2013年11月6日水曜日

1841 モルグ街の殺人 E・A ポー

 Iが読んだのは、新潮文庫の短篇集Ⅱ ミステリー編というやつです。2009年発行、えらく新しい、いまさら新たになんで短篇集?というと生誕200周年だということ
です、この生誕だの没後だのというのは、結局10年に二回ずつ、デビューもいれると三回ずつ、作品ごとの何周年だと結局ほぼ毎年あるわけで、出版界のしょうもない
広告戦略なんですが、著作権切れの本を買う人がいるのですかね?まぁ安いからいいのか・・


 モルグは史上初の、探偵推理小説、であると言われておる作品ですが。オチは、史上初というのはあまりにも、キワモノというか・・、ひねりにひねっています。原型だから
ベタということはまったくなく、初めてなのに、カルト的。ポーの天才ってやつなのですかねw。
 ポーは初めての商業作家だとも言われています。文筆だけで生活を建てる、貴族で地代収入があるわけでも、他の仕事があるわけでもない。まじりっけのないプロ
というのか。才能だけで身を立てるというのか。精神的身売りというのか。プロの芸術家というのか。
 そしてポー自身も初めての商業作家としては、異端中の異端、カルト中のカルトですからねw 完全なヤク中、変人、人間嫌いのアル中。異端の天才のベタ中のベタ
みたいです。ボードレールはやっぱポーが好きだったのでしょうね。

 そういう自己破滅型の天才の原型でもやっぱしあるんでしょう、芥川も太宰も、ポーになっていく。前回レヴューを描いたウェストールみたいなタイプとは
完全に異なる。そいでやっぱしIはそぉいう、自傷行為大好きの、社会に適応出来ない人間のほうがやっぱし好きだなぁ・・・。どうも安定した生活で、じっくり
作られた作品みたいなのは、肌が合わないのです・・・。そしてだいたい破滅型は作品が、ぎりぎりまで切り詰められてて、だいたい短くて鋭利、寡作。ってのが
よいです。時間対効果が高いというのか。経済的な理由じゃなくて長いとどうしても、忘れていってしまうし集中力が持たないから。
 
 そういうわけでは天才、というのにふさわしいです、新しいジャンルをガンガン切り開いていきました。そして死に方もまったくの謎の死でして、ゴッホ伝説とは
またひと味違った、天才らしい死に方です。
 

  モルグだけが読み返したかったのですけど、他の作品も読みました。(というのはホームズがいかにモルグから影響を受けてるかを見たかったからです)

盗まれた手紙
 モルグの後日談的な話

群集の人
 これはまぁ、天才やなぁって感じのアイデアに満ちた短篇。いわゆるスカしってことですね。

おまえが犯人だ / ホップフロッグ

 落語というか、ちゃんとサゲを持ってくるオーソドックススタイルです。映画にすればかなり効果がありそう。


 黄金虫

 これもいわずと知れた有名作品で、元祖暗号ものらしいです。暗号宝探しものといったらいいのか。確かに世界文学、なるものをだいたい読んだIですが、こぉいう小説は
世界文学シリーズには入ってなかったな・・。もちろん教科書のたぐいにも扱われない。


 前回ウェストールの時に描いたように枢軸国は悲劇を好むので、カラマーゾフや戦争と平和、罪と罰のような小説に与えられる地位は、楽しかったり、ワクワクするような
ものには与えられない。それは枢軸国ではなくてアカデミー賞でも、だいたい何か体制派の匂いのするものはだいたいそうです。けれど、体制派が支持しなくても
大衆が支持するので、それでいいのかもしれませんね。カラマーゾフをしっかり読んだヒトなんて一握りだろうけど、黄金虫やモルグを読まなくても、そっから派生していった
ようなものは、テレビや映画に死ぬほど溢れているものね。むしろ体制派やインテリが支持しなければ、真面目な作品なんてのは、すぐに滅び去ってしまうってこともある。
 けど体制的というか全体主義的な国は、真面目すぎて、真面目な文学すらも、生まれない、共産主義や、スパルタイみたいな国では。やっぱり表裏一体なんでしょう。
じゃあ自由な国では大衆向けばかりになるのかというとそうでもないというか、自由な国、なんてものは無いからそこでどんなものが生み出されるのかは、人類は知らないでしょう
そいで知ることもないのではないですかね。
 
 

あまり関係ない話ですが、いきなり本が読みたくなることがある、仕事をやりたくなくなる時がある。でもそういうときはその自分の直感を信じてやるべきなんだと
最近思います。自分のなかでどうも、何か作品に厚みが足りないと感じてるからインプットをやりたくなるんでしょう、直感でそれを感じている。そういうときは
それに逆らわないでじっくりインプットをやるしかない、残された時間がなくても、近道は出来ない。
 あの毎日12時間勉強したとかえばってる受験生みたいですね。別に時間なんてどうでもよくて、必要な事を必要なだけ過不足無く覚えればいいんですよ。時間なんて関係ない。どうも時間さえながければいいって、褒めるヤツもいるから困る。トーリ党みたいなヤツが・・・・ゲージュツでもそういうヒトがいるけど、一日12時間ほとんど睡眠も削ってヘロヘロで作品を作るのは、頑張ってるっていうよりもやっつけでやってるとしか思えませんけどね。もちろん狙ってヘロヘロの陶酔状態でやってるのかもしれないけれど。