2014年3月12日水曜日

random review art of wind rises 2013 ジブリ出版

  





風立ちぬの、美術セクションの人々の仕事のまとめです。かたくなにまだ手書きを貫いているのはもはや(世界でも)ジブリだけになったんじゃないですか?
 最近は急速にフォトショ色が強くなりました、特に新海誠映画が当たってからの背景のデジタル化、もっと予算が無い場合は3D化(というより3Dであたりをとってそれをいわゆる背景のデジタルハーモニー処理みたいな背景の描き方が主流になりました)
 ジブリもちょこちょことCGを使ってますがだいたいは手書きです、やっぱポスカはデジタルに比べて彩度が低いんですよね(別に撮影であげられるんだけど)、それとやっぱアナログは細部に拡大したときの、ランダムな色彩の数が違います、デジタルはベタ塗りは完全にベタ塗りだけど、アナログはベタで塗っても、真っ黒でない限り、絵の具の伸びとか質とか乾燥の具合で、微妙なグラデーションになってます。それと紙の大きさがありますので、やっぱディテールには限界があります、デジタルというのは拡大すれば(PCの限界まで)無限に出来てしまうので、ディテールも無限に描けます。止め時がわからない。



 それにくわえて、風立ちぬの企画書と撮影台本が乗ってますので、興味あるヒトには面白い付録です。とくにIは企画書が面白いと思いますね。

 ただやっぱりIは、奈緒子っていうキャラクターがあまりにもちょっと、綺麗なだけっていうかペラペラな気がするんですけど、しょうもないメロドラマになるのを、戦争、と零戦、っていう強力な舞台装置がカバーしてあまりあるってわけですが。ニンゲンとしての欠点が無さ過ぎないですかね。天真爛漫、明るく、前向き、純粋無垢、カワイイ、時々キレイ、優しくて物分かりもいい、教養もある。結核少女だからって、そんなニンゲン・・・、黒澤明の醜聞に出てくる結核の少女も同じ感じでしたそういえば。全然納得いかない、途中で病院に帰っていくのも。前にも書きましたねこれは、でもやっぱり納得いかない。


 というか基本的にこの映画は、悪いヤツがいないんです、悪いやつというより、くだらないヤツっていうのかな。帝国軍のわからずや達だって、まじめに仕事をするヤツではある。


 けど戦争を美化するなというけれど、じゃあ何を美化すればいいのかと考えだすと困る。セックスですか?金儲けですか?平和を美化すると、ものすごい、きな臭いプロパガンタ臭がします、だって平和ってそんなんじゃないってのを知ってますからね。海外からの投資をよびかけるプロモーションみたいになりますね、街は平和で、人々は勤労意欲にあふれていて、絶好の投資環境を提供いたします、ってなもので。