半分が怒り狂い最低の駄作だといい、半分は完璧だと言った、みたいなものはないですから。
  



 最後に岩波の本に一言、Iは英語の原文を読みましたけれど、岩波はものすごい注釈がこまいのですけどそんなことよりも対訳として原文を載せりゃあいいのに。ポエム、ってもので対訳にしない意味がほとんどわかんない。ちっとも理解できない言語だって、音や目にどう映るかってのが大事なので対訳にするべきですね。エリオットの昔の作品も載せる、ってのはなんか欲張って意味がわかんないです。蛇足以外の何者でもないぜ。
 また訳文の文体にケチをつける人ってのもIにはよくわかりませんね、詩の訳なんて正しいやり方なんてわるわけないし、名文ってのも嘘です、詩ってのは原文そのものでしかない。それ以外に絶対あるわけない、だけどどういうふうに解釈するの?っていう、解説、みたいなもので、訳文が綺麗だろうがなんだろうがどうでもいいです。


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ワールドカップはあれですね、決勝ってものの宿命で面白くない試合でしたね。あぁ、ドイツのほうが段違いだな。ってのが最初の数分でわかってしまって、結局延長になりましたがドイツが勝つと。

 固いチームが勝つ、ってのが昨今のスポーツですね、論理の通用しないミラクルスーパースターが大活躍で勝つってのは無い。NBAはスパーズが勝ち、ワールドカップはドイツが勝ち・・・
 チームスポーツってのはやっぱしそういうものなのかもしらん、ボクシングとかサシスポーツだったらマニーウェザーみたいな規格外の化け物ってのがいるのですけどね。ウェザーは現代のスポーツ界で、無敗、という伝説を持っている唯一の存在だって話しです、ボルトもフライングで負けてますものね。だからあらゆるアスリートで一番の金持ちなのも当然だってわけです