2013年11月15日金曜日

シャーロック・ホームズの回想録 1894 

MEMOIR    1894

http://www.booksshouldbefree.com/book/the-memoirs-of-sherlock-holmes-by-sir-arthur-conan-doyle


 オーディオブック(英語)








 ネタバレ警報









・Iは社会とその不完全さから起こる事象を研究するよりも、もっと本質的なものを知りたいと思うようになったんだ。










 はい。ホームズはMEMOIRの最後に死ぬのですが。MEMOIRというのを、ホームズの回想録、と訳してしまうのは明らかに意味不明ですね。Drワトソンの回想録、としないとホームズが回想してることになってしまいますからね。死んだはずのホームズが回想録を記すわけはないのですし。ホームズについてのココロに浮かぶよしなしごと。ですよね精確に描くと、ホームズの◯◯、でそろえたかったんでしょうけど
 明らかにでもこれは重大なことで、小説の話法の問題ってやつです。カミサマ視点、で描くとなんか安っぽいのし、一人称では客観性に欠ける、誰か目撃者が描く、第二視点がリアリティを持っているので使いたいのだけれど、それだとやっぱし色々不都合があるわけです。ドストの長編でも大事件が起こる村にだいたい調子の良い、千里眼を持った記録者が登場するわけですが、ドストの話法は崩壊していて、途中で心理描写なども入ってそんなんなんで記録者がわかったの?ってのが多い。ホームズ者も、どうしてそんな大事なとこでワトソンが必要なんか?っていう意味がわからないものが多い。ホームズがそれほど合理的なら、必要ないところでワトソンを呼ぶのはどうもおかしいってわけです。最後の事件にいたってはちょっとめちゃくちゃですね。
 映像やマンガ、視覚による伝達には話法が存在しない、ってことをご存知ですか?だから映像にはワトソンは必要無いのですよね。

 ドイルは本当はADVの最後にホームズを死なせるつもりだったんですが、予想外の人気でMEMOIRが生まれたって話のようです、といってやっつけってわけでもない。が!やっぱしADVのほうが完成度は高いかなぁ・・・。気持ちは乗らないけれど仕事としてちゃんとやってるって感じが伝わってしまいますね。


 続編のバスカヴィルは1902年ですから10年近いブランクがあってホームズが戻ってくるわけですね。でも当時の20世紀の前後10年ってのは、普通の10年とは重みが全然違いますからね、水と鉛ぐらい違う。世界は全然変わってしまった。今でも時代は速いというけれど、20世紀初頭は国家がぼこぼこと無くなってしまうような、キチガイじみた時代ですから・・・、でもやっぱしその頃の人間のほうがどうも、イキイキしてますね、クソみたいな悪党はとことんクズだし、とことん夢や希望に燃えてるニンゲンもいる。Iのそのころに生きてみたかったなぁ・・・・ずっと未来にはやっぱあのへんが第二戦国時代として歴史の興味の中心になるのだろうし。


 ともかくではバスカヴィルでまたおあいしましょうw