2014年1月8日水曜日

random review 桃太郎の海鷲   瀬尾光世 1943 桃太郎 海の神兵  瀬尾光世 政岡憲三 1945    80点

ブログの順番がテレコになってますがご愛嬌。





桃太郎の海鷲   瀬尾光世 1943

 日本初の長編アニメであり、戦中の戦争協力のプロパガンタ映画でもあるのです、子供たちに夢と希望を与える云々、のアニメーションが最初は戦争協力の戦意高揚を目指してたというのは示唆的ですね。
 かわいらしいキャラクターと超リアルに描きこまれた戦艦(こんなにリアルに戦艦を描いてるのは今のアニメでもほとんどないです)、のギャップが、はっきりいうとどういう反応をしていいのかわかりません。なんかぐらぐらと価値観がゆさぶられて酔ってしまいそうですね。妙に悲しくなる・・・。
 続編もあります。


 そういう内容は無視して表現に目を向けると、やっぱり昔のアニメーション特有のやわらかな動きと生き物らしさ、やたらと多いモブシーンが目をひきます。そうなんだよなぁ、アニメってのはこういう動きの柔らかさ、生き生きしてる感じを表現するためのメディアで、カチカチの髪の毛をした美少女のアップばかり見せるものではないのだよなぁ、と思ってしまいます。
 Iはいっつも思うのですが、社会は豊かになったといいつつ、どういうわけか作品はどんどんチープなものになっていく、全然お金なんか無いんです。どういうわけなんですかね?昔の作品のほうが圧倒的に、労力と時間がつぎ込まれてる。なんでそれがどんどん使えなくなってるのであろう?なんでどんどん貧しくなっているのであろふ?社会は本当に豊かになったの?それはバブル崩壊とかのずっと前です70年代にはどんどん安っぽいものになっていっています・・・
 物がまったくないといわれる戦中映画、50年代のほうが、いろんなものが豊富にあるという気がするのですよね・・

 というか何にも現実に無いからこそ、希望を見せてあげるのが映画ってもので、現実に物があると映画なんてまったく必要ないのかなとも思いますね。


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桃太郎 海の神兵  瀬尾光世 1945    80点
http://www.youtube.com/watch?v=9Ne-0e6P4jo


 さて前回の桃太郎の続編ですが、こちらがようやく完成品という感じでもあります。
 内容は思い切りプロパガンタ的な後半と、ミュージカル的な前半で全然違います。とくに軍が介入しただろうな・・ってのは影絵のとことかすぐわかります。

 けれど、たぶんこんなに丁寧に作られたアニメーションは他にないです。もののけや、千、よりも圧倒的にたぶん枚数もかけられているし、人員が膨大な数投入されてるってのがすぐわかります。たぶん日本のアニメで一番動画を切ったアニメでしょう。背景もすごい技量があって、青空の抜けとか、戦艦とかもすごい良い。
 
 そして爆撃機の描写がこんなにリアルなアニメーションはおそらく今でもありません、恐ろしく、精緻に書かれている、パラシュート部隊のやりかたとかも、ものすごいリアリティです。すごいとしかいいようがないですね本当に。

 ただアニメ=平和とほがらか、子供向けなどと思ってる人にはまぁどう対処したらいいかわからないかんじですね。Iはそうは思わないけど、どういうわけかこれはすごい揺さぶられるものがあって落ち着かない気分にさせてくれます。
 もし民主主義が自由な表現を許すなら、こういう戦争賛歌の映画があってもいいのですが、実質的には発禁です。

 本当は平和を願ったアニメなのだ、みたいなきれいごとをいうやからもおりますが、そういうやつもいるし、そうじゃないやつもいる。誰しも平和を望むのなら戦争なんか起こりっこないですからね。
 まず資源と比べて人間が多すぎるし、しかもその資源も圧倒的少数が独占している、それが戦争の原因ですが、戦争はやめろというのに、人口を減らせ、私有財産の独占をやめろなんていうやつは今ではほとんどいません。贅沢をやめろ、金儲けをやめろ、なんていう人間は皆無です。むしろ戦争をやめろという人すらもいなくなりましたけれど。

 いやはやともかく日本アニメのTOP5には入る作品ですね、めずらしく称賛します・・・。これはアニメをやるひとは絶対見るべきです。I自身はアニメをやるひとでもなんでもないのですがw