2013年8月4日日曜日

random review 大江健三郎 1959 われらの時代

 半世紀前の作品なのですが、やっぱし今になって思うと、む~、一番時代を捉えておったのは瓶底眼鏡だったと言うべきなのでしょうね。三島やら他にもゴロゴロいましたけど

Iは戦後の文学なんてほぼまったく読まないのであんまり偉そうなこと言えないですけど、やっぱし・・・そうなんじゃないかな・・・しょうもないエンタメ小説がゴロゴロあるけども・・・あるいは他の表現にせよ、時代とちゃんと格闘しないですからね、マンガや映画は・・・・ナウシカが唯一例外ってとこか・・・ガチンコになると、当然あまりおもしろくならないし、何より、理解できる人が500人くらいになってしまう。一億二千万の中の500人では商売にならん・・・・





 最近Iが思うのは、自殺のブームが去った、ということです。皮膚で感じ取ったんです、おや・・・・流れが変わった。自殺の時代は終わった。年間三万人も自殺するなんてってことですが、たぶんその自殺する人の類型ってのは、戦争の時代ならば、前線に立つ人間だったと思うのです、率先して軍隊に入る人間、それが、平和の時代に居場所が無く自殺してる、また失業者もそう、なんでこんなに失業者がいるんだろう?過去には彼らはどこにいたのだろう?彼らは奴隷だったんです、奴隷になるべきカテゴリの人間だった、奴隷というと失業者よりも悪く聞こえるけど、奴隷ってのは現代的に言えば住み込みのプロレタリアートであって、失業者は奴隷以下です。だって飢えて死ぬのを待つだけですからね、奴隷だって仕事もあればメシも食えるのに・・、失業者は奴隷以下です。だから爆弾を手にしてテロリストになるしかない。あるいは犯罪者です、受刑者でもいい、失業者は犯罪者以下ですからね。ホームレスは自殺する勇気どころか、犯罪者になる勇気もない・・・・





 つまり戦争の時代が始まろうとしてる、Iたちはちょっと早く生まれましたが、まぁ早すぎたことは無い。けれどワタシタチのコドモは、戦争のコドモです。
直撃する・・・。Iたちは40くらいの壮年期で戦場に立つコトになるんだなぁ、カラダを引き締めておかねば・・Iたちのコドモ世代は17くらいで死ぬ機会に恵まれるのでしょうね。

 一番この小説で大事なのはそこなんじゃないでしょうか?大江さんの、時代、に対して、すでにALIANATIONされてる、すでにIたちはその時代に属してないって感じる
その断絶感、戦争の手触り・・・自殺の時代へのゼツェッション、それを感じれるかどうかですね・・・・


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*平和は、孤独、人間は互いに欺瞞と虚偽しかもたない、平和な時代に生まれた人間は、永遠に孤独で、孤独のまま死ぬ
 戦争だけが人を繋ぐ、死だけが人を結ぶ・・・本当に誰かとつながるコト、共生、共に生きてると感じるコト、それは命をかけて戦った時だけ・・・
大江のわれらの時代が、彼らの時代だと感じる、彼らは平和の時代に生まれてしまった
100年の平和100年の孤独、永遠の孤独、それだけの人生・・・
 

Usが、それを感じないとしたら、違う感覚を持って世界を見つめているとしたら?違う時代を感じてるとしたら?

世紀末のコドモが感じ取ったそれは?自殺を繰り返すIたちが見ているもの?

  Usは戦争のコドモだ、Usたちは殺しあうことで、やっとIを知るよ、Uと初めて出会う、100年の孤独の後でニンゲンと再開する・・・
これまでの人類が成し得なかった、殺戮だ。50億人を殺す、圧倒的虐殺・・・・

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日本の青年には、積極的に希望と呼べるものはありえない

 希望という言葉は今日明日、死ぬか生きるかの人間だけが口にするべきコトバだ
紙の本は終わりが見えているのが良くない、いつ終わるのだという期待感がない・・・

 とにかくここ50年の間(1957年)に日本人として生まれてくるやつら、この赤の他人どもは単純な意味でも複雑な意味でも純粋に絶望的な状況に生まれてきて
そこで死ぬのだ。


 若い日本の人間には未来がない、中国人のような黄色い未来もない、未来につながるものが何も無い・・・

 嘘は最も純粋に言葉である・・

S'engager  頭をつっこむ
solidarite  連帯する 

 友情じゃない、連帯だ・・・


腐敗した保守政権は若者が乱交や喧嘩にうつつをぬかしているうちはいいが、若者が爆弾を手にしてテロリストになった時危機を迎えるだろう・・・




 危険なときは一人よりも二人のほうがいい、経験則でしかないが、重要な知恵だ・・・・



 行動、英雄的でしかも滑稽でない行為、純粋な孤独の中で達成できる唯一の決定的な行為 それは自殺だ

なにをしていても、自殺をすればすべてが解決するのだ、とやがて覚醒するが、自殺する勇気をふるいおこせずに生き続ける、それがわれらの時代だ