やっぱり良かったですね。Iそれほどっていうか全然高畑ファンではないのですが、これは良いのじゃないかっていうオーラがぷんぷんしてました。
内容には触れないというか、みんなご存知ですから。ただ、微妙に風立ちぬとかぶりましたね、残り時間が少ない、少女を描くっていう本筋とか演出も。ダブりましたね、デザインもほぼ同じだし、黒髪セミロング、グレーブルーの瞳。そして言いたいこと、伝えたいこともやっぱり重なりました。
ただスタッフがすごいいい仕事したのでしょうね、というかフルキャストですものね、スタッフ力がすごい。久石さんもいい仕事しましたなぁ、ここ最近では一番いい仕事したのだと思います。
アニメーターもやりがいのある仕事だったと思います、3DCGにはアニメーターの仕事なんてほとんど無いから。鉛筆でしゃっと絵を書くのは、何よりも気持ちいいです、それをマシントレースもしないでそのまま出してるのも、あっこの線だ!っていうのが嬉しいものです、それをベクターでコンピューターに描かれると線の命が消えてしまうってことがひじょーにある、線を繋がないといけないのですけどそれで、線が死んでしまうってこともかなりある。
けどこれがこれからのアニメーションの扉を開くってわけでもない、最後だからこそ、一番最初に戻ったってことです、そしてもう二度とこういうやり方は出来ないと思う。他の新しい人が、こういうアナログのやり方を踏襲するってのは違う。
ただちょっっっっと長かったすなぁ、あの宝物のシーン5人全部いったかな・・?やっぱ最後の作品だから終わらせるのをためらったんでしょうね、もっと続けてたい・・っていう気持ちがあって。それもわかるけど、誰か最後は冷徹にカットして刈り込んでいくヒトがいったんでしょうね、それがいないし、もうそんなことじゃないって感じなんでしょうかね。好きなようにやれってわけで。
ただ何よりかにより、あぁ高畑、宮崎、鈴木時代は完全に終わったんだなぁ、日本アニメーションの歴史も終わったんだなぁ・・お疲れ様でした。あとは最後に鬼子である庵野さんがめちゃくちゃに葬儀で全部燃やしてくれるでしょう。どうせなら塵1つ残らずに燃やして欲しい。
長い冬というよりはもう二度と立ち上がることはないのでしょうけど、それでいいんだと思います。アニメーションという形ではなくて違う形で何か違う物にちゃんと繋がっていくだろうし、日本じゃないどこかで、アニメーションがまた動き出すこともあるのでしょう。ネガティブに言ってるのではなくて、アニメーションの役割は終わったのでしょう、続ける理由もない、時代が変わったんです。まだ作るものはいくらでも残ってる、ただアニメーションである必要は無いってことです。下手に作ったところで、駿の再来うんぬん、まだ初めてで技術も固まってないのに比べられて、損するだけですし。
これで終わったんだなぁ。感慨しみじみって感じです。
PS
映画の出来をはかるIなりの尺度ってのがあって、それは見た次の日の朝の気持ちみたいなもので。やっぱかなりブルーになりましたね。あの映画ってかぐやの悲しそうな顔が80%くらいで、よく考えると田舎から引き剥がされた少女ってのでは、あれはまったくハイジなんですね。
ただ別に田舎で自然と触れ合って生きたとしても口で言うほど楽しくはないし退屈だし、七人の士ではないですが、国民のほとんどが農民の時は、農民の苦難を描いて、都市生活者が大半になると、農民のほうが良かったなんて言い出すのはほんとのとこどうなんじゃろう?それがイヤだから都市に移りすんだってのもあるわけでしてね。
ともかくどうやったって美人の少女をテーマに据えるとブルーになりますね。かっこいい優男の妻になって、ガキもこしらえてめでたし、なんて出来やしないし。
それに貧しくても、清貧で生きていけるとか、経済大国をやめて、また貧しい生活に戻ってもやっていける、とか、昭和20年台まで生まれの老人が、これからの日本を好きなように語るってのをよく聞きます。むしろ貧しくても楽しかったみたいな事を言って。
でもその一番本質的な部分、貧しさを受け入れるってことは死を受け入れるってことだ。っていうのを絶対に触れようとしないのがいかがなもんですかね。貧しさを受け入れるなら、認知症の老人の介護なんて出来やしないし、どこかで線を引いて死を受け入れろとするしかない、重病人も障害者も、見捨てるしかない。大きな病気になったらそれで終わりです。
でもその死を受け入れるってところになると、それはいけない、倫理的じゃない、生きようとせねばならん、みたいな事を言い出すでしょう、どっちやねん!って話なんですよね。死を受け入れてまずしさも受け入れることが出来るなら、それでいいです。
出来ないなら、経済戦争をやめることなんて出来るわけないじゃないか、そして中国との戦争も避けられないし、核武装も避けられないでしょう。覚悟を決めてどっちかにしてくれって話です。
でも映画やアニメーションが、そういう叶わない夢を、幻想を描くというのはそれはそれで良いと思うのです、嘘だとわかっていて嘘を描くのが必要なときもある。それが日本のアニメーションだったんだ、とも言えるし。ただそれはもうやめよう、次のステップに行こうってことですね。