2013年11月27日水曜日

LAST BOW ホームズ 1917    75点

データを無くして推理すると、自分の仮定に合うように事実をねじまげたがるからね、データ、データ、まずデータだ。

 時間がないので日本語で書きます

 LAST BOWは今までの作品とはかなり異なっていて、短篇というよりは中編くらいの長さだし、連載ではなくて、1つ1つがかなりの精度で書かれているし、時間もかなりかけて書かれています。I的にはこれが完成形だと思います。作家も老年になり、ホームズも老年になった、世界はドツボにはまり、自動車、飛空船、機関銃など血塗られた兵器が世界を変えていった。馬車でロンドンをうろつく時代は終わり、ホームズは探偵というよりは、国家のスパイか、特別顧問みたいな役割をするようになります。 
 対戦協力ですね、この時期にドイツシンパ的な事を書くのは許されなかったでしょうし、そうするつもりも無かったでしょう。激動の時代とぬるいコトバで言われるけれど、激戦の時代です、戦争状態じゃない時がほとんど無い。
 


LAST BOWの最後に、風、すさまじい時代の風が吹いている・・・けれどそれに立ち向かおう、この戦争でどれだけの人が死ぬかわからないが、いつかまた、良き日が訪れる。
 
 と風立ちぬとまったく同じセリフで終わらせているのはなんだろうか、老いた作家というのは風にこだわるようになるというのか。ちょっとうるるですw

 戦時中の本ですからね。やっぱりでも、この時期の作品ってのは、1つ1つのコトバの、行動の、重みが全然平和の時代とは違っています。ドイルは我々は人類の最も困難な時代にいる、だからすべては改善の方向しかあるまいといってますが、人類は、サイアクのレコードをどんどん更新してもっと深みにハマるとは誰が気づいていたでしょうかってわけです。

 ともかくかなりよく出来てます。ホームズシリーズ制覇まであと一冊・・・