2013年10月2日水曜日

LEVEL 5 CHRIS MARKER 1997 / セーヌ左岸派 と 五月革命

 この映画って、ひどく、アレなんですよね。


 アレなのです、説明しがたいあの感じ・・・・・



コトバが無いですね。かすってるコトバも無い、けどその感じを持ってる映画です。



 映画自体を説明するとぶっ飛んでいるのですけど。

 ローラという女性が、あるプログラマーから与えられた、沖縄戦のシュミレーションゲームを、解読することによって、歴史を変えようとするという話です。

 そのためにOWL、というネットワークセカイに入る事によって、沖縄戦の情報が与えられるというわけです。

 しだいにそのネットワークで沖縄戦の集団自決と、殲滅戦が明らかになってきて、ローラは自殺することが、次第に、もう一人、のある人物、へと続く手がかりになると感じる。もう二度と会えなくなった誰か・・・・・・・・

 
 レベル1はキヲクを消した人
 レベル2はキヲクがあるが思い出せない人
 レベル3は・・・・

 
 誰もレベル5には届かない、このゲームを、変えられるものは・・・




  という、恐ろしくかっとんだ映画ですが、それが押井守と違っていいところですよね、押井守はなんか衒学的で、ひけらかしくさくて、そして説教臭い。けどMARKERは何も主張しないというか、投げっぱなしで、説明も全然しない。理由も明らかにしない。



 しかし映画としては、ちょっと長すぎて疲れます・・・もっと短くまとめられたのでは・・・それか70代のニンゲンとテンポが合わないのか。


 沖縄戦というと岡本喜八の沖縄戦映画があったけど、あれもなんだかIはよくわかんなかったなぁ・・・。




 MARKERっていう人物自体はまったくのところ、つかめない人物ですが、それでも60年台までは消息はそこそこ知れてて、共産主義者として、活発な活動をしてましたが、突然そこから姿を消し、あとは、編集だけで映画を作る、超内向的な作風に変わったようです。


 だからたぶん、典型的な挫折・・?幻滅して逆行(神秘家)した戦後の世代の1人なんですよね。そういうニンゲンばっかしです、ある程度知能がある人は、現実に幻滅して、キヲク・・感覚・・へと戻っていく。



追記ですが、
マルケルはよくゴダールと比較されますね、Iはゴダール大嫌いですが。ともかくアラン・レネなど同時代人、あとはスペクタクルの、ギー・ドゥボールも加えて、五月革命の理論的部分を作った人々がいるわけです。(もちろんその源泉は(ハイデガー)、サルトルだと思います・・)
 デリダ、ドゥルーズ、フーコー、メルポン、レヴィナス、ETCのIに言わせれば、カフェでのおしゃべり用のくだまき哲学者たちはその後の世代です・・・・ 


  言うなればマルケルはボルシェヴィキで、ゴダールは社会民主党的です。マルケルはいくとこまで行って最終的に、すべてに幻滅した。ゴダールはスイスイと左派から、体制側に乗り代わった。



 五月革命は、先進国においても、ゼネストによる、社会革命が実現可能であることを示した、と言われますが、結果として何が変わったのか、ほとんどわかりません。

 ド・ゴール体制、あるいは自由フランス体制をぶっ壊して、反革命の資本主義的組織に変わっただけですよね、五月革命はむしろ反革命の運動だったというか・・・実は内容の無い、狂騒でした。



 反革命がもたらしたものは、いわゆる、アメリカ化です、すべての国家のアメリカ化。そいでフランスはあまりにもアメリカ化したわけで、どんどん右化して90年台には極右化、排外主義化した。(現在はサルコジが負けてまた社会党です 2013)


 フランスは世界の一等国から三等国へと、転落した。生活もそれに比例して、不安定で未来の無いものとなった。

 と「素粒子」に書いてありますけど

 五月革命は、産業の合理化へ、逆行しただけで、ドイツに工業力で(また)差をつけられ、有力な産業を潰して、結局失業を増やしただけなんちゃう・・・



 断絶してるんですね、指導者層は、現実的ではなくて極度に観念的なイデアリスト、がほんの一握り。あとはカネが無くて退屈で、ともかく何か社会が変わるならこれ以上何も悪くならないから参加する、無教養な群衆。って感じです。それがやっぱし、建設的な何か、を生み出すことは、無いでしょうね。