2021年4月30日金曜日

-1200 リグ・ヴェーダ    1970 リグ・ヴェーダ讃歌  辻直四郎

 インド神話の一番古い経典、世界一古い聖典とも言われる、ヴェーダの一つがリグ・ヴェーダ。


 讃歌というよりは呪文、の寄せ集めという感じでして、とにかくいろんな呪文が収められております。これぞ呪文書ってやつです。ぶっちゃけ読んで面白いような本ではない。


 アーリヤ人が作りました。


このアーリヤ人、というのがオカルトの生みの親とも言えるような人種でして、彼らが作った神話体系がものすごい広がりをみせて現代へつながってるのです、バラモン、ヒンドゥー教はもちろん、仏教もその流れ。さらに彼らの言葉インド・ヨーロッパ語族ってのは、欧米の言葉の元祖ともなっていて、ようするにユーラシア大陸全域の精神的な主柱みたいなのを作った民族なのですね、ちょうど彼らがユーラシア大陸のインドの上、真ん中あたりに住んでいたのもその原因。ギリシャ人がヨーロッパの精神世界の支柱を作ったのと同じように、アーリア人がアジアの精神世界の土台を作ったようです、中国に儒教とかが生まれるはるか昔に。


 彼らはとにかく、宗教、祭り、祭祀、精神世界を重視して、社会の最上位に僧侶を置いた、これが他の文明にも取り入れられていったのは周知の事実。そしてゴリゴリの多神教であり、すべてのものを神格化したといってもいいほどです。鍛冶、光、朝日、夜、星、竈、棍棒、情熱、などなどなど、物や現象だけでなく概念とか雰囲気みたいなものまで神として崇めた。

 にもかからわらず彼らは攻撃的な民族であって、外敵への侵略も積極的に行った、戦士、を讃える歌も多いのです。後のヒンドゥー今日みたいな、不殺的な教義はなく、もっと素朴です。

 ソーマ(酒、というか多分麻薬)、セックス、病気、牛(食べ物)、戦争といったテーマが多いです。


 やっぱり何千年たっても、基本は 麻薬、セックス、戦争(死) 

これが人間の普遍的テーマであります。 


ナチスは自分たちが最も優れた人種、アーリア人の子孫である、というオカルト教義を流布していたのも(実際はもちろん全然違います)、アーリア人というのが、いかに、メンタルな存在かわかろうというものです。


 原典は膨大な本であり、日本には完訳は無いですし、完訳で全部読まなきゃいけないって本でもない。ワタシが読んだのは一番手に入りやすい岩波のやつ、ほかはすべて絶版、この文庫ももちろん絶版ですし、50年も前の本であります。

 まぁ売れるはずがないですものね。リグ・ヴェーダの本なんて・・・。