2014年6月29日日曜日

1990 雲のように風のように  近藤勝也

  本当は鳥海永行というタツノコのヒトが監督なんですが、ほぼ何もしてないって感じで、実質作画監督の近藤勝也作品です。誰がコンテを切ってるのかわかりませんが、たぶん近藤氏がコンテも切ったのじゃないですかねー?あの大砲での爆破の感じとかはそうっぽい。
 ただし、原作ありきなので、作劇はしてません。



 この作品の知名度が死ぬほど低いのは、TVアニメスペシャルとして作られていて劇場公開じゃないからだろうと思われます、ほんと知る人ぞ知るっていうか近藤勝也作画ファンにしか知られてないでしょう、海が聞こえる、もまったく同じような調子ですけど、割りと知ってるヒトは知ってる。


 近藤勝也氏はジブリのだいたいの作画監督ですので(コクリコ坂のドキュメンタリーに出てたひょろくてメガネのヒトですよ)、このアニメがぴえろが作ってるのに、作画がジブリ全開なのはそういうわけです。近藤さんの作画の感じってのは、子供向けって感じですね、エロが無い。あと血を書きたくないってのがあると思います、暴力シーンをコミカルにしたがる。

 ただ原作ありきってのものの弱点でして、アクションが弱いって気がしますね、文字でアクションを描くのは不可能だから、だからアクションシーンがなんていうんでしょう・・・、ベタな構図に置いてるだけみたいなのになっちゃいます、もののけ、と比べるとわかるんですけど、もののけは原作無しで絵コンテスタートなのでアクションが斬新っていうか、背景とかみあってる、サンが屋根からタタタっと走って下ってくる感じとか、文字原作ではどうしようもない。あとジコボウがひょいと宙返りして下駄で蹴りを入れる、みたいなのもの、絵コンテスタートじゃないと出てこない感じ、ハリウッドが香港のアクションに見劣りするのと同じことです。脚本が先にあるとアクションは出てこない、即興的にやるっきゃないのですよね。


 
 でもなんでしょう、やっぱ少女を書かせるとこの近藤氏は抜群に上手いって感じがしますねー、キャラもなんか魅力的ですし、表情が上手です。あと歩き方ですよね、脚がほそーくて浮いてるみたいな歩き方です、アニメーターの実力ってのは、キャラの歩き方さえみればわかるといいますけれど、上手いです、日本で一番予算かけてるアニメの作画をまかされてるんだから当たり前ですけどね。一応実質日本で一番上手なアニメーターのはずです、名目上・・・・CG無しのフル手書きの時代ですからほんと実力がわかります。